<マハーバーラタ・人名地名など一覧>

人物表です。作中では(☆)印をクリックすると、ここの各人物(地名)の説明が出ます。
(時々刻々、文章の割愛が入るかもしれません(^_^;))

<人名編>
ポロソロ01話
パンダワ系譜の4代目。パンダワの曾祖父。神々の要請によって、アスティノ国を建国する。
5代目アビヨソ(パンダワ祖父)を得ながら、妻サティヨワティをアスティノ国とともにスンタヌに譲り、山中に戻って苦行に励んだ。
ポロソロにはアビヨソの他に異腹の子が大勢いて、男子達ロジョモロ、ルポケンチョ、ケンチョコルボはマツウォパティ王の家臣となり、娘レコトワティはマツウォパティ王の妃となる。

サティヨワティ01話02話
パンダワ曾祖母。ウィロト国王マツウォパティの妹。アビヨソの母。
ある王の精液を飲み込んだ魚から生まれ、漁夫に育てられた。サティヨワティの魚臭をなおしたポロソロと結婚し、5代目アビヨソ(パンダワ祖父)を生んだ。

サティヨワティは川辺を離れる事を嫌い、ジャムナ川の岸辺でスンタヌに出会い、再婚。二人の王子を生むが、スンタヌの死後、この二王子が次々と死んだため、アスティノ国の継承者を得るため、二王子の寡婦2妃を娶わせるべく、スンタヌの子ビスモと我が子アビヨソを呼び寄せる。

スンタヌ01話
ある国の僧で、天界を追放された神の子孫。ビスモの父。
女神ガンガと結婚し、息子ビスモを得るが、ガンガが天界に帰ってしまった後、サティヨワティと再婚。サティヨワティの前夫ポロソロにアスティノ国を貰いうけ、サティヨワティとの間には二人の王子が生まれるが、スンタヌはその後間もなくこの世を去った。

女神ガンガ01話37話
生まれて来る子はすべて川に捨てる、という条件でスンタヌの妻なり、その通り7人まで川に捨てて殺したが、8人目のビスモの殺害をスンタヌに止められ、天界に帰る。

大戦が開始され、ビスモがセトに追い詰められて海に飛び込むと、ガンガは海底でビスモの求めに応じ、セトが戦場に向かう時に落とした櫛を渡した。ビスモはこの櫛を飛ばし、セトの胸に命中させ、セトを戦死させる。

ビスモ01話02話09話10話23話31話35話36話37話
スンタヌと女神ガンガの間に生まれた8人目の子。唯一母ガンガの殺害から免れるが、それはビスモが、前世で神牛を盗んだ8人の神族の頭目だったため、最も罪深く、長く下界に留まる運命にあったからだ。
父スンタヌがサティヨワティを後妻に娶るにあたり、後継者の座は父スンタヌと継母サティヨワティの間に生まれる子に譲る事と、自分の子が後継者の座を狙う危険回避のため、生涯妻帯しない事も誓ったため、これに感謝したスンタヌから、「自分が望む時以外は死なない」という神授の力を与えられた。

ビスモは、継母サティヨワティの生んだ2人の義弟のため、嫁取り競技で3人の王女を得るが、その長女オムボがビスモとの結婚を望んだため、妻帯拒否の誓いに沿って断る過程で、誤ってオムボを殺害してしまい、オムボから呪詛を受けた。
この出来事以後、ビスモは女性には特に優しく振舞う武将として登場するが、妻帯拒否の誓いは守り続け、2人の義弟皇子が後継者を得ぬまま亡くなり、継母サティヨワティに、寡婦となった2人の妃を娶って子を儲けるよう頼まれても、誓いを盾にこれを断った。
しかしアビヨソの子パンドゥが正式に後継者に定まると、後見としてパンドゥとその兄ダストロストロ、弟ヨモウィドロに武芸と学芸を仕込んだ。

パンドゥが若くして死ぬと、その長男ユディスティロが成長するまでを前提に、ダストロストロが王位を代行。この時も不老不死のビスモは後見として残り、これにダストロストロ王の宰相スンクニや、外国から来た軍師ドゥルノが加わる中で、ビスモはアスティノ国長老格の要となった。

サイコロ賭博事件では、他の長老達とともに場から退けられたが、異常事態を察したビスモはアスティノ王宮に駆けつけ、その場に残されたドルパディを「賭博の戦利品のお裾分けに貰い受けたい」と申し出て、下女か愛人にするのだと思い込んだドゥルユドノの許可を得る。
ビスモがパンダワにドルパディを引き渡すと、ドゥルソソノに衆目の面前で辱めを受けたドルパディは、ビスモに「屈辱を晴らすまで、ほどかれた髪をドゥルソソノの血によって注ぐまで結わない」と誓いを立てた。

コラワからパンダワに課せられた13年の刑期が終わると、アスティノ国王宮では、やがてパンダワへの国土返還について議論され、ビスモは「夥しい人命が損なわれる戦争は回避すべき。特に同族紛争は、邪心を持つ他国に利益をもたらすだけ。アスティノ国を二分し、片方をコラワ、もう片方をパンダワに渡すべきだ」と言った。

しかし流れは大戦と決し、戦場ではまずユディスティロが進み出て、武芸と学問の師であったビスモやドゥルノに恩を戦で返す非礼をわびた。特にビスモには妻ドルパディを取り戻してくれた恩があったからだ。心ならずもコラワ方となったビスモは、ユディスティロの態度に胸を打たれる。

戦闘が開始されると、小手調べとしてビスモはアルジュノと対戦した。
戦が佳境になると、マツウォパティ王の次男と三男が殺され、弟の死に逆上した長男セトは、仇のサルヨとドゥルノを探して戦場を暴れ廻った。この猛攻にサルヨもドゥルノも歯が立たず、ドゥルノの進言によって、ドゥルユドノはビスモを呼んだ。

戦争反対派のビスモだったが、セトの猛撃にやむなく立ちはだかり、矢を射掛け、組み打ちとなり、追い詰められて海に飛び込み、海底で母ガンガ女神に助けを頼めた。ガンガから渡されたセトの櫛を飛ばすと、セトは戦死する。
これを期にコラワ軍に停戦を求めたビスモだが、クレスノはチョクロをビスモに向けて迫り、ビスモも「ウィスヌの化身クレスノに撃たれるなら本望」と答えた。が、アルジュノの制止によりこれは果たされない。
セトに代わってパンダワ戦闘指揮者となった女戦士スリカンディが矢を放ったが、女性との戦いを避けるビスモはかわすのみで、アルジュノが超能力の矢パソパティをスリカンディとともに弓につがえて引き絞ると、「時間待ちの天界」からオムボの魂がスリカンディに到来。ビスモは倒れた。
ドゥルユドノは純白のレースの枕と美味の飲み物を出したが、ビスモは拒否して、自分の死を最後に戦争を終わらせるよう進言した。
アルジュノは折れた武器の束を枕にし、軍馬の飲み物を出し、それが戦士に対する作法に適っていたため、ビスモは満足して息絶えた。
ビスモの死にパンダワとコラワ全軍から悲しみの声があがり、ビスモの死体はパンダワに火葬された。
このビスモの死が、コラワ軍における戦闘総指揮者の初めての死で、以後、次々と続く指揮者の死でコラワは敗退へ追いやられる。

アビヨソ01話02話06話16話34話54話
パンダワ系譜の5代目。4代目ポロソロの子。母はサティヨワティ。
父ポロソロがアスティノ国を去って山中の苦行を再開した時、アビヨソも山に入って苦行に励んだため、怪異の容貌となる。

スンタヌと再婚した母サティヨワティの頼みで山中から戻され、2人の妃とその召使を娶らされるが、怪異のアビヨソに女達が恐怖を覚えため、生まれた3人の息子達は障害を体に持った。
その中の次男パンドゥが継承者と決まると、アビヨソはパンドゥの成人までという条件でアスティノ国王位に就いた。

そのパンドゥがクンティとマドリムを妻に迎え、パンドゥの兄ダストロストロが無理やりグンダリを妻にした時、グンダリの呪いの声を聞きつけて姿を現し、「パンドゥがグンダリを苦しめた事実は拭えない。この呪いは実行され、やがて訪れる戦は、パンドゥとダストロストロの一族の間で起こるだろう」と予言し、時が到ったとしてパンドゥに譲位。

パンドゥ死後、コラワに館から焼き出された後のパンダワ(パンドゥの5人の子)達の前にも、突然あらわれて、パンチョロ国で行われるドルポド王の娘ドルパディの婿取りの儀に参加するよう薦める。

開戦の時、アビヨソは曾孫のイラワン(アルジュノの息子)とともに山の苦行所にいたが、イラワンは各国の諸将の参戦に自分だけ乗り遅れると焦り、アビヨソの制止を振り切って飛び出し、殺害されてしまう。

大戦が終結すると、曾孫アビマニュ(アルジュノの嫡子)の子、パリクシトが生まれ、系譜の9代目を継承する。
その成長までユディスティロが政務を代行し、やがて成長したパリクシトが王位に着く事となり、その王位継承権を認める儀式の場となったので、ようやく正当な継承が執り成された事に満足したアビヨソは、その場に来た天からの迎えの車に乗って、花と音楽に導かれ天界へ昇天していった。

クルポ01話10話11話55話56話
苦行者と水浴中の天界の妖精との間に生まれ、妹とともにスンタヌに引き取られ育てられた。

ドゥルノが天女ウィルトモとの間にアスウォトモを儲けた時、ウィルトモは天界に戻ってしまったため、ドゥルノはクルポにアスウォトモの養育を預けて頼んだ。

これをキッカケに、クルポはドゥルノの義兄の立場で登場し、ドゥルノ主催の武芸大会では、アルジュノとカルノの勝負の審判をつとめ、両者を引き分けにしカルノに名乗りを勧めるなど、公正な人柄だったようである。

大戦の後もアスウォトモにクルポは付き従っていたが、実父ドゥルノを戦争で失ったアスウォトモはコラワ兄弟のカルトマルモと組んで、パンダワへの復讐に乗り出した。
クルポは二人の無謀を何度も止めたが、二人は聞かなかった。

アスティノ王宮に押し入ったアスウォトモは、ドルストジュムノやスリカンディ、バヌワティを殺し、パリクシトにも手を下そうとして秘矢に倒れ、駆け付けたクレスノの呪いで蛆虫になる。
クルポは自らの無力を嘆き、裁きを受けようとしたが、彼に罪がないことを見抜いたクレスノはドゥルノ亡き後、その息子アスウォトモの物となるべきだった国の領主に任じた。

オムボ02話37話
婿取りの競技で勝利したビスモを、妻帯拒否した相手であるにも関わらず慕って追い掛けたため、窮したビスモに誤って矢を射られ、「後に復讐をとげる」と呪いの言葉を残しながら死亡。「時間待ちの天界」でビスモを待つ。

大戦になるとビスモは女戦士スリカンディの攻撃を受けたが、オムボを殺して以来、ビスモは女性を相手に戦う事を避けていたので、スリカンディの矢はビスモに当たらなかった。
見かねたアルジュノがスリカンディに超能力の矢パソパティをつがえ、ともに弓を引き絞ると、「時間待ちの天界」からオムボの魂がスリカンディに到来。矢はビスモに命中し、ビスモの魂はオムボとともに天界に上った。

アムビコ02話
オムボの妹(次女)。ダストロストロの母。コラワ百兄弟の祖母。
ビスモの義弟の二王子の内、その兄の方に嫁ぐが、子に恵まれないまま夫に先立たれ、次に夫としてあてがわれたアビヨソの怪異な容貌に思わず目をそらしたため、生まれた子は盲目の長男ダストロストロであった。

アムバリコ02話
オムボとアムビコの妹(三女)。パンドゥの母。パンダワ5王子の祖母。
アムビコ同様に二王子の弟に嫁ぐ。やはり子に恵まれず、アビヨソと夜をともにしたが、やはり思わず顔をそらした(あるいは顔面を蒼白にした)ので、生まれたのは、首をかしげている(あるいは顔面蒼白の)次男パンドゥだった。
もう1人子を生むように言われたが、アビヨソを嫌がって召使の女をアビヨソの元に行かせた結果、召使にヨモウィドロが誕生した。

ダストロストロ02話06話09話12話17話22話25話32話34話55話57話
パンダワ系譜5代目アビヨソの長男。母はアムビコ。コラワ百王子の父。
アビヨソと契った時、母アムビコが恐怖して目を塞いだため、ダストロストロは盲目に生まれついたが、ビスモに武芸と学芸を仕込まれた結果、握力による未来の予知能力を身に付けた。

その超能力は、パンドゥが連れ帰った3人の女の手に触れ、クンティに3人、マドリムに2人、グンダリに100人の子が生まれる未来を予知することで現れる。
ダストロストロは子沢山の妻を望み、嫌がるグンダリを妻に選んだ。

弟パンドゥが若くして死んだ時、ダストロストロはパンドゥ長男ユディスティロが成人するまでを前提に、アスティノ国の王位を代行した。

妻グンダリや我が子コラワ兄弟が、パンダワ兄弟への嫉妬を根強く持ち続けるのに反し、ダストロストロは甥パンダワ達の成長を喜び、王位を譲る日を迎えると、快く領土の全てをユディスティロに返そうとするばかりか、就任の祝いに壮麗な館まで新築してやる。

しかしこの善意が裏目に出て、建築の手伝いにかこつけて罠を仕掛けたコラワ長兄ドゥルユドノによって、パンダワ達は森を放浪するハメとなる。
インドネシアでは、マルトの森を開拓したパンダワがアマルト国を建国するが、インドでは、パンダワ達の生存を知ったダストロストロが、喜びのあまり息子達コラワの反対を押し切って、アスティノ国の領内から砂漠の地を与えている。

コラワによりアスティノ国に招きいれられたパンダワがサイコロ賭博を持ち掛けられ、他のアスティノ国長老達が引き上げた後で、ダストロストロのみ場に残らされた。
目の見えないダストロストロには詐欺行為が見抜けず、ドゥルユドノやスンクニは、ユディスティロから財産や軍隊、アマルト国の領土、妻ドルパディの所有権まで奪う。
パンダワ兄弟の命まで賭け落とされるに到って、ようやく異常な事態に気付き、息子ドゥルユドノを切々と諭して、パンダワの命だけは奪う事を取りやめさせる。
残忍狡猾なドゥルユドノも、この父王にだけは唯一渋々と服さざるを得ず、パンダワには新たに13年の酷い刑を与える事になった。

ダストロストロは追放された甥のパンダワを案じ、森を通りすがるバラモン僧たちからその生存を聞き出すと、ドゥルユドノやコラワ王子たちが暴挙を起こそうとするたびに、パンダワの盾となり息子のコラワを諌めた。

パンダワの13年の刑期が明けると、ジョクジャのワヤンでは、ダストロストロが和平のために心を砕くと戦争の邪魔になると計算したクレスノは、パンダワの国土返還要求の使者に来た折、巨大なラクササに変身し、ダストロストロ王とグンダリ王妃を、破壊された城壁の下敷きとさせる(死亡させる)、と描かれる。

ダストロストロは、一度も自分の息子達の王位を自ら望んだことはないし、甥のパンダワを敵視した事もないが、ジョクジャ以外の筋立ては、大戦が終結した時、長男ドゥルユドノ、次男ドゥルソソノをはじめ、多くの子(コラワ)や孫が戦争によって死に絶えた事にこの時ばかりは絶望し、息子達の後追いの気持ちから、ここに来てパンダワを相手に戦場に立とうとする。
そこへ父アビヨソの昇天を聞き、全ての気力を失ったダストロストロは、剣で自らの胸を刺し、妻グンダリも同じ剣で自害。身を重ねて、二人は息絶える。

インド版においては、パンダワとダストロストロ夫妻は仲直りするのだが、ワヤンでは老夫妻が息子達の死についてユディスティロを始終責め、ビモがこれに応酬して悪口雑言を返すので、夫妻は山に入って死のうとする。
同行したのはパンダワ母クンティで、先頭に立ったクンティの肩に、両目を布で覆ったグンダリが手を置き、グンダリの肩にダストロストロが手を置き、ユディスティロらが見送る中、城を出て行く。ダストロストロはクレスノに自分の死期を訪ねた。
その時クレスノの答えた通り、三年の瞑想の後、山火事が起きて3人は死ぬ。

パンドゥ02話03話04話06話08話09話
パンダワ系譜の6代目。5代目アビヨソの次男。母はアムバリコ。パンダワ5王子の父。
父アビヨソと母アムバリコの性交の折、母が首を背けたので首をかしげた(或いは顔色を青ざめさせたので顔面蒼白の)生まれつきだったが、継承者と定められ、ビスモに武芸と学芸を仕込まれて、弓の名手として成長。

プリンゴダニ国のラクササ王トルンボコを退治し、パンチョロ国の婿選びの儀に参加したドルポドに加勢し、さらにクンティの婿選びの儀では、サルヨの挑戦を受けて、クンティ、マドリム、グンダリを得た。

パンドゥはこの3人の女をアスティノ国に連れ帰り、兄ダストロストロがグンダリを選んだため、クンティとマドリムを妻にした。

パンドゥは、ある日狩りに出掛けて、交尾している雌雄の鹿を矢で射殺した。怒った鹿の魂は「夫婦で睦みあうと命を落とす」と呪いの予言を残した。これは宇宙支配神グルが仕組んだ、という話もある。
まだ子を得ていないパンドゥは窮し、妻のクンティに相談した結果、第一夫人のクンティに3人、第二夫人のマドリムに2人の、それぞれ神の子達を我が子に得る。これら5人の子をパンダワと称する。

しかしパンドゥは性欲を抑えきれず、マドリムと契り、命尽きてしまう。

ヨモウィドロ02話06話12話13話28話33話
パンダワ系譜5代目アビヨソの三男。母はアムバリコの召使。兄にダストロストロとパンドゥ。
ヨモウィドロは足が不自由だったが、ビスモに武芸と学芸を仕込まれた結果、法の専門家として成長を遂げる。

兄パンドゥが、クンティ、マドリム、グンダリの3人女を連れ帰った時、ヨモウィドロは若さを理由に結婚を辞退するが、その後に結婚したようで、スンジョヨという息子を得る。

ダストロストロ同様に、パンダワを正統な後継者として見守り、ユディスティロが成長して、ダストロストロが王位を譲ろうとした時も、ダストロストロやその子コラワ達には、領地も一町のみを与え、残りの領土は全てユディスティロに返すべきだと主張する。

パンダワ焼討ち事件では、ドゥルユドノの姦計にいち早く気づき、息子スンジョヨにパンダワ達の救出を命じる。

サイコロ賭博事件によるパンダワの13年の刑期が終わるや、パンダワ母クンティとともにドゥルユドノに国土返還を求めたが、ドゥルユドノ宰相スンクニに要求を突っぱねられ、失神したクンティに加勢してヨモウィドロも抗議した、聞き入れられず、クンティはアスティノ国のヨモウィドロの屋敷に身を寄せた後、ウィロト国に戻った。

トルンボコ03話
プリンゴダニ国のラクササ王。子にアリムボ、ブロジョドゥント、プロジョムスティ、コロブンドノ、娘にアリムビ。孫(アリムボのさらに子)にウシアジがいる。
トルンボコは若き頃のパンダワ父パンドゥに倒され、これが後に一族の長い復讐劇を生む。

ゴンドモノ03話10話17話
パンチョロ国の王子であったが、姉の婿選びの儀でドルポドに倒され、新国王ドルポドの宰相となる。

やがてドルポドの従兄弟ドゥルノが王宮を訪ね、王宮で大声でドルポドの昔の名を叫んだので、宰相ゴンドモノは王を侮辱した者としてドゥルノを捕え、烈しく袋叩きにした末に追放した。

ドルポド王の長女ドルパディの婿取りの儀では、競技に勝利したアルジュノにも勝負を挑み、相手をしたアルジュノの兄ビモに討ち果たされて、絶命まぎわ、ビモに独特の教訓を伝授した。

ドルポド03話10話16話17話20話23話28話35話44話
ジャワ島から遠い外国から来た武将。パンチョロ国王女の婿選びの儀で、パンドゥの加勢を得て王女の弟王子ゴンドモノを倒し、王女の婿としてパンチョロ国王の座に就く。

やがて従兄弟ドゥルノが、ドルポドを頼りにパンチョロ国に来たが、ドルポドへの無礼を咎められ、宰相となったゴンドモノがドゥルノを捕えて折檻した。
このためドルポドはドゥルノから恨まれ、やがてアスティノ国で力をつけたドゥルノに、パンチョロ国から半分の領土を奪われた。

娘ドルパディの婿取りの儀では、アルジュノが競技の勝利者となりドルパディを伴って去ったので、ドルポドは長子ドルストジュムノに追跡させ、婿がパンダワ長男ユディスティロである事が判ると大いに喜び、以来パンダワの強力な庇護者となる。

ドルポド次女スリカンディも、パンダワ三男アルジュノの第二夫人となり、ドルポドはパンダワにとって二重に舅となる。

サイコロ賭博事件の時には、領地のことごとくを失ったパンダワに代わり、その母クンティをパンチョロ国に迎えて面倒を見る。

パンダワの13年の刑期が終わるや、クンティがウィロト国を経由してアスティノ国に向かうのにドルポドも同行し、ともに国土返還を求めたが、ドゥルユドノ宰相スンクニに、「舅(ドルポド)と従兄弟(ドゥルユドノ)では、従兄弟の方が血の繋がりが濃いから決定権も強い」と撥ね付けられたため、誇り強いドルポドの口からは、ついに「戦いで決着」という言葉が出るに到った。

大戦が勃発し、それも中盤を迎えた朝、コラワ軍師となったドゥルノは秘法によって姿が見えず、その戦車のみ疾駆する中から秘矢が放たれた。
さすが軍師として名を知られたドゥルノの戦術は巧みで、ドルポド王はマツウォパティ王とともに瞬時に相次いで討たれ、死亡した。
ドゥルノとドルポドの長年の確執と因縁は、これで終わったかに見えたが、実はこれも、両者の息子同志アスウォトモとドルストジュムノの報復合戦の始まりとなった。

クンティ03話04話06話08話09話12話13話15話17話23話28話32話
33話57話
マンドゥロ国の王女。兄にバスデウォ。パンドゥ第一夫人。パンダワ兄弟の長男・次男・三男の母。
明日に婿選びの儀を控えていたクンティは、誤って太陽神スルヨの子を懐妊、兄バスデウォによって苦行者ドルウォソが呼び出され、耳からカルノを出産するが、カルノは養育権を得たドルウォソによって捨てられた。

婿取りの儀でクンティはサルヨを指名するが、サルヨはパンドゥに負けたため、クンティはパンドゥの第一夫人になった。
この時ダストロストロの妻になる事を嫌がり、助けを乞うグンダリをダストロストロの方に押しやり、グンダリから「我が子(コラワ)と貴女達の子(パンダワ)の間に戦争が起こるだろう」と呪いを受ける。

パンドゥが鹿の呪いで後継に窮した時、クンティは神と交わり子を授かるドルウォソの呪文について打ち明け、ダルモ神との間に長男ユディスティロ、バユ神との間に次男ビモ、インドロ神との間に三男アルジュノを生んだ。

夫パンドゥと第二夫人マドリムの死後、マドリムの残した四男ナクロと五男サデウォの養育も兼ね、実質パンダワ五王子の母となる。

パンダワ焼討ち事件では、パンダワ五王子とともに焼き出され、森を彷徨うパンダワ達の前に現れたラクササ女のアリムビと次男ビモの仲を取り持つ。

インドネシアの特にジャワでは、長兄ユディスティロの妻として語られるドルパディだが、インドでは、ドルパディを連れ戻ったアルジュノが、母クンティに、「獲物(布施)を得た」と報告した。これを人間の女性とは知らずに、クンティが「兄弟で仲良く分けなさい」と言ったため、ドルパディはパンダワ5人兄弟の共通の妻となる。

サイコロ賭博によって財も国も身分も失ったパンダワは、アマルト国からアスティノ国に行ったまま、森で放浪する身となり、アマルト国の首都インドロプラストに留まっていたクンティは、入城してきたスンクニに言い寄られたため、スンクニを呪詛し、息子達に課せられた13年の刑の間、ドルパディの父ドルポドを頼って、パンチョロ国に身を寄せた。

パンダワの刑期が終わるや、クンティはパンチョロ国からドルポドと共にウィロト国に行き、5人の息子と再会すると、アスティノ国に出向き、夫の弟ヨモウィドロとも合流して、ドゥルユドノに国土返還を求めたが、宰相スンクニは突っぱねたため、クンティは失神し、ヨモウィドロやドルポドの抗議も撥ね付けられた。

コラワとパンダワの開戦が決まると、アスティノ国に使者に来たクレスノは、カルノを味方につけるべく、クンティがカルノを生んだ時、心ならずも泣く泣くカルノを手放した話を聞かせた。

アスティノ国でヨモウィドロの屋敷に身を寄せていたクンティも、クレスノの配慮でカルノと母子の対面を果たしたが、カルノに「自分を捨てた親より、自分を育ててくれた親や、自分を引き立ててくれたドゥルユドノへの義理を欠く事は出来ない」と突っぱねられ、クレスノにともなわれてウィロト国に帰るしかなかった。

大戦が終了すると、ワヤンではダストロストロ夫妻が息子達を大戦で失った心の傷が癒えず、パンダワと始終揉めるので、夫妻は山に入って死のうとする。
クンティはこれに同行し、先頭に立ったクンティの肩に、両目を布で覆ったグンダリが手を置き、グンダリの肩にダストロストロが手を置いて城を出て行き、三年後の山火事で3人は死ぬのだが、ダストロストロがこれより前に死ぬ話では、クンティはこの後もまだ登場する。
パンダワは死期を迎えるにあたって出る旅に、クンティが同行する話がそうだ。
一行は旅の途中にワヒト村に到着するが、女達だけの村では、皆が陰口を立てあい、いさかいが絶えず、この状況を通りかかったクンティに一人の村娘が告げた。
村の男達はそそのかされて悪事に手を染め、苦行者に虎に姿を変えさせられていたので、ビモとアルジュノが虎を迎え撃って殺すと、虎達は人間に戻り、クレスノに「村の女達を幸せにするように」と諭されて村に戻った。

ドルウォソ03話
貧しい苦行者。親切を施したクンティに天界の神を呼べる呪文を授けたが、呪文には「浴室で唱えてはならない」という禁忌があり、これを誤って使ったクンティが妊娠。クンティの兄バスデウォに呼び出され、急遽出産させる事となる。
ドルウォソは「出産に成功したら、自分の子とする」と条件を出し、カルノを無事出産させるが、約束通り、生まれたカルノを連れ去り、川に捨てた。

太陽神スルヨ03話11話15話
カルノの父。誤って呪文を唱えたクンティに子を孕ませる。これがカルノである。

登場は多くないが、ドゥルノ主催のアスティノ国武芸大会では、アルジュノと勝負する我が子カルノに加勢する。

また天界でラクササが暴れた時、その退治のためアルジュノにスンジョト・クントという武器を渡す事になるが、スルヨはこれを我が子カルノに「代行神ナロドがアルジュノに武器を渡す所だから、それを横取りせよ」と命じ、カルノはこの命に従い、スンジョト・クントを我が物とする。
このように太陽神スルヨは天界の野党で、神々(グルやナロド、インドロ、バユ達)と思惑をともにせず、同じ派閥に属してないらしい 。

バスデウォ03話07話
マンドゥロ国王。妹にクンティ、弟に次男ルクモと三男ウグロセノ。息子にボロデウォ、クレスノ、娘にスムボドロ。
妹クンティがスルヨ神の子を宿した時、クンティの婿選びの儀を明日に控えていたので、バスデウォはドルウォソを呼び出し、カルノを出産させるよう命じた。

また狩りに出かけている時、ラクササ王が妻を妊娠させたため、バスデウォは妻を森に捨てた。
こうして産まれた男子コンソに恨まれ、バスデウォが他の妃との間にを子を儲けるたびに6人まで殺された。7人目以降のボロデウォ、クレスノ、スムボドロが生き残った。
インドでは、悪王コンソを懲らしめる計略がコンソにバレ、バスデウォ夫婦は閉じ込められ、妃は牢内で次々と子を生んだ事になっている。牢内で生まれる子は次々と殺され、ボロデウォとクレスノだけが逃げて生き延びる。

カルノ03話11話15話16話17話18話20話22話25話26話27話28話29話
31話
32話33話40話41話45話46話47話48話49話50話
父は太陽神スルヨ。母は未婚のクンティ。パンダワ兄弟の異父兄。
クンティの耳から生まれるが、出産を望まれず川に流され、カルノを拾ったダストロストロの馭者夫婦に育てられる。この「馭者の子」という身分が、カルノを一生苦しめた。
カルノは、後に生まれた異父弟アルジュノと瓜二つであったとも言う。

成長し、アスティノ国の武芸大会でアルジュノに唯一対抗する武芸を見せたにも関わらず、身分の差で罵倒されたカルノを、コラワ長兄ドゥルユドノがパンダワへの対抗馬として領土を与えてコラワ陣営に迎えた。

アルジュノに武器スンジョト・クントが渡されかけた時、修行中のカルノは実父スルヨ神に命じられ、カルノは代行神ナロドからこの武器を掠め取る。
追跡したアルジュノと一騎打ちの果て、スンジョト・クントはカルノの武器となる。この時なのか、カルノには額に傷が出来、ナロド神から傷を隠す被り物を与えられた。
一方アルジュノが取り戻したクントの鞘は、ガトゥコチョ(ビモの子)の体内に巻き込まれ、後にガトゥコチョに殺害された、その叔父コロブンドノは「戦になった時、カルノの武器に乗り移って追跡する」と言い残して死んだ。

ドゥルユドノがドルポド長女ドルパディの婿選びの儀に参加した時、カルノはドゥルユドノに的を射るよう命じられたが、誇り高いドルパディに「どこの馬の骨とも知れぬ者の妻になる意志はない」と罵られて撤退させられ、見事に的を射抜いたアルジュノが勝利者となる。

このようにライバル関係にあったカルノとアルジュノだが、カルノの恋人スルティカンティが誘拐された時、アルジュノはカルノが実兄と知って誘拐犯を倒したので、カルノはスルティカンティと晴れて夫婦となった。

サイコロ賭博事件では、コラワに身柄を拘束されたドルパディにカルノは、「ユディスティロのような妻を捨てる男など諦め、早く他の男と結婚しろ」と言った。

ドゥルユドノはパンダワを殺そうと、カルノを大将に軍を動かしたが失敗。自害しようとするドゥルユドノを、カルノはスンクニとともに説得してアスティノ国に連れ帰った。

コラワがウィロト国を侵略した時も、カルノは出陣してウィロト国を北から囲んだが、アルジュノによって駆逐される。この時の軍容から、カルノは弓の幟を使用していた事がわかる。
またこの頃、アビマニュがアルジュノの二人の娘を山から連れ帰ろうとしたが、そこをカルノ率いるコラワ軍が攻撃し、アビマニュを守備していたガトゥコチョに追い払われ、好敵手としての前段階が出来た。

コラワとパンダワが一触即発の危機を迎えると、眠りの苦行をするクレスノを起こすため、ドゥルユドノはカルノに兵を率いさせ、クレスノのドロワティ国に攻め入らせた。
カルノはクレスノの身辺警護の者達を打ち負かしてクレスノに会った。

しかしクレスノを揺り起こそうとしたカルノは、自分の首を撫でたのち、クレスノの口から吐き出された気息に飛ばされ、戦における自身の運命を知る結果となる。

アスティノ国の王宮会議では、舅サルヨが「全土パンダワに返還すべき」と主張したのにカルノは激怒し、サルヨを「敵の回し者」と罵ると、サルヨも「パンダワに一度も勝ったことがない癖に。お前に嫁がせた娘スルティカンティこそ哀れだ」と応酬されるなど、婿と舅の間が険悪だった事がわかる。

開戦が決定すると、クレスノはカルノをパンダワの味方につけるため、クンティがカルノを生んだ悲話を話して聞かせた。
カルノは、母クンティが、心ならずも泣く泣くカルノを手放した話に多いに心を揺れ動かした。

しかし殆どの人が策略に落ちてコラワにつくのに対し、クンティと再会したカルノは「自分を捨てた親より、育ててくれた親や、引き立ててくれたドゥルユドノへの義理を欠く事は出来ない」と明らかな違いを見せた。
インドでは、育ての恩と出世の恩にこだわり、肉親の愛を捨てるカルノを悪者として扱うが、インドネシアにおけるカルノは妻スルティカンティと結婚できた恩をアルジュノに感じ、クレスノに「アスティノ・アマルト両国をパンダワに戻すには、戦で決着する以外にない、戦を仕向けさせた責任ゆえ、自分はドゥルユドノとともに滅びる」と述べる。(一方、カルノがパンダワを殺したくないと言うのを、クレスノにドゥルユドノへの恩を諭される展開もある)

開戦し、コラワ軍のガルドパティの作戦でパンダワ軍が大混乱した時、出馬するアルジュノの子アビマニュに、カルノは危険を知らせる矢文を放ったが、アビマニュは伯父からの忠告とも気付かず、猪突して戦死した。

カルノはアルジュノのいるセトロプル山に急行し、アビマニュの死を知らせ、仇は誰かを問われて、強いて言うなら最後に首を落としたのはジョヨジョトロだと答え、アルジュノにコラワ等の抵抗を受けずに山を降りられる方法を教えてやった後、戦場に戻り、ドゥルノの指揮で、三層の守備のうちの前方「車輪の陣形」を率いて、再びパンダワと戦った。

コラワの陣営は次々と名立たる武将を失い、大戦も中盤になると、ついにカルノを戦闘指揮者に任命。
一方のパンダワの戦闘指揮者ガトゥコチョはラクササ軍団を率いていたので、カルノは瞑想して体内から巨大なラクササ達を出現させたが、霊魂のコロブンドノが、ラクササ達を敵味方の区別なく蹴散らした。

スンクニからガトゥコチョが夜目が利く事を知らされたカルノは、一度使えば持ち主グル神の元に返ってしまう武器スンジョト・クント(剣)を、アルジュノとの一騎討ちに用いるべきだったが、今はやむなしとガトゥコチョに向けて放った。
ガトゥコチョはかわし、落下を開始したクントを天空のコロブンドノが手に握り、ガトゥコチョの臍に突き刺して、体内にあるクントの鞘へ収まった。
コロブンドノはガトゥコチョの死体を空から落とし、カルノは危機一髪で身をかわしたが、その馬車と軍隊は木っ端微塵に撃破された。

ガトゥコチョの死に、その父ビモは猛り狂ってカルノを追ったが、カルノは海中に身を投じて逃げた。
この時ビモはドゥルソソノと出会ってこれを倒し、弟ドゥルソソノを失ったドゥルユドノの悲嘆は激しく、自分が戦闘指揮者に立つといきり立つのを、カルノが辛うじて慰め、今度こそアルジュノと雌雄を決する、と誓った。

カルノの戦車の日傘を差す役にドゥルノの息子アスウォトモが選ばれ、戦車の操者にカルノは舅サルヨを指名した。サルヨはこれに激怒しつつも引き受けた。
戦を前に、カルノが愛妻スルティカンティに別れを告げに行くと、妻は不吉な夢におびえており、不安に駆られたカルノは、召使女スウェゴにアルジュノ暗殺を命じた。
スウェゴはデスクトゥと遭遇して相打ちに果て、一方カルノはスンジョヨに撃ちかかられたが、一撃でこれを殺した。
スンジョヨの敵討ちに打って出たスリカンディを、カルノは女と見て相手にしないが、スリカンディは弓矢でカルノの髭を射落とした。片方だけの髭をスンクニに笑われたカルノは、スリカンディの胸当ての紐を弓矢を放って切った。こうしてアルジュノとの対決の時を迎えた。

しかし弟のアルジュノとは互いに命を取り合う気になれず、木刀を使うのみで、なかなか決着は着かない。
しかもカルノの馬車は宝石や螺鈿、ガルダ鳥の羽、彫り込んだ芳香の木、レース、絹などに飾られ、戦いは華麗に繰り広げられるショーとなり、見る者は神をも恍惚とさせた。
カルノは火矢、蛇矢、風矢、石や丘など種類多く放ち、頭や首無し胴、腕、足の化け物、妖怪、ラクササまで飛んで空を満たし、矢を食いちぎり、火をかけ槍を投げ、屍骸や生血、人間を食らい、天の神々までをも追い掛けた。
アルジュノの応戦にも、化け物どもは混乱してますます破壊行為に出たので、さらに有毒の火矢が放たれ、紅蓮の焔をあげて大地や天界まで焦がし、天界の聖者達は世の壊滅を恐れて、「アルジュノとカルノは、シバ神の怒りを買うだろう」と別の手段で戦うよう忠告した。
夕闇が迫り、カルノとアルジュノは延期を約して撤退。幕舎に戻ったカルノは宰相を呼んで、結婚指輪を手渡し、妻の待つ自国に行かせたが、妻スルティカンティは宰相の姿を見るや、夫カルノの死を早合点。懐剣で自害してしまう。
その報を受け取ったカルノは、その場で宰相を撃ち殺し、死を覚悟した。

翌日カルノとアルジュノは近寄り抱き合った後、戦いを再開。
アルジュノを倒せる武器スンジョト・クントは今はもうなく、カルノがもう一つの魔矢を射ようとした時、馬車を操っていたサルヨが咄嗟に戦車を揺さぶったため、魔矢はアルジュノの急所を逸れ、アルジュノが矢パソパティをつがえると、サルヨの操るカルノの戦車はぬかるみに車輪を取られた。
アルジュノは躊躇し、カルノも戦いの公正を訴えたが、アルジュノの戦車を操るクレスノは、「パンダワが焼き討ちにされた時も、十三年の放浪をさせられた時も手助けせず、サイコロ賭博の時にはドルパディに『ユディティロに捨てられた上は、他の男に嫁げ』と言った」とカルノに公正さが無いと言い返し、アルジュノに射らせて、カルノの首は射切られた。
アルジュノは駆け寄ってカルノの体を抱こうとしたが、カルノの遺体からはカルノの短剣が敵討ちを狙って舞い上がり、アルジュノの短剣と宙で打ち合い、両方とも天界に帰った。
パンダワもコラワもカルノの死を悲しみ、カルノの弟であるパンダワがカルノの遺体を引き取り、丁重に葬った。★

ルクモ03話19話32話
クレスノの父バスデウォの次弟。クムビノ国王。妹にルクミニ。
妹ルクミニに婚姻を用意していたのに、ルクミニはクレスノと駆け落ちしてしまう。ルクモは追跡の軍を起こして追い掛けたが、クレスノの兄ボロデウォに追い散らされる。

ルクモはクレスノの叔父であり義兄でもある立場から、パンダワにつこうとしたが、高慢ゆえに拒否され、怒ってコラワにつこうとした。が、クレスノの身内である事への疑いからコラワ側からも拒まれ、大戦には参加しない。

ウグロセノ03話19話
バスデウォとルクモの弟。レサンプロ国王。息子にスティアキ。娘にスティヨボモ。

マドリム04話06話08話09話
モンドロコ国王サルヨの妹。パンドゥの第二夫人。パンダワ四男ナクロ、五男サデウォの母。
兄サルヨに連れられてクンティの婿選びに行き、サルヨに勝ったパンドゥの第二夫人となる。

パンドゥが鹿の呪いで後継に窮した時、クンティが呪文によって神々の三人の子(ユディスティロ、ビモ、アルジュノ)を得た。この呪文を唱える機会は三度までという制限があったので、パンドゥの頼みで、一度だけの条件で、マドリムはクンティに呪文を教わった。マドリムの元に現れた双神アスウィンは、双子の兄弟ナクロとサデウォをマドリムに生ませた。
クンティの三子とあわせ、彼らをパンダワ5人兄弟と称する。

やがてパンドゥは性欲を抑えきれずマドリムと契り、マドリムはパンドゥを死なせた悔いから、息子ナクロとサデウォを残し、パンドゥの肉体を焼く祭壇の炎に飛び込んで自殺した。

サルヨ04話05話09話18話31話32話34話36話41話42話45話48話49話
50話51話52話60話
モンドロコ国王。妹にマドリム。妻スティヨワティとの間に、長男ブリスロウォ、次男ルクモロト、長女エロワティ、次女スリカンディ、三女バヌワティ。
王子であった頃、妹マドリムを連れてクンティの婿選びの儀に出掛け、その途中でパガスパティに拉致され、その娘スティヨワティを妻に娶る。
クンティの婿選びではパンドゥに敗れ、妹マドリムがパンドゥの第二夫人となって四男ナクロ・五男サデウォを生んだ事から、伯父として、しばしばパンダワに好意を寄せた。

サルヨは舅パガスパティの醜さを嫌い、殺害する。この時パガスパティから無数に怪物の出現する呪文を授かったサルヨだが、パガスパティはサルヨに「正法の白い血を持つ王」に討たれて死ぬのを"時間待ちの天界"で待っていると告げて死んだ。サルヨは残された妻スティヨワティに唯一無比の愛を貫く。

スティヨワティの生んだ3人の娘は、コラワ長兄ドゥルユドノの求婚を受けるが、長女エロワティはボロデウォと、次女スルティカンティはカルノと結婚。
残った三女バヌワティしか居なくなったので、サルヨはバヌワティをドゥルユドノに嫁ぐよう命じる。

パンダワ兄弟がコラワに課せられた13年の刑を終えると、アスティノ国王宮でパンダワへの国土返還について議論された。
アスティノ国をコラワとパンダワの間で二分する意見が出る中、スンクニがコラワの数を強みに、戦争による解決を持ち出したため、サルヨは激怒して「二分すらすべきではない、全土パンダワに返還すべきだ。そのかわり領地の無くなったドゥルユドノには、自分の国モンドロコ国を全部提供する」と言い、これに反対した娘婿のカルノに「敵の回し者」と罵られ、「パンダワに一度も勝ったことがない癖に。お前に嫁がせた娘スルティカンティこそ哀れだ」と応酬した。

コラワとパンダワの開戦が決まると、サルヨはパンダワに荷担すべく、自国モンドロコを出るや山谷を越え、ウィロト国に入る直前に野営して、村人に迎えられた。サルヨはマツウォパティ王の心遣いか、パンダワに心寄せる者の心づくしと思って接待を受けたのだが、翌朝、姿を現したのはスンクニとドゥルユドノで、この接待への義理からサルヨはコラワの陣営に引き込まれる。

開戦間際、ジョクジャの話ではコラワ父ダストロストロ王が死亡したため、ドゥルユドノが落胆の余り醜態を晒したので、やむなくサルヨが「戦うからには勝つ手立てを考えねばならぬ、パンダワに先を越されぬよう、こちらから先に叩いて出る」と作戦をいい、ドゥルユドノに戦闘開始のシンバルを命じるよう促している。

開戦を迎えると、小手調べにサルヨはユディスティロと対戦したが、戦闘が本格的になると、サルヨはマツウォパティ王の第ニ王子ウトロを殺したので、ウトロの兄セトは逆上し、サルヨとドゥルノ(は第三王子を殺害)を探して猛攻。セトの剛勇ぶりには、サルヨもドゥルノも歯が立たず、迎え討とうとしたサルヨ次男ルクモロトがセトに射殺された。

中盤、アルジュノが、息子アビマニュの仇を討とうと戦場に乗り込んで来た時は、ドゥルノが配置した三層の陣の最後方「鋭利な針の陣形」をサルヨが担当した。

ビスモ、ボゴデント、ガルドパティと次々と戦闘指揮者を失ったコラワは、その次の戦闘指揮者にサルヨの長男ブリスロウォを任命。サルヨは次男ルクモロトについで、長男ブリスロウォまで失う事となった。

軍師ドゥルノが戦死すると、ビスモ、ドゥルノと同じく、サルヨもこれを機にドゥルユドノに停戦と和平の説得をしたが、スンクニに「総統はドゥルユドノであって、家臣に命令される謂れはない」と高飛車に跳ね付けられた。

こうして新しく戦闘指揮者となったカルノは、戦車の操者に舅サルヨを指名。サルヨはこの無礼に激怒したが、ドゥルユドノの懇願に折れて引き受けた。

カルノが魔矢を射ようとした時、馬車を操るサルヨは、アルジュノに当たると思い、咄嗟に戦車を揺さぶった。戦車に日傘持ち係として同乗したアスウォトモはこれを見て憤慨したが、魔矢はアルジュノの急所を逸れ、アルジュノがパソパティの矢をつがえると、サルヨの操るカルノの戦車はぬかるみに車輪を取られ、アルジュノの矢でカルノの首は射切られた。
アスウォトモがコラワの陣営でサルヨのこの行動が報告し、責任を追及するあまり、アスウォトモは「娘婿のカルノを殺し、かつては舅バガスパティさえ殺害した」と罵り、怒ったサルヨに打ちかかられる。
ドゥルユドノはサルヨを宥めて戦闘指揮を頼む。戦闘指揮に立つべき者は既に皆戦死しており、サルヨもついに引き受けた。

幼い頃からサルヨに愛されたパンダワ達は戦意喪失したが、サルヨも、呪文は「悪意のない公正な相手」を敵とした場合は効力を失う事を知っており、安らぎを求めて自宅の妻スティヨワティに手料理を頼み、一人自室で瞑想していた。
そこへ甥のパンダワ双子ナクロとサデウォが叔父(母マドリムの兄)が忍び入り、サルヨに「この場で手討ちにして欲しい」と涙ながらに願い出た。サルヨは、双子の甥のこの行動には演出者がいて、それは、バガスパティがサルヨに与えた呪文ゆえに厄介に思っているクレスノだろう、と即座に見抜いた。
サルヨは、双子に自分の言葉を復唱させる事で、「悪意を持たぬ相手に死を請われた」設定を導き出し、さらに「自分は誰とも一騎討ちはしない。自分を倒せるのはユディスティロだけ。それも武器ではなく、護符カリモソドを手にして出て来るように」とクレスノへの伝言を託した。
妻スティヨワティは、自分も戦場に連れて行って欲しいと頼んだが、サルヨは宥め、スティヨワティが夫と離れぬよう毛布と腰紐を結んで眠ったが、サルヨはこっそりと全てを外し、置手紙を書いて、兵の待つ広場に戻った。

サルヨはドゥルユドノを中央に据え、円形で繰り返し攻撃する「森の陣形」を立てたが、味方が矢に射られて倒れるのを見かね、バガスパティに与えられた呪文を唱えたため、戦場はラクササで満ちた。
が、バガスパティがユディスティロの体内に入ると、ラクササ達はユディスティロの体内に入って大群ごと消え、ユディスティロの「カリモソドの書」の矢がサルヨに命中、元よりラクササ達の消滅によって、サルヨは自身の力費えて死に到っていた。
妻スティヨワティは戦場に向かい、稲妻の光によって、多くの屍骸の中から、逞しい歯を見せながら自分を見ている、もう動かないサルヨを見つけ、サルヨの短剣で胸を貫いて後追い自殺した。

大戦が終了し、平和の内に多くの時が流れ、ある時、美しい島ジャワに強力な守護者がおらぬため、悪者が土地を焼き尽くして崩壊させた。ウィスヌ神はクレスノ以来、再びこの地上に神王ジョヨボヨを遣わし、島には超能力が宿り、誰も刃向う者は出なくなった。
(つまりジョヨボヨ王は、クレスノのようにパンダワ五王子を動かして同族のコラワを滅し、サルヨを死に導いた、と語られる)

バガスパティ04話05話50話51話52話
ラクササ僧。醜く妻が無いため、神に祈ってスティヨワティを娘に得る。
娘スティヨワティのためサルヨを拉致し、娘の結婚を適えたが、スティヨワティの夢占いからサルヨの本心を知り、サルヨに娘の未来を託し、また自身の持つ超能力による呪文を授けて、サルヨの武器に倒れ、サルヨの死によって昇天する誓いを立て、「時間待ちの天界」でサルヨを待った。
呪文とは、敵に襲われた時に唱えると小さな怪物が飛び出し、殺されるたびに怪物が倍数……やがて無限大に増殖していくが、悪意のない公正な相手、特に正法の護持者を敵とした場合は効力を失い、呪文を唱えた者も破滅に至る、というものだった。

大戦も終盤、コラワの武将で、サルヨの娘婿カルノの戦車に同乗したアスウォトモが、サルヨの故意の失敗でカルノが殺されたと報告し、サルヨの責任を追及するあまり、「かつては舅バガスパティさえ殺害した男だ」と罵る場面がある。

サルヨが戦闘指揮者になると、「ジタブソロの書」を遂行するクレスノは、バガスパティがサルヨに与えた呪文の威力を恐れ、ナクロとサデウォに情に訴えさせる策に出たが、かつて上辺の愛想の裏で舅の死を願ったサルヨは、双子の甥には演出者がいる、と即座に見抜き、むしろ双子の復唱によって、「悪意を持たぬ相手に死を請われた」設定を導き出した上、自分が「正法の白い血を持つ王」に討たれて死ぬのを"時間待ちの天界"で待っているバガスパティを思い、さらに双子に、ユディスティロに護符カリモソドを手にして出て来るように、とクレスノへの伝言を託した。

サルヨが出陣して、バガスパティに与えられた呪文を唱えると、小さなラクササが現れ、一人が殺されると二人に、二人が殺されると四人、と倍数に増えて戦場はラクササで満ちた。
対するユディスティロを「正法の白い血をもつ武将」と見抜いたバガスパティは、時間待ちの天界から降りてユディスティロの体内に入った。するとラクササ達は、本来自分を使役すべき、彼らにとっての父バガスパティが現れたと錯覚し、一斉にユディスティロを慕い、その体内に入った。戦場に満ちていたラクササ大群はこうして姿を消した。
瞑想にふけるユディスティロに近寄ったラクササは、全て無心の思念に焼け消え、バガスパティは乗り移ったユディスティロに「カリモソドの書」の矢をつがえさせ、弓を引かせ、サルヨを射た。
矢はサルヨに命中したが、元より発生させたラクササ達の消滅によって、サルヨは自身の力費えて死に到った。

スティヨワティ04話05話51話52話
ラクササ僧パガスパティが神に祈って生まれた娘。サルヨの妻。
スティヨワティは夢でサルヨを見て恋に落ち、父パガスパティによってサルヨに出会い、その妻となって、長男ブリスロウォ、次男ルクモロト、長女エロワティ、次女スリカンディ、三女バヌワティを生む。

大戦も終盤、戦闘指揮者に立った夫サルヨは、亡くなったパガスパティに授かった呪文がパンダワには通用しない事を自覚し、唯一安らぎを求めて自宅に戻り、スティヨワティに手料理「ルジャ(南国の果物入りサラダ)」を頼み、一人自室で瞑想していた。
そこへサルヨの妹の子で、パンダワの双子ナクロとサデウォが忍び入り、サルヨが己の死を示唆する伝言を授けているのを、台所にいたスティヨワティは密かに戻って聞き、双子が去ると、自分も戦場に連れて行って欲しいと頼んだ。サルヨは言葉を尽くして妻を宥めるが、スティヨワティは夫を自分とともに毛布にくるみ、互いの腰紐を強く結び、夫の腕の上に自分の頭を乗せ、ようやく安心して眠りに入った。
が、サルヨはこっそりとそれら全てを外し、妻に置手紙を書くと戦場に戻って行った。

サルヨの死を、書置きと戦場よりの報告で知ったスティヨワティは、侍女を連れ短剣を手にして戦場に向かった。
戦場は、戦車、人や馬や象の屍骸が積み上げられて地上に満ち、無数の槍や矢の刃が上向き、旗、法螺貝、戦士の腰紐、武器が散乱する。車を降り、死体にぶつかり転び、踏み付けて滑り、血の川にふくらはぎまで浸かって、グチャグチャになった死者の頭を一つ一つ持ち上げて確認し、象の屍骸に腰掛けて休みもはや自害しようと諦めかけた時、雨が降り稲妻の光で、逞しい歯を見せながら自分を見ているサルヨを見つけた。
抱きついて体を叩き、膝に乗せ薬を与えようとしたが、サルヨは動かず、スティヨワティはサルヨの短剣を抜き、胸から背中まで深く自分を刺し貫いた。
(このサルヨが死ぬ辺りまでは、詩人スダが書き、サルヨ夫人スティヨワティの後追いを描く時、ジョヨボヨ王の許可を得て、その王女をモデルにした所、描写に無礼があったのでスダは殺された。続きを書くためにスダの命令で起用されたのがパヌルである)。

グンドロ04話
妹にグンダリ、弟にスンクニ。
ある国の王子で、クンティの婿選びの儀に参加し、クンティがサルヨを婿に指名したのに異議を唱え、妹グンダリを賭けてサルヨに勝負を挑む。しかしサルヨに敗れ、グンダリをサルヨに一度手渡す事となる。

スンクニ04話06話09話11話22話23話25話28話29話31話32話45話
46話48話49話53話
兄にグンドロ、姉にグンダリ。アスティノ国宰相。
兄グンドロや姉グンダリとともにクンティの婿選びの儀に顔を出して以来、クンティに横恋慕しつづける一方、姉グンダリの嫁いだダストロストロ王や、グンダリの生んだコラワ長兄ドゥルユドノに巧みに取り入り、徐々にアスティノ国で大きな地位を占めた。
ダストロストロの香油を全身に浴びて、不死身の体を手に入れるが、油が肛門にだけは染み込まず、それがスンクニの急所となった。

姉グンダリのパンダワへの恨みに相乗りし、コラワ百王子に仕えつつ執拗なライバル心を煽った。

ダストロストロ王がパンダワ長男ユディスティロに譲位しようとした時、ドゥルユドノを炊きつけ、ダストロストロに新築を命じられた館に燃えやすい材料を用い、火薬を仕掛け、宴の夜にパンダワ兄弟とその母クンティをもろとも焼討ちにするなど、悪計を企んだ。

森に追い出されたパンダワがアマルト国を建国させると、スンクニはドゥルユドノの使者に立ち、言葉巧みに、軍勢を引き連れさせずパンダワ兄弟を招き寄せた。
パンダワ接待の宴の後、内輪のお遊びとばかりに賭博を持ち出し、アスティノ国長老達を引き上げさせ、サイコロに仕掛けを施して自ら振った。最初はユディスティロを勝たせて油断させ、後半からは、ユディスティロが数字を当てると籠の中のサイコロを無効にし、ドゥルユドノにはサイコロの数を指の数で密かに教えて、ユディスティロから持ち合わせの金や衣服をはじめ、アマルト国の宮殿と財、領土と軍隊、パンダワ兄弟の命と妻ドルパディまで賭けるように追い詰める。

負けがこんだ挙句、パンダワが13年の刑に服すると、スンクニは早速アマルト国の首都インドロプラストに入城し、下品に言い寄ってクンティに呪詛された。
意中のクンティを追い出す事とはなったが、実質的にアマルト国をコラワ陣営に納めた。

パンダワに世間の同情論が集まり、焦るドゥルユドノがあれこれパンダワ暗殺に乗り出す傍らに、常にスンクニの影があった。逆にパンダワに助けられ、恥じ入って自害しようとするドゥルユドノにも、スンクニは説得してアスティノ国に連れ帰っている。

パンダワの刑期が終わり、クンティやパンダワの舅ドルポドが国土返還を求めたが、スンクニは「パンダワの居なかった13年、王国を維持するにかかった費用と労力として、アマルト国に換算される費用の二倍を支払わなければ、国土を返すわけにいかない」と要求を突っぱね、ドルポドの抗議にも「舅(ドルポド)と従兄弟(ドゥルユドノ)では、従兄弟の方が血の繋がりが濃いから決定権も強い」と屁理屈で応酬した。

パンダワとの戦争を勝利に導くため、眠るクレスノを揺り起こしてそうとしたスンクニは、自分の体を撫で回し、後の戦で、皮膚を剥ぎ取られる運命と決まった。

アスティノ国の王宮会議でも、ビスモやドゥルノから、アスティノ国をコラワとパンダワで二分する意見が出たが、スンクニは「戦争によってしか解決できない。コラワは100、パンダワは5、勝つのはコラワだ」と強硬に開戦論を取って、サルヨの激怒を誘った。

コラワとパンダワの開戦が決まると、パンダワに荷担すべくサルヨがウィロト国に入ろうとする途中の野営、村人に出迎えさせ、サルヨにパンダワ側の好意と誤解させて接待し、翌朝、接待への義理でサルヨをコラワの陣営に引き入れた。
ビモに仕えるため旅に出たジョヨジョトロにも、アスティノ国の上位任官と、コラワ兄弟の末妹ドゥルシロワティとの婚姻話を持ち込み、コラワ側に吸い込んだ。

大戦では、コラワはビスモなど次々と有能な戦闘指揮者を失い、中盤を折り返すとドゥルノも戦死し、サルヨはドゥルユドノに停戦と和平の説得したが、ドゥルユドノの舅であるサルヨに対し、スンクニは「総統はドゥルユドノであって、家臣に命令される謂れはない」と高飛車に跳ね付けた。

この余波から、ドゥルユドノの次弟ドゥルソソノが逆上して戦死するなど、横柄さゆえに味方の足を引っ張るスンクニだったが、良き助言者を次々と失ったコラワにあって、カルノにガトゥコチョの隠れた能力を教えるなど、徐々に戦場に口出しするようになる。

スリカンディが弓矢でカルノの髭を射落とすと、片方だけになった髭をスンクニが笑って、カルノがスリカンディの胸当ての紐を矢で切り、これがアルジュノとの一騎打ちに繋がる。

アルジュノとカルノの一騎打ちの時には、スンクニもカルノの「エビカニの陣形」に従って出陣した。

カルノもサルヨも死に、コラワに残るはスンクニだけとなると、スンクニは出陣してスティアキと対戦する。
悪知恵だけに長け武勇など無いから、誰もスンクニが手ごわいと思わなかったが、意外にも余裕で高笑いしながら挑発し、しかもスティアキの武器が全く利かない。
が、クレスノがビモに「スンクニは不死身だ。しかし肛門にだけ急所がある」と教えたので、ビモはスンクニを棍棒で殴りつけてフラフラさせ、両肩をつかんでひっくり返し、爪をスンクニの肛門に差し入れると、一気に全身の皮膚を二つに引き裂いて絶命させるに至った。

グンダリ04話06話09話11話12話32話55話57話
兄にグンドロ、弟にスンクニ。ダストロストロの妻、コラワ百王子の母。
兄グンドロがクンティの婿選びの儀でサルヨに敗れたため、1度サルヨの手元に渡るが、その後サルヨが戦いを挑んだパンドゥが勝利したため、パンドゥによってアスティノ国に連れて行かれる。

パンドゥの兄ダストロストロによって、100人の子を生む未来を予知され、ダストロストロの妻に請われるが、グンダリは嫌がり、ともにアスティノ国に連れて来られたクンティとマドリムに助けを求めるが、2人の女はグンダリをダストロストロの方に突き飛ばす。
ダストロストロの妻にされたグンダリは、クンティとマドリムを恨み、「自分の100人の子と、クンティとマドリムの生む5人の子が、将来戦いによって敵となるだろう」と呪いの言葉を発した。

予言通りコラワ百王子を生んだグンダリは、弟スンクニとともに、我が子コラワ百人に、パンダワへの執拗なライバル心を煽って育てた。

しかし夫ダストロストロはこうしたグンダリの反対を押し切り、パンダワ長男ユディスティロに譲位しようとするなど、心の通い合わぬ夫婦生活が続いた。

ジョクジャのワヤンでは、大戦を前にクレスノがアスティノ国に使者に来て、巨大なラクササに変身し、ダストロストロ王とグンダリ王妃を、破壊された城壁の下敷きとさせる(死亡させる)、と描かれる。

ジョクジャ以外の(瓦礫で死なない)筋立ての一つは、グンダリは戦争の間もパンダワを憎み続けたが、ダストロストロは一度も自分の息子達の王位を望んだこともなく、甥のパンダワを敵視した事もない。
しかし大戦が終結すると、大戦によって長男ドゥルユドノ、次男ドゥルソソノをはじめ、多くの子(コラワ)や孫が、自身が望んだ戦争によって死に絶えたので、絶望と息子達の後追いの気持ちから、ここに来てパンダワを相手に戦場に立とうとし、そこに父アビヨソの昇天を聞いて、全ての気力を失い、剣で自らの胸を刺した。
この時、ダストロストロとの結婚をあれほど嫌がって呪いの言葉を発したグンダリも、同じ剣で自害。夫の体に我が身を重ね、二人は息絶える。

インド版においては、パンダワとダストロストロ夫妻は仲直りするのだが、ワヤンでは老夫妻が息子達の死についてユディスティロを始終責め、ビモがこれに応酬して悪口雑言を返すので、夫妻は山に入って死のうとする。
同行したのはパンダワ母クンティで、先頭に立ったクンティの肩に、両目を布で覆ったグンダリが手を置き、グンダリの肩にダストロストロが手を置き、ユディスティロらが見送る中、城を出て行く。
その時クレスノの言った通り、三年の瞑想の後、山火事が起きて3人は死ぬ。

ブリスロウォ05話20話21話42話43話
サルヨ長男。母はスティヨワティ。弟にルクモロト。姉妹にエロワティ、スルティカンティ、バヌワティ。
美形揃いの親族の間で、母系の祖父パガスパティの血を受け継いでラクササの容貌に生まれついた。それを恥じて父サルヨと同席する公式の場に顔を出さず、竹簾の影に隠れて過ごした。

クレスノの妹スムボドロを一目垣間見て恋情に陥り、父王サルヨに頼み、スムボドロの長兄ボロデウォ(その妻はブリスロウォの姉エロワティ)に頼み、姉スルティカンティの夫となったカルノに頼むが、誰も相手にしてくれないまま、スムボドロはパンダワ三男アルジュノに嫁いでしまう。

どうしてもスムボドロを忘れられないブリスロウォは、生涯妻を娶らぬと言い張り、ある時スムボドロに近づいて剣で脅すのだが、スムボドロは自らこの剣に飛びついて死んでしまう(が、後に蘇生)という事件が起こる。

大戦も中盤を迎えた頃、戦闘指揮者のガルドパティと副官ウレソヨを失ったコラワは、次の戦闘指揮者に、このブリスロウォを任命した。これを知ったパンダワ側から戦闘指揮者に志願したのは、クレスノの義弟で「ブリスロウォと自分は好敵手」と自負するスティアキだった。

スティアキは非力だったが、クレスノはアンチョコ「ジタブソロの書」に二人の対決が記されている事を密かに確認すると対決を許可した。
しかし剛の者として知られたブリスロウォは、スティアキを疲労困憊させ、何度も投げ飛ばしたあげく、股の間に首を挟んでいたぶった。
クレスノは、「一騎討ちに助太刀は武将の道に反する」という信念を持つアルジュノが、この時は息子アビマニュの死に落ち込んでいるのを「武将の心得」を持ち出して叱り、「腕試し」と騙し、髪の毛を的に矢を射らせた。
アルジュノの矢の先には髪の毛があり、そのさらに先にブリスロウォがいた。
クレスノの意図では、矢はブリスロウォの首に当たるハズだったが、アビマニュの死に動揺していたアルジュノの矢は、首でなくブリスロウォの片腕の付け根をねじ切った。
クレスノはさらに煽り、アルジュノはさらに矢を射て、もう片方の腕の付け根をねじ切る。
ブリスロウォは怒り狂って、一騎討ちの邪魔(敵の助太刀)をしたアルジュノを罵倒したが、クレスノはすかさず「これがアビマニュを一騎討ちでなく集団で殺したコラワへの報いだ」と口で言い返す。
ブリスロウォの股の力は弱まり、スティアキの朦朧していた意識は復活。猛然とブリスロウォに襲い返し、その首を取った。

ルクモロト05話36話
サルヨ次男。母はスティヨワティ。兄にブリスロウォ。姉妹にエロワティ、スルティカンティ、バヌワティ。
姉妹たちに似て美形ではあったが近視だった。

開戦と同時に、父サルヨはマツウォパティ王の三男ウラトソンコを殺し、マツウォパティ王長男セトは、弟の死に逆上して、仇のサルヨとドゥルノを探して戦場に直行。これをルクモロトが見付け、従者に矢を放たせたが、命中した矢にセトは全く堪えず、むしろルクモロトに迫って来た。
ルクモロトは自身で弓を取ったが、近視で目標が定まらず、セトはそれを気の毒に思いつつ、多くの兵の損傷を恐れ、ルクモロトを矢で射抜いた。

エロワティ05話17話18話20話30話
サルヨ長女。母はスティヨワティ。兄弟にブリスロウォ、ルクモロト。妹にスルティカンティ、バヌワティ。

名門出身の妃を得たいドゥルユドノがエロワティに求婚すると、やはりエロワティを妻にしようとしていた水中国のラクササ王子カルトウィヨゴが、エロワティを誘拐してしまう。

エロワティはカルトウィヨゴに「2人の妹を連れて来て欲しい」と頼んだので、カルトウィヨゴはエロワティの母国モンドロコ国までやって来たが、そこでボロデウォの追跡を受けボロデウォに倒された。こうしてエロワティはボロデウォの妻になる。

エロワティがアルジュノに「もう少し自分が若かったら、貴方の妻になりたかった」と言い寄る話もあるらしい。

夫ボロデウォをその弟のクレスノが大戦から遠ざけようと画策し、大地の呪いを受けたボロデウォに、その呪い除けとして「結婚相談に来る者がいたら協力し、欲しい物を与えよ」とボロデウォに進言しておいて、自分が貧相な老人に化けて、エロワティを妻に貰い受けたいと言い出す。
ボロデウォは怒り狂いながらも申し出を受け、しかしつまづいた老人をエロワティが助け起こした途端、ついにブチ切れて二人を引き離してしまい、呪いが解かれる事はない。

スルティカンティ05話18話31話33話48話49話
サルヨ次女。母はスティヨワティ。兄弟にブリスロウォ、ルクモロト。姉にエロワティ、妹にバヌワティ。カルノの妻。
コラワ長兄ドゥルユドノが求婚した長女エロワティはボロデウォの妻となったので、次にこのスルティカンティに求婚した。しかしスルティカンティは、この時すでに館に潜んで来るカルノと恋仲になっていた。
そのスルティカンティがコロカルノに誘拐されてしまう。カルノを実の兄と知り、同情したアルジュノは、コロカルノを倒し、スルティカンティは晴れてカルノの妻となった。

パンダワがコラワにアスティノ国を奪われたまま13年が経過した時、父サルヨは、全土返還すべきと主張して、反対するコラワ側の夫カルノとの間に口論が起きた。
この時サルヨが「お前に嫁がせた娘スルティカンティこそ哀れだ」と応酬している所から、カルノとスルティカンティの結婚が、父サルヨの祝福を得ていない様子が伺える。

戦を前に、カルノが別れを告げに来た時、スルティカンティは不吉な夢におびえていた。夢ではカルノが大海に溺れ、やっと乗った小舟も沈没するという。不安に駆られたカルノは、召使女スウェゴにアルジュノ暗殺を命じた。

大戦も終盤を迎えると、アルジュノと対戦していたカルノは、夕闇が迫ると撤退し、幕舎に戻ると、スルティカンティを思い出し、宰相を呼んで結婚指輪を手渡し、妻の待つ自国に行かせた。
スルティカンティは宰相の姿を見るや、夫カルノの死を早合点する。宰相は慌ててどもり、これを見たスルティカンティは懐剣で自害してしまう。
宰相は驚き嘆き、カルノに伝えに帰る。カルノはその場で宰相を撃ち殺し、死を覚悟した。

バヌワティ05話09話18話22話28話41話45話46話50話54話56話
サルヨ三女。母はスティヨワティ。兄弟にブリスロウォ、ルクモロト。姉にエロワティ、スルティカンティ。
物語きっての美女。着飾らずとも美しいと言われる一方、非常に気が強く、不機嫌な時ほど美しさが増すと描写される。
パンダワ三男アルジュノと幼なじみにして、互いに初恋の相手であった。

しかしサルヨの王女を妻に望んだドゥルユドノは、長姉エロワティをボロデウォに、次姉スルティカンティをカルノに次々と取られ、三女バヌワティに強硬に求婚。父サルヨ王の命令に折れたバヌワティは、「アルジュノと逢引する権利」を条件としてドゥルユドノに嫁した。
この時バヌワティは、アルジュノに「いつかコラワとパンダワの間で戦争が起これば、パンダワのスパイとなる、戦後必ずあなたの妻になる」と誓った。

サイコロ賭博事件では、パンダワを誘いに来たスンクニの口上を聞いたユディスティロ夫人ドルパディが、ドゥルユドノ夫人となったバヌワティと久々の語らいを求めて同行する下りがあり、二人が女友達だった事がわかる。

各国がコラワに着くかパンダワに着くかで騒然とした時、ドゥルユドノは、眠りの苦行をしているクレスノを目覚めさせた方が勝つ、という天のお告げを妻バヌワティに相談したが、バヌワティは「自分がアルジュノに頼み、アルジュノがクレスノに頼めば目を覚ます」と意地の悪い答えを返した。

ドゥルユドノとの間に長子レスモノモンドロクモロを生むが、大戦が勃発し、我が子レスモノモンドロクモロの死を聞いても、バヌワティは悲しむどころか、コラワ側の人間の死を聞くたびに喜び、むしろ敵であるアルジュノの子アビマニュの死を悲しんだ。

次々と有能な戦闘指揮者を失ったコラワ軍では、停戦と和平協定を持ち出したサルヨに対し、スンクニが「決定権はドゥルユドノにある」と跳ね付け、サルヨを「家臣」と見下したため、バヌワティに頭の上がらぬドゥルユドノは、バヌワティの実父サルヨを怒らせたのでは、と動揺し、カルトマルモにドゥルソソノを呼びに行かせる。
戦闘指揮者に命じられると喜び勇んで伺候したドゥルソソノは、いきなり王妃バヌワティ警護のため帰国を命じられる。

ドゥルソソノの報告を聞き、バヌワティはコラワ側の訃報に喜び、パンダワ側の訃報に涙したので、ただでさえ女の警護に不満だったドゥルソソノは「コラワの王妃だから尊敬され、贅沢に暮らしていられるのに」と不平を漏らし、バヌワティも「皆が戦場で苦しい思いをしている時に、なぜ一人逃げて来た」と痛い所をつき、「そんな命令しか貰えない男だ」と軽蔑する。
「番をされる方にも問題がある」と口を滑らせたドゥルソソノに、バヌワティはさんざん言葉の真相を問い詰め、「アルジュノと通じているからだ」と答えられると逆上し、「売春婦の汚名を負わされた」「パンダワが勝つに決まってる」と喚きたてた。
屈辱を味合わされたドゥルソソノは、スンクニ、カルトマルモらに止められるのも聞かず、バヌワティ警護を放棄し戦場に戻り、ビモに討ち果たされた。
この時、カルトマルモはスティアキと対戦して敗走し、終戦まで身を潜ませ、やがてアスティノ王宮のバヌワティの前に報復にあらわれる。

大戦も終盤、アスウォトモはカルノの戦死について、サルヨの責任を追及したあげく、怒ったサルヨに打ちかかられて逃げ、バヌワティ王妃の宮殿に身を寄せ、カルトマルモと合流。バヌワティを「ドゥルユドノに安全な場所に移せと命じられた」と、そそのかして連れ出した。
が、これは罠で、アスウォトモはサルヨがカルノを死に至らしめた事に憤慨し、サルヨの娘バヌワティを陵辱して、妻にしてやろうと考え、カルトマルモも、バヌワティがドゥルソソノを炊きつけて死に追いやった時、憤慨するドゥルソソノの周囲にいた、という経緯があった。

夫ドゥルユドノはビモに敗れて戦争は終結し、パンダワが晴れてアスティノ国に凱旋すると、王宮に入ったアルジュノが何より先に探したのは、初恋の人バヌワティであった。しかし彼女はいなかった。
バヌワティは、森に連れ去られてからアスウォトモとカルトマルモの悪計に気づき、必死に逃亡して森の中を彷徨っていた。獅子や犀、野牛に出会ったが、気品高い香りに獣達は王族の女性と察し、恐れさせないように距離をおいて、その前後左右を護衛して歩いたから、身の危険は無かったが、衣服は夜露と枝と泥の邪魔にあってボロボロだった。
そんな所にバヌワティを探しに出たアルジュノと出会うが、アルジュノは一目でこれがバヌワティとわかり、二人は抱き合って再会を喜んだ。
バヌワティは「アビマニュの子の乳母にでもして貰えれば」と言い、二人は手に手を取って王宮に帰った。

しかしその夜、復讐のため王宮に押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男、父の仇ドルストジュムノを殺すと、さらにカルトマルモの命令で、弱い女子供を狙って女の館に侵入し、熟睡していた女戦士スリカンディを即死させ、パリクシトのそばにいたバヌワティを犯して殺した。

コンソ07話
母はマンドゥロ国バスデウォ王妃であったが、これに父のラクササ王が変装して近寄り、妊娠した母は森に捨てられ、男子コンソを産んだ。
実父の部下であるラクササに養育されて育ったコンソは、終生バスデウォ王を恨み、他の妃を娶ったバスデウォ王の子を、生まれるたび6人まで殺した。7人目のボロデウォ以後、クレスノ、スムボドロは死を免れたが、コンソはマンドゥロ国を乗っ取ろうと策謀を練り、ボロデウォ・クレスノ・スムボドロ三兄妹をおびき寄せ、諸国の武芸者を集めて闘技大会を催し所、成長したボロデウォに逆に討ち果たされた。
インドでは、コンソ自身が元々ある国の悪い王で、これを油断させて懲らしめようと、ウィスヌ神が、コンソの妹でバスデウォ王に嫁いだ妃の腹に宿り、クレスノとして生まれて来る。

ボロデウォ07話09話15話17話18話19話20話28話29話30話53話
54話59話60話
マンドゥロ国バスデウォ王の嫡子。弟にクレスノ、妹にスムボドロ。蛇神バスキの化身。
バスデウォの子は、ラクササ王子コンソに6人まで殺されたが、7人目のボロデウォは、周囲が替え玉の赤子を用意して避難させられた。
成長したボロデウォはゴド(棍棒)の使い手として武勇に優れ、コンソが自分たちの殺害を計画した闘技大会で、ボロデウォは逆に見事コンソを討ち果たし、逃げ隠れの日々を終わらせた。
ボロデウォは正義感だが多少短気で、常に弟クレスノの思慮(あるいは策謀)にしてやられ、内心腹立たしく思うことも少なくない。

ボロデウォは、従兄弟のパンダワ兄弟と、そのさらに従兄弟コラワ兄弟達に若い頃から武芸を仕込んだ。

ボロデウォがモンドロコ国にいた時、サルヨ長女エロワティが水中国のラクササ王子カルトウィヨゴに誘拐され、カルトウィヨゴが呪文でモンドロコ国の人間を眠り込ませた中、ボロデウォだけは眠らず、追跡をかけて、水中国のラクササ軍もろともカルトウィヨゴを倒した。
この時、エロワティに求婚していたコラワ長兄ドゥルユドノはコラワ軍を出動し、エロワティを渡すまいと、姦計を用いてボロデウォに重傷を負わせたが、ビモの活躍で救われ、ボロデウォはエロワティと結婚する。

また弟クレスノが第二夫人ルクミニを浚って国内に入った時には、ルクミニの兄ルクモが追撃してきた軍を追い散らしている。

コラワとパンダワの間に戦雲が漂うと、ドゥルユドノは眠りの苦行をしているクレスノを目覚めさせた方が勝つと信じ、妻同志が姉妹という立場から、ボロデウォをクレスノのドロワティ国に攻め入らせた。

クレスノを起こそうとして次々と死の運命を知らされる諸将達の中、ボロデウォは用心して弟クレスノには触れず、ヌンゴロ(剣)を打つが、クレスノの口からはチョクロが飛んで来て、クレスノを起こせなかった。
クレスノの魂が天界で受け取った「ジタブソロの書」には、戦士同志の一騎打ちに「ボロデウォ×オントセノ=」と書かれる直前だったが、すんでの所でクレスノはこれを地上に持ち帰り、目覚めたクレスノが新たに、千の王が率いる軍隊と一切戦闘には加わらないクレスノのどちらを選ぶか、とクイズを出すと、ドゥルユドノは前者を選んだので、ボロデウォは「千の王も軍隊も死ぬが、クレスノは不死身だ」とドゥルユドノの誤りを指摘したが、取り返しがつかない。

ボロデウォが長引く遣り取りに業を煮やし、ヌンゴロを地に刺すと、地が怒り呪いをかけたので、ボロデウォは弟クレスノに助けを乞う。クレスノは「40日間、女色を遠ざける事」と進言し、女性に化けたアルジュノに愛を告白させ、ボロデウォに触れさせる。
次に「結婚相談に来る者がいたら、欲しい物を与えよ」と進言し、ボロデウォの妻エロワティを妻に求める貧相な老人に化けて、エロワティに親切を施され、ブチ切れたボロデウォに引き離される。
クレスノは「助かる道はあと一つ。苦行所でバナナの木を植え、花が咲くまで瞑想する以外にない」と、ついにボロデウォを戦地から遠い場所に釘付ける事に成功する。
ボロデウォは兄として唯一クレスノに意見でき、大戦の邪魔だから遠ざけたという解釈もあれば、相手がオントセノでは兄ボロデウォに勝ち目が無いから、書き込まれる前にジタブソロの書を盗んだ、と解釈される事もあり、ボロデウォが自分からこの戦いの非を嫌って出ないと宣言する、という話もある。

戦が終わる頃、ナロド神が「結末を見よ」と呼び、修行所にいたボロデウォがやって来る。(もっと後で、完全に戦争が終わってから登場する、という話もある)
池で瞑想していたドゥルユドノをクレスノが見つけ、声をかけたが、ドゥルユドノは答えようともしなかった。ボロデウォが声を掛けると、やっとドゥルユドノは出て来た。ボロデウォは弟クレスノとしばしば対立していたし、ドゥルユドノとは妻同士が姉妹(エロワティとバヌワティ)だったからだ。
ドゥルユドノとビモの勝負が始まった。二人とも棍棒の使い手で、どちらもボロデウォの弟子だった。
クレスノはアルジュノに「太腿を打つように合図しろ」と指図。アルジュノがビモに見せるように自分の太腿を叩くと、これを見たビモは、跳躍してビモに襲い掛かったドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打つ。

ルール違反の相次いだこの戦争を見てなかったボロデウォは驚き、二人の弟子の間に入って停止させようとしたが、クレスノは「過去の報いだから違反でもいい」と説明し、「自分の言う事を聞かないとまた天罰が下る」と、又もや兄を脅して退けた。

そのパンダワもクレスノも昇天すると、それを見据えて、ビモとアルジュノを仇と付け狙っていた、ガルドパティの息子ガルドコがアスティノ国に攻撃をかけてくる。これを迎え撃ったのはボロデウォだった。

さらにアリムボの子ウシアジも、スリタンジュンという女戦士とともに、父の仇としてアスティノ国に押し入り、アスティノ国を崩壊に向かわせた。
これにもボロデウォが立ち塞がったが、スリタンジュンは変身してボロデウォの武器を奪い、サデウォの子シドプクソも変身し、その武器を奪い返そうと、武器は敵味方の間を巡った。
ナロド神が二人は従姉弟同士だと諭して、スリタンジュンはアスティノ国に入った。
パリクシト即位の時を迎え、三代の親族とともに、高位高官も民衆も歓呼して祝うのを見届け、ようやく昇天しようとするビモ、アルジュノ、クレスノの霊魂にボロデウォが呼び止め、一人残された自分の死期について問う。クレスノは「突然雲が起き、雷鳴とともに雨が降り、寒気を覚えた時」と答える。
スリタンジュンを失ったウシアジは、諦めずにまたアスティノ国に攻めて来た。ボロデウォがまたこれに立ち塞がり、そしてついにウシアジを倒した。
その刹那、暗雲が押し寄せ雷鳴轟き、豪雨が降って、予言通りボロデウォは寒気を覚えた。立ち塞がる態のままボロデウォは昇天し、見届けたビモ、アルジュノ、クレスノもようやく昇天する。

クレスノ07話09話10話15話17話19話21話23話24話25話27話28話
29話
30話31話32話33話35話36話37話38話39話41話42話43話44話
47話49話50話51話52話53話54話55話56話57話58話59話60話
マンドゥロ国バスデウォ王の次男(8人目の子)。ウィスヌ神の化身で、ウィスヌ神の武器チョクロと、死者を蘇生させるウィジョヨクスモの花を持つ。
インドでは悪王コンソを懲らしめるため、ウィスヌ神がクレスノとして生まれたが、牢内で生まれる子はコンソに次々と殺され、ボロデウォとクレスノだけが逃げて生き延びる。
クレスノの母はクレスノを生んですぐ亡くなり、クレスノは兄ボロデウォの母の乳で育てられたため、ボロデウォと双子のように似ていたと言われ、兄ボロデウォや妹スムボドロとともに、コンソから逃れて小さな村で育った。

原産のインドでは、兄夫婦(ユディスティロとその妻ドルパディ)の部屋に闖入した罰でアルジュノが森を放浪し、出会ったクレスノとともに住むようだ。

第一夫人の子ソムボは、第四夫人の子ボモノロカスロに惨殺され、さらにボモノロカスロがアルジュノまで殺したのでクレスノは激怒し、我が子ボモノロカスロを射抜き殺した。
叔母にあたる第二夫人ルクミニとは強奪婚で、結婚後は王女シティスンダリを儲ける。
また従兄妹にあたるスティヨボモはドゥルノの求婚を受けていたが、クレスノは嘘をついて近づき、横取りして第三夫人としている。
このスティヨボモに恋していたある国王を倒し、ドロワティ国を乗っ取って即位。またスティヨボモの弟スティアキは、この頃からクレスノの側近となる。

クレスノはパンダワ兄弟を徹底して贔屓した。中でも三男アルジュノへの偏愛が激しく、妹スムボドロを嫁がせてアビマニュを生ませ、アルジュノの息子イラワンにも、娘ティティサリを嫁がせている。

妹スムボドロがブリスロウォに殺害されると、クレスノは悲しんで遺体を川を流したが、オントセノがスムボドロを蘇生させたので、同じく蘇生の術を持つクレスノはオントセノの超能力に脅威を感じた。

サイコロ賭博事件では、ドゥルソソノに衣服を脱がせかけられたドルパディを、超能力で次々と衣服を出して助けたが、現場に駆けつけた時パンダワ達は追放された後で、クレスノは妹スムボドロとアビマニュの身柄を引き受け、ユディスティロに危険なく過ごせる森を教えてやった。

ドゥルユドノの作為からパンダワが苦行僧の呪いを受けそうになった時も、クレスノは呪いからパンダワを救った。

アルジュノと妹スムボドロの子アビマニュが成人すると、アビマニュにも、自分の娘シティスンダリを嫁がせた。

アビマニュが第二夫人にウタリを娶った事に驚くシティスンダリに、クレスノは「アビマニュとウタリの子が、やがて王位を継ぐ天啓を受けた」と教え諭すなど、自分の妻子より、パンダワ親子を溺愛する様子が伺える。
コラワとパンダワに戦気が漂うと、クレスノは巨大な化け物に変身して眠りの苦行をし、クレスノを目覚めさせた方が勝つ、というお告げを聞いたドゥルユドノは、ボロデウォとカルノにクレスノのドロワティ国に攻め入らせた。

クレスノは、揺り起こそうとしたコラワ軍の者達に、彼らの死に様を知らせた。中でも「言い負かす」事が、口から吐き出される気息や火によって表される。
クレスノの魂は天界で対戦表「ジタブソロの書」を手に入れるかわりに、グル神にウィジョヨクスモの花(蘇生の術)を渡した。
アルジュノに眠りを覚まされたクレスノは、自分が起こしたと言い張るドゥルユドノにクイズを出し、ドゥルユドノに敗北を、クレスノを選んだアルジュノに勝利を示唆した。

また、兄ボロデウォを大地の呪いから助けるフリを装って兄を大戦から遠ざけたり、強力な毒気を持つオントセノに自分の足跡を舐めさせて昇天させたり、アルジュノの息子ウィサングニも小さくして風に飛ばすなど、戦自体を成り立たなくする超能力の持ち主を、悉く抹殺して大戦の基本設定を整える。

当のパンダワ長兄ユディスティロが領土も性急な解決も望まないのに、クレスノは使者としてアスティノ国に乗り込み、強硬に「アマルト国とアスティノ国の全領土返還」を要求。「文書への押捺がなければ、最後の血の一滴まで戦う」と宣戦布告し、さらに自分への毒殺・暗殺の姦計を画策したドゥルユドノを失神させ、軍で襲いかかったコラワには巨大変身して凌駕した。

クレスノの変身は「千個の頭が天に聳え、足は海底に達し、アスティノ国を踏み潰せる巨大さ」とされ、ジョクジャのワヤンでは、和平派のダストロストロも邪魔に思い、グンダリ妃もろとも破壊された城壁の下敷きに死亡させるが、原産のインドでは、クレスノの変身はアルジュノに対してのみ見せる物のようだ。
クレスノはカルノをパンダワの味方につけようと、クンティがカルノを生んだ悲話を聞かせた。

しかしカルノは、パンダワのためにも戦での決着を選び、自分はドゥルユドノとともに滅びる決意を述べたので、クレスノはクンティだけをともないウィロト国に戻った。(一方ジョクジャでは、カルノがパンダワを殺したくないと言うのを、クレスノにドゥルユドノへの恩を諭される展開もある)

大戦を前に、恩人達との戦いに悲嘆するアルジュノに、クレスノは巨大変身し、ヒンドゥ聖典「バガヴァット・ギーター」を引用して諭す(クレスノとアルジュノの二人だけの心象風景のようにも思える)。

開戦と同時に、次男と三男が戦死したマツウォパティ王の悲しみもよそに、自分が戦闘指揮者となるのを断り、「ジタブソロの書」に沿って、さらにマツウォパティ王長男セトを指揮者に推薦。

そのセト王子も死に、さらに恩師ビスモとの戦いに躊躇うパンダワ軍に苛立つクレスノは、次の総指揮者にスリカンディを推薦。ビスモを死に追いやった。
次のコラワ戦闘指揮者がボゴデントとわかると、クレスノは、戦闘指揮者をスリカンディからアルジュノに変え、ビモを副官に任命。

ボゴデントの鎖矢からアルジュノを救ったクレスノは、アルジュノに戦のルール違反を非難されるが、天界の掟を持ち出して却下した。(以後、何かと言うとクレスノは、「ルール違反」に対して「口で言い負かす」)
次のコラワ戦闘指揮者ガルドパティに対し、クレスノはビモを戦闘指揮者に、アルジュノを副官に任じ、戦のルールを持ち出して、ビモに夜の戦闘と深追いを禁じたが、敵の術中に落ちたビモとアルジュノが戦場を離れた隙に攻めて来たコラワ軍に対し、クレスノはパンダワ五男サデウォを使者にアビマニュを呼んだ。
道行くサデウォに、グル神の意向受けたナロド神が、「ジタブソロの書」通り、クレスノがアビマニュを戦死させるべく実行してるかを聞き出す下りもある。

アビマニュの戦死をセトロプル山で知ったアルジュノは、「日暮れまでに(アビマニュの仇の)ジョヨジョトロを殺せなかったら、火に飛び込んで死ぬ」と宣言してクレスノを仰天させる。「天への誓い」はクレスノにも取り消せないからだ。

クレスノはチョクロで太陽光線を偽装。周囲が日暮れと錯角し、従者に「アルジュノが焼かれる」と叫んで廻らせ、見に来たジョヨジョトロの顔がアルジュノを焼く祭壇の火に照らしだされると、アルジュノがパソパティで首を跳ね、クレスノがチョクロをどかすと、夕陽は暮れる一歩手前だった。
ところがジョヨジョトロの首は疾駆しはじめ、育ての親スムパニの方に飛んだ。クレスノは慌てて蝿に化けて飛んで行き、息子ジョヨジョトロの生還を祈念するスムパニを邪魔したため、スムパニが祈祷を間違え、ジョヨジョトロの首はようやく死んだ。

次のコラワ戦闘指揮者ブリスロウォに対抗して名乗りを上げたスティアキに、クレスノは「ジタブソロの書」を確認して許可する一方、アビマニュの死に沈むアルジュノに「武将の心構え」を説教して煽り、「腕試し」として髪の毛を的に弓を射らせ、ブリスロウォの両腕をねじ切らせた。
ブリスロウォは怒り狂って、アルジュノのルール違反を罵倒したが、クレスノは「アビマニュをルールに反して集団で殺したコラワへの報い」と言い返す。

次のコラワ戦闘指揮者ドゥルノが、声を出さねば透明人間になれる術で、ドルポド王やマツウォパティ王を死亡させると、クレスノはビモに乗用象エスティトモを撃たせて、皆に「アスウォトモ(ドゥルノの息子)が死んだ」と触れ回らせたので、ドゥルノは思わず声を出し、たちまち姿を現して首を切られた。

ビモがドゥルソソノを捕えた時、クレスノは正確に復讐の誓いを実行させるべく諭し、ビモがドゥルソソノの全身をバラバラに引き裂いて、パンダワの執念とした復讐を遂げさせた。

カルノが魔矢を射ようとした時、カルノの馬車を操っていたサルヨは戦車を揺さぶって、魔矢はアルジュノの急所を逸れ、アルジュノがパソパティの矢をつがえると、サルヨの操るカルノの戦車はぬかるみに車輪を取られた。
カルノは戦いの公正を訴えたが、アルジュノの車の操者だったクレスノは「パンダワが焼き討ちにされた時も、十三年の放浪をさせられた時も手助けせず、サイコロ賭博の時には『ユディティロに捨てられた上は、他の男に嫁げ』と言った」とカルノに公正さが無いと言い返し、アルジュノに「今しかチャンスはない」とけしかけて射らせ、カルノの首は射切られた。

コラワの次の戦闘指揮者のサルヨは「敵に襲われた時、敵の二倍の力を得られる呪文」を持っていた。
クレスノはサルヨの甥にあたるパンダワの双子、四男ナクロと五男サデウォを夜陰に忍び入らせ、伯父サルヨに「戦場でまみえるより、今すぐ手討ちにして欲しい」と涙ながらに願い出させた。
しかしサルヨは、双子の甥のこの行動は裏にクレスノの命令がある事を察した上で、「自分を倒せるのはユディスティロだけ。それも武器ではなく、護符カリモソドを手にして出て来るように」と、暗にクレスノへ伝言を託した。

パンダワ兄弟は誰もがサルヨとの戦いには戦意を持てず、伝言を受けると、これまで何度も和平論を撥ね付けられたユディスティロは、度重なるクレスノの策謀に「あなたの指図は受けない」と不愉快を示した。
そこでクレスノは「全軍に引き上げ命令を出せ」と言い、これに反抗する形でユディスティロを戦場に立たせ、サルヨを死に追いやった。

最後に残ったスンクニを倒すため、クレスノはビモにスンクニの急所が肛門にある事を教え、ビモはスンクニの肛門から全身を引き裂いて絶命させた。
最後の一人になったドゥルユドノをクレスノだけが見付け、池のほとりから「戦争は終わった。出て来て我々とともに生きていい」と声を掛けたが、ドゥルユドノは返事もしなかった。そこに、これまで修行所にいたボロデウォがやって来て声を掛けると、やっとドゥルユドノは出て来た。
クレスノがドゥルユドノが衣服を着るのを手伝ってやると、ドゥルユドノは挑戦し、クレスノも当然その気だったから、対戦相手を聞いた。
ドゥルユドノはビモを選び、クレスノはアルジュノに「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言い、アルジュノはビモに見せるように自分の太腿を叩いた。
ジョクジャではここで、クレスノは従者ペトルに隠語を伝えさせるが、ビモはルール違反はしない。が、原産インドでは、アルジュノの動作を見たビモは、ドゥルユドノの左太腿を棍棒で打つ。

ルール違反なので、ボロデウォが二人の間に入って停止させようとしたが、クレスノは例によって「過去の報いだから違反でもいい」と説明し、「自分の言う事を聞かないとまた天罰が下る」と、又もや兄を脅して退けた。
ビモはドゥルユドノの頭を足で蹴り、ユディスティロがビモを死罪にしようと聞くが、ドゥルユドノはこれには答えず、クレスノに「卑怯な戦法をビモに命じたお前こそ悪の根源だ」と呪いを口にしかけ、言葉半ばで絶命した。

こうして大戦が終わっても、クレスノはパリクシトの寝床にアルジュノの秘矢パソパティを置かせ、復讐のため侵入して来たアスウォトモに、赤ん坊パリクシトが足を蹴り上げて矢を命中させ、落命させた。(ワヤン以外の物語ではパリクシトは死亡し、クレスノに蘇生させられる)
駆けつけたクレスノの呪いの言葉で、死体となったアスウォトモは蛆虫になる。逃亡した共犯のカルトマルモも羽虫に変えると、従者のクルポに、ドゥルノ亡き後、その息子アスウォトモの物だった国の領主に任じた。

病に伏したアルジュノに、クレスノはバヌワティに生き写しの女チトロホイの事を告げ、車にアルジュノを乗せてスリウェダリ国に着くと、アルジュノを車の中に置いて国王に会い、お前の妃(チトロホイ)を差し出せと要求した。
その国王とは、かつてクレスノが「自分の言う事は何でも聞け」と言っておいた、パルグナティの息子アルジュノパティで、これが元でアルジュノパティとその妻チトロホイも悲劇の死を遂げた。

インド版では、ダストロストロ夫妻が死を覚悟で入山する。この時にクレスノが予言した通り、3年後、山火事が起きて、同行したクンティとともに3人は死ぬ。
平穏を取り戻した世に奇妙な出来事が起きたので、ユディスティロが尋ねると、クレスノは「パンダワ昇天の時が来た」と述べたので、一行は旅立ち、途中ワヒト村に到着。
村の男たちは虎に姿を変えさせられていて、自分の村の女達を食おうと相談していた。ビモとアルジュノが虎を迎え撃って殺すと、虎達は人間に戻り、クレスノに「村の女達を幸せにするように」と諭されて村に戻った。

またガドゥンムラティ村では、かつて大戦によって両足を失った馬丁アンギロが、坐して動けぬまま日を過ごしていた。クレスノに問われてアンギロは死を望み、ビモによって昇天した。

パンダワが昇天するための祠堂に辿り着き、ビモが祭壇に炊かれた火に身を没しようとすると、クレスノが呼び止めて、ついに開かれる事のなかったビモの握りこぶしの正体を知りたいと言い、顔を近付けて、放たれた光に圧倒され、思わず自分の最期について問う。
ビモは「二部族の戦いが起こり、互いに相果てて世界が砂漠になった時、獣と見間違えられて狩人の矢に射られて死ぬ」と予言し、「これまでのパンダワへの手立てに心底感謝している。しかしそれはパンダワが望んだものではなかった、全ては神のみぞ知る」と言い残し火中に身を投じた。
ビモに諭されたクレスノは、おとなしく自分の国に戻って運命に従う用意をする。

死を迎えたクレスノはパンダワと「時間待ちの天界」で合流。
パリクシト即位の時を迎え、クレスノやビモの孫、スティアキの息子とともに、高位高官も民衆も歓呼して祝うのを見届け、ようやく昇天しようとするクレスノの霊魂にボロデウォが呼び止め、自分の死期について問う。
その後、ボロデウォがアスティノ国を攻めて来たウシアジを倒し、クレスノの予言通り昇天すると、これを見届けたビモ、アルジュノとともに、クレスノもようやく昇天する。
長い平和の後、ジャワ島に強力な守護者がおらぬため、悪者が土地を焼き尽くして崩壊させた。
ウィスヌ神はクレスノ以来、再びこの地上に神王ジョヨボヨを遣わした。ウィスヌに守られたこの島には超能力が宿り、誰も刃向う者は出なくなった。
(つまり歴史に実在のジョヨボヨ王は、クレスノの再来という事が最後に書かれている(^^ゞ)

スムボドロ07話20話21話23話48話56話57話
マンドゥロ国バスデウォ王の王女。長兄にボロデウォ、次兄にクレスノ。パンダワ三男アルジュノ第一夫人。パンダワ系譜8代目アビマニュの母。
2人の兄ボロデウォ、クレスノとともに、コンソの魔の手を逃れて家畜飼育人の夫婦とその子ウドウォに守られて育った。

やがて次兄クレスノによって、アルジュノの第一夫人となる。
スムボドロはアルジュノよりやや年上だが、非常に美人で、実は天界の妖精の一人とされ、スムボドロが地上にいるために、天界の十万人の妖精たちは常に一人足りぬとも言われる。
夫アルジュノは結婚前から星の数ほどの女達にモテ、アルジュノ第二夫人スリカンディなど、よりによってアルジュノとスムボドロの結婚式でアルジュノに惚れこむ有様だったが、夫婦生活は円満で、嫡男アビマニュを出産。

スムボドロもアルジュノ同様にモテモテで、サルヨ長男ブリスロウォは結婚前からスムボドロに恋慕し、剣で脅して強硬に口説こうとしたが、スムボドロは自らこの剣に飛びついて死んでしまう。しかし、そこに通りかかったオントセノによって蘇生する。
また、ラクササ王ジョトギンバルもスムボドロに恋をし、アルジュノに騙されアルジュノそっくりに変身して、スムボドロと愛し合ったが、このスムボドロは実はジョトギンバルの妹ジョトギニであった。
つまり同じくアルジュノを慕ったジョトギニが、スムボドロの格好をして兄ジョトギニと愛し合ったわけだが、これはやはりスムボドロがジョトギニに「自分の変装を」と薦めた、という事だろうか(笑)。

サイコロ賭博によって何もかも失ったパンダワだったが、スムボドロとアビマニュは賭けられずに済み、クレスノによってスムボドロ母子は引き取られ、以後は兄クレスノの庇護の元に暮らした。

大戦が勃発し、その半ばを超えた頃、ヨモウィドロの子スンジョヨが、コラワ側から「パンダワに付きたい」と、スムボドロとスリカンディの身を寄せる後方陣営に志願しに来た。
戦士でもあるスリカンディが怪しみ、追い払おうとしたが、スンジョヨがパンダワへの忠誠を試すテストをして欲しいと頼むので、「カルノの首を取って来い」と答えると、スンジョヨは大喜びで飛び出して行った。
スムボドロは、スンジョヨにカルノが倒せるはずがないと思い、かつてパンダワが焼き討ちされた時、父ヨモウィドロの命を受けたスンジョヨが助けてくれた話をして、スリカンディを諭すと、スリカンディは後悔して後を追った。

大戦が終了し、その後の復讐によって初恋の人バヌワティを失ったアルジュノは病に伏した。
ドルパディとスムボドロが看病したが治らず、そこに兄クレスノが、バヌワティに生き写しの女がスリウェダリ国王の妃であると告げたため、 アルジュノは飛び起きて旅に出る。スムボドロは、夫にこうした異様な行動をさせる兄クレスノに怒り、「兄上は世を平穏にするどころか騒動の種でしかない」と皮肉を言った。

パンダワは死期を迎えるにあたって旅に出るが、これにスムボドロも同行している。

ウドウォ07話34話
家畜飼育人の夫婦の子。妹にララサティ。実はバスデウォの隠し子とも言われる。
コンソの魔の手から逃れたボロデウォ、クレスノ、スムボドロ兄妹とともに育ち、後にクレスノの宰相となって戦争を統率する。

大戦間際、ウドウォはクレスノ義弟スティアキとともに女戦士スリカンディに交渉決裂を伝え、スリカンディが「ウィロト国に行き、正規の戦闘命令を受ける」と言った時、コラワの先制攻撃の報が入り、これを蹴散らしたスティアキが深追いしようとしたので、「戦いの秩序」について、「作戦の伝達経路は、やはりスリカンディの言う通り、まずはウィロト国に行き、上官の命令を受けて動くべきだ」と諭した。

ララサティ07話20話
家畜飼育人の夫婦の子。兄にウドウォ。
パンチョロ国王女スリカンディが、パンダワ三男アルジュノに武芸(弓)を教わってアルジュノの第二夫人となるが、このララサティもアルジュノに弓を教わり、スリカンディを負かす腕前を身に付け、アルジュノの妻妾となる。

宇宙護持神ウィスヌ07話25話38話60話
宇宙支配神グル神の息子。クレスノとアルジュノに入魂している。
インドでは、破壊神シヴァや創造神ブラフマーとともに三位一体神とされるが、インドネシア・ワヤンにおいてはグル(=シヴァ)神の息子とされ、天界を守るため、グルの命を受ける態を保ちながらも、個人としても決定的な力の持主である。
インドでは、悪王コンソを懲らしめようと、ウィスヌ神がバスデウォ王に嫁いだコンソの妹の腹に宿り、クレスノとして生まれて来る。ウィスヌが化身するクレスノやアルジュノには、ウィスヌの意思が伝達・体現されている。

その威光が示される話は、この戦記物では多くないが、サイコロ賭博事件の後、森で13年の刑に服したパンダワの前に、ドゥルユドノの作為から千人の修行僧が遣され、この接待に負われる話がある。
クレスノが修行僧たちに会うと、僧たちはウィスヌの化身に会えた光栄で空腹を満たしたため、パンダワは呪いを受けずに済むのである。

ボゴデントとアルジュノの戦いで、クレスノはボゴデントの鎖矢をジャスミンの花輪に変え、アルジュノに「一騎討ちの邪魔をしてはならない」とルールを持ち出されたが、クレスノは「鎖矢は元々ウィスヌ神が与えた物で、グル神から奪い返すように言われていた」と天界の掟を持ち出して却下した。

大戦が終わり、平和な世の内に多くの時が流れ、ある時、ジャワ島に強力な守護者がおらぬため、悪者が土地を焼き尽くして崩壊させた。ウィスヌ神は事態を救おうと、クレスノ以来、再びこの地上に神王ジョヨボヨを遣わした。ウィスヌに守られたこの島には超能力が宿り、誰も刃向う者は出なくなった。

宇宙支配神グル08話10話16話23話24話29話31話35話38話39話40話
45話46話47話
インドにおけるシヴァ神。人の生死を支配すると言われ、天界で最高の地位にあり、インドロ、ナロド、バユ等はグルの内閣に属しているようだ。
パンドゥが受けた鹿の呪いは、インドロ神に由来する大地の安全と幸福へのたゆまぬ努力の知恵をパンドゥから消滅させるため、罪に陥れて天界の火山に投じるべく、聖僧が鹿に化けた所を殺させようとグルが仕組んだ、ともいう。

ワヤンではグルとウィスヌ神は父子となっており、アルジュノパティが、父パルグナティの事を聞きにグルを訪ねた時、グルは、無礼を働いた罪にアルジュノパティを陥れ、ウィスヌの化身クレスノの待ち構える苦行所へ追いやる。父子(グルとウィスヌ)の連携プレーにも見れる。

グル神は多くの超能力の武器を保持していたようだ。
天界で暴れるラクササ王コロプルチョノの退治にアルジュノを選んだ時、ビモの子ガトゥコチョが怪力でラクササを吹き飛ばしたので、これを応援すべく神々はガトゥコチョを補強し、グル神も三種の武器=空飛ぶサンダルと翼、冠を与えて応援した。

再び妖精スプロボを求めて天界を脅かす魔王が登場した時、インドロ神がこの退治役にアルジュノを見立て、グルはアルジュノに超能力の秘矢パソパティを授けた。

グルの弱みは離縁した女神ドゥルゴで、ドゥルゴは我が子デウォスラニの横恋慕の相手ドゥルソノロを、アルジュノと離縁させるべく騒ぎ、グルはドゥルソノロの父、火神ブロモに二人の離縁を強行させた。
よって、捨てられたアルジュノとドゥルソノロの子ウィサングニが超能力を得て、グルとドゥルゴ母子を懲らしめるなど、ヒンドゥ多神教にあっては最高神のシヴァが、イスラム影響下では軽率な性格で描かれるようだ。
またグルは、日ごろ愚鈍を装う兄のスマルにも弱く、スマルが本気で怒ると頭が上がらない。

大戦を前に、グルの居城でナロド、インドロ、ブロモ等が対戦表「ジタブソロの書」に、戦士の一騎打ちと対戦結果を書いていた時、白蝿に化けたクレスノが邪魔をし、グルにウィジョヨクスモ(蘇生)の花を渡して、「ジタブソロの書」を地上に持ち帰った。

クレスノがアスティノ国に国土返還要求の使者に赴くと、グルはクレスノの四頭立て馬車に、ナロドをはじめ、目付けとして四人の神を降臨させてクレスノを監視した。

大戦が勃発すると、ボゴデントとアルジュノの戦いで、ボゴデントの放った鎖矢を、ルール違反に及んでジャスミンの花輪に化したクレスノが、「鎖矢は元々ウィスヌ神が与えた物で、グル神から奪い返すように言われていた」と説明する話もある。

グル神はナロドを通じて、自分の渡した「ジタブソロの書」をクレスノが忠実に実行しているかチェックしようとし、クレスノがパンダワ五男サデウォをウィロト国へ使者に立てる途中、サデウォにナロド神が戦況を聞き出し、クレスノがアビマニュを戦場に連れ出す命令を出したと聞くと、大いに喜ぶ場面もある。

命運通りアビマニュは死に至ったが、主人を失ったアビマニュの剣が言葉を発して挑発し、ドゥルユドノの子レスモノモンドロクモロが死体に近寄り、首を刎ねようとして、重代の剣を抜いた。
この剣もグル神の物で、アビマニュの鞘が飛び回ってレスモノモンドロクモロが即死すると、レスモノモンドロクモロの抜いた剣は天界を舞って、グル神の元へ帰って行った。

大戦も中盤になり、両軍ともに多くの武将を失っていたが、パンダワ側は戦闘指揮者にガトゥコチョが志願。一方コラワはカルノを戦闘指揮者に任命した。
そのとき天界のグルは浮遊するコロブンドノの霊に気付き、出番を指図。コロブンドノは、ガトゥコチョとカルノが双方から出現させるラクササ軍団を片っ端から片付ける。

スンジョト・クント(剣)も一度使えば持ち主グル神の元に返ってしまう武器であったが、ガトゥコチョを倒すにはしかないと思ったカルノは、ガトゥコチョに向けて放った。クントはコロブンドノの手に握られて勢いを伸ばし、ガトゥコチョの臍に突き刺さり、彼の体内にあるクントの鞘へ収まった。

クントがグルの元に戻ったのかはわからないが、ガトゥコチョの死体は火葬されたので、昇天したのだろう。

代行神ナロド08話15話16話18話29話31話32話39話50話53話60話
宇宙支配神グルの代行役を務めるグル神の片腕。
パンダワ次男ビモが生まれた時、ナロド神はビモの出た殻を拾い、空から苦行者スムパニに投げ与え、ここからジョヨジョトロが生まれている。

妖精スプロボに求愛するラクササが天界で暴れた時、ナロドはこれを退治するため、アルジュノにスンジョト・クントという武器を渡す役目を担うが、太陽神スルヨが我が子カルノに横取りさせた。
カルノがアルジュノに瓜二つだったのと、スルヨのもたらす太陽光に目が眩んだナロドは、カルノにクントを渡してしまう。後で到着したアルジュノを見て過ちに気づいたナロドは、アルジュノにカルノの追跡を依頼する。
アルジュノと戦ったカルノの額に傷が出来たので、ナロド神はカルノに被り物を用意したという。

ナロド神はこうしてアルジュノとカルノ双方に縁が出来て、アルジュノに、カルノが実はアルジュノの兄だと教えてやる。

大戦前、グル神の居城において、対戦表「ジタブソロの書」を作る会議に参加。

クレスノがアスティノ国に国土返還要求の使者に赴く時、ナロド神は目付けとして、他3人の神とともに降臨し、クレスノの四頭立て馬車に同乗した。

アスティノ国でパンダワに領土を返還しないなどコラワの悪事に、クレスノが腹を立て巨大なラクササに変身すると、その破壊力の強さに、随行した4人の神は慌て、「これでは戦になる前に世界が滅びる。コラワの滅亡は戦によるべきだ。これまでの多くの因縁が戦によって一気に解決するからだ」と冷静に戻るよう説得し懇願し、クレスノを冷静に戻させる。

大戦になると、コラワ軍のガルドパティとドゥルノによってパンダワ軍が大混乱した時、この危険を回避するため、クレスノはパンダワ五男サデウォをウィロト国への使者に立てて、アビマニュを呼んだ。
道行く途中サデウォは巨大な虎に襲われ、虎を仕留めたが、この虎はナロド神だった。ナロドはサデウォに戦況を聞き、クレスノがアビマニュを戦場に連れ出す命令を出したと聞くと、大いに喜んで引き上げた。
ナロド神が仕えるグル神が、「ジタブソロの書」をクレスノが忠実に実行しているかチェックしていたからだった。

大戦も終盤、アルジュノとカルノの一騎打ちでは、互いに思いあう兄弟が本気になれず、ただ打ち合いの華麗なショーを繰り広げたあげく、魑魅魍魎を天地に満たして夕暮れを迎え、翌日も火花散る一騎打ちの美しさに神々は見入り、ナロド神は近寄りすぎて、カルノの放った矢にかすり傷を負う程だった。
カルノが魔矢を射ようとした時、その馬車を操るサルヨが戦車を揺さぶり、魔矢はアルジュノの急所を逸れ、結い上げた髪をほどいた。
この時ナロド神は急降下してアルジュノに冠を被せた。カルノの被っている冠と同じで、元々顔のそっくりだったカルノとアルジュノは、全く見分けがつかなくなった。

大戦最後の、ビモとドゥルユドノの勝負が行われる時、これまで大地の神の怒りを恐れて修行所にいたボロデウォに、ナロド神は「結末を見よ」と呼んだ。(もっと後で、完全に戦争が終わってから登場する、という話もある)

戦後、ウシアジが姉と称するスリタンジュンを連れて、アスティノ国に押し入り、シドプクソと一騎討ちで勝負を決しようとすると、ナロド神は降りて来て、二人は従姉弟同士(スリタンジュンはナクロの娘)だと諭す。二人はそれを聞いて和解し、スリタンジュンはアスティノ国に入って、ウシアジは孤立し、その後に滅んだ。

正法神ダルモ08話59話
パンダワ長男ユディスティロの実父。
パンドゥが呪いを受け後継に窮した時、その妻クンティに呼び出され、ユディスティロを生ませた。

元のインド・マハーバーラタでは、大戦が終了し、死を迎えたパンダワ達は、ヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡した。ユディスティロのみ頂上に犬と一緒に辿り着き、迎えに来たインドロ神に、それまでついて来た犬も連れて行くと言ってごね、それが拒絶されると、その犬が実はダルモ神で、やっと一緒に天国に至った。
ところが天界にはコラワ百王子のみいて、パンダワは地獄の責め苦にあっていると知らされ、ユディスティロは自分も地獄に行こうとする。感じ入ったダルモ神はついに試験に及第したとして、パンダワ全員を天界に入れてやる。

ユディスティロ08話12話15話17話22話25話26話31話35話36話38話
44話45話49話51話52話54話55話57話59話
パンダワ5人兄弟の長男。系譜上の父はパンドゥだが、実父はダルモ神。母はクンティ。弟にビモ、アルジュノ、ナクロ、サデウォ。
イスラム聖典コーランの一句「カリモソド」を護符として受け継ぎ、公正無私にして清廉潔白、決して嘘をつかず、怒ることも争う事もなく、白い血を持つ武将。

父パンドゥの死後、王位を代行していた伯父ダストロストロは、成長したユディスティロに王位を譲るため、就任祝いの館を新築した。ユディスティロは、この手伝いに入っていたコラワ長兄ドゥルユドノらに焼討ちされ、長く森を母クンティや弟達と彷徨う運命を得る。

そんなパンダワ兄弟達の前に祖父アビヨソがあらわれ、パンチョロ国の王女ドルパディの婿選びの儀に行くように告げ、弟アルジュノがドルパディを連れ帰る。インドでは母クンティの勘違いから、ドルパディは5人兄弟の妻となるが、インドネシアではユディスティロだけの妻となる。

ウィロト国王マツウォパティに与えられた森をパンダワ兄弟が開拓し、アマルト国として盛大に繁栄。壮麗な宮殿も完成し、ユディスティロは人民によく慕われる王となったが、嫉妬と逆恨みからドゥルユドノがスンクニに誘わせ、軍勢を引き連れさせずパンダワ兄弟を招き寄せた。
ドゥルユドノとユディスティロの間で賭博が行われたが、これはサイコロを振るスンクニの詐欺で、最初は勝ちをおさめさせて油断させ、徐々に負けさせる策謀だった。
ユディスティロは持ち合わせの金や衣服、アマルト国の宮殿、財、領土、軍隊、パンダワ兄弟の命と妻ドルパディの身柄と、賭けるものを引き上げさせられ、兄弟の命だけは助けられたが、代わりの刑として、12年を森で過ごし、最後の一年は誰にも知られず過ごす事、身分が知れたら13年のやり直しを繰り返す、という酷い宣告が与えられた。

囚われて辱めを受けた妻ドルパディと、これに怒る弟ビモが、ドゥルユドノとドゥルソソノへの復讐を誓ったにも関わらず、ユディスティロはコラワを憎まず、パンダワを討とうとしたドゥルユドノが逆にラクササ軍に捕らえられた時も、ラクササと手を組んでコラワを打とうと提案するビモを諌めて、むしろドゥルユドノを救った。
糧に窮するパンダワ達は、ユディスティロの祈りによって、神から六人分の食料となる椰子の実の固い殻を授かったため、13年間パンダワが食に飢える事は無くなったが、12年の刑が終わる頃、バラモン僧の香炉を探す内に、弟たちが次々と死んだ。
ユディスティロだけは水を飲む前に死神ヨモディパティの声に答え、その答が正しく、さらに弟を一人だけ蘇生させようと持ちかけられると、違う母から生まれた子孫をともに絶やさぬためにナクロを選んだため、ヨモディパティは4人全てを蘇生させ、刑の終了まで彼らを守護した。

刑が13年目に及ぶと、ユディスティロはバラモン僧に変装してウィロト国に入った。
コラワとトリガルト国が南北からウィロト国を挟み撃ちにした時、捕らえられたマツウォパティ王を、ユディスティロの命でビモが奪還している。

刑の後も国土を返そうとしないコラワに対し、ユディスティロは戦いを好まず、「5人兄弟が住める5つの村だけあればよい、何度でも使者を遣わして手立てを探りたい」と言ったが、クレスノに却下されて戦争になる。

戦を前にユディスティロは、戦場に進み出て武芸と学問の師のビスモやドゥルノに(特にビスモには、サイコロ賭博事件後に妻ドルパディを取り戻してくれた)恩を戦で返す非礼を詫び、ビスモやドゥルノは、ユディスティロの態度に胸を打たれた。

戦闘が開始されると、小手調べとしてユディスティロはサルヨと対戦した。

ガルドパティがコラワ軍の戦闘指揮者になった時、コラワは「ビモとアルジュノを軍から引き離した隙に、本隊をついてユディスティロを生け捕りにする」という作戦を打ち出し、好まずもパンダワ総帥の位置づけとなっている。

大戦も中盤、クレスノの策謀により、ドゥルノの息子アスウォトモが死んだという流言が飛び交う。実際に死んだのは乗用象エスティトモであったが、ドゥルノは流言を確かめようと、戦場を敵であるパンダワ軍の、ビモ、スリカンディ、ナクロ、サデウォ、アルジュノと聞き回ったが、皆がクレスノの指示に従い、「アスウォトモが死んだ」と答えた。
唯一ユディスティロは決して嘘をつかない武将だったが、彼は聞かれると困惑で顔面を曇らせた。これを見てドゥルノはうろたえ、「エスティ・トモが死んだ」と言ってるのを聞き取れず、戦車の中で失神しドルストジュムノに首を掻き切られた。

コラワの戦況は悲惨だったが、一方のパンダワ側も、アビマニュ、ドルポド、マツウォパティとその三王子などを失い、ビスモやドゥルノなど恩師の死を嘆いた。ユディスティロは領土返還を拒否して停戦を提案したが、報復を誓った弟ビモが反対し、戦争の続行は決した。

アルジュノがカルノを討った時には、ユディスティロもビモとともに「三日月の陣形」で出陣した。

コラワの戦闘指揮者となった叔父サルヨを慕うパンダワ兄弟は、皆が戦意を失ったが、「ジタブソロの書」の計画を遂行するクレスノは、サルヨが舅バガスパティから授かった「敵の二倍の力を得られる呪文」を恐れ、パンダワ四男ナクロ五男サデウォをサルヨの元に遣わし、「ユディスティロに護符カリモソドを手にして出て来るように」とクレスノへの伝言を受け取らせた。

伝言がもたらされ、ユディスティロの名が上がると、これまで何度も自分の和平論を撥ね付けられたユディスティロは、度重なるクレスノの策謀に「あなたの指図は受けない」と不愉快を示した。
そこでクレスノが「全軍に引き上げ命令を出せ」と言い、これに反抗する形でユディスティロは戦場に立った。
サルヨが呪文で小さなラクササを現出させ、それが殺されるたびに倍数に増えて戦場がラクササで満たされた時、対するユディスティロを「正法の白い血をもつ武将」と見抜いたバガスパティは「時間待ちの天界」から降りてユディスティロの体内に入った。
するとラクササ達は、本来自分を使役すべきバガスパティが現れたと錯覚し、一斉にユディスティロを慕い、その体内に入って、戦場に満ちていたラクササ大群は姿を消した。
瞑想にふけるユディスティロに近寄ったラクササは、全て無心の思念に焼け消え、バガスパティは乗り移ったユディスティロに「カリモソドの書」の矢をつがえさせ、弓を引かせ、サルヨを射た。
矢はサルヨに命中したが、元より発生させたラクササ達の消滅によって、サルヨは力費えて死に到っていた。

大戦の最終戦で、ドゥルユドノと戦ったビモは、ルール違反をしてドゥルユドノの下半身を棍棒で打って倒したのみならず、倒れて呻くドゥルユドノの周囲を踊りまわり、その頭を足で蹴った。
ユディスティロが憤慨してビモを叱り、「望むのならビモを死罪にする」と話し掛けたが、ドゥルユドノは力尽きて答えず、パンダワが立ち去ろうとすると、ドゥルユドノはクレスノに呪いを口にしかけ、絶命した。
パンダワはアスティノ王宮に凱旋し、アルジュノの孫(アビマニュの子)パリクシトが誕生すると、その成長まではユディスティロが政務を代行し、やがて成長したパリクシトが王位に着く事となった。
これには同族同士の戦争に心を痛めたユディスティロが、自分が王位に着く事を拒否したため、と話される事もある。

その夜、復讐のため王宮に押し入ったアスウォトモに、ユディスティロは長男を殺される。

インド版においては、パンダワとダストロストロ夫妻は仲直りするのだが、ワヤンではユディスティロが老夫妻に息子達の死について始終責められ、ビモがこれに応酬して悪口雑言を返すので、夫妻は山に入って死のうと決意する。
平穏を取り戻した世に奇妙な出来事が起きた。水が煮え立ちにくく、動物達は声を立てず、人の生死を臭いで知らせるショウガに似たプチャンという木が大量に芽を出した。
パリクシトの政務を代行していたユディスティロはクレスノに尋ね、クレスノは「パンダワ昇天の時が来た」と述べたので、パンダワは死期を迎えるにあたって、妻や子、孫とともに旅に出た。

パンダワは昇天するための祠堂に辿り着き、祭壇に炊かれた火に身を没して肉体は滅びたが、魂はまだ残って、パリクシトの即位を待った。
ワヤンでは死を迎えるに当たって、ビモの教訓が聞かされるが、元のインド・マハーバーラタでは、あくまでユディスティロが主役で、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡した。
その原因を一人一人についてユディスティロが解説した後、一人で頂上に犬と一緒に辿り着き、迎えに来たインドロ神に、弟達を見捨てられないから天界には入らないとごね、インドロ神は「みんな天国にいる」と答えると、それまでついて来た犬も連れて行くと言ってごね、それが拒絶されると、その犬が実はダルモ神で、やっと一緒に天国に至った。
ところが天界にはコラワ百王子のみいて、パンダワは地獄の責め苦にあっていると知らされ、自分も地獄に行こうとする。感じ入ったダルモ神はついに試験に及第したとして、パンダワ全員を天界に入れてやる。
(このラスト、ピーター・ブルック監督の「マハーバーラタ」では独特の描き方なのか、最後の瞑想に入るユディスティロが妻や弟の泣き叫ぶ声を聞き、「彼らは地獄にいる!」と恐れおののく。が、全ては虚夢だと知らされる……といった感じに記憶してるが、この解釈で合ってるだろうか(^_^;)))

風神バユ08話
パンダワ次男ビモの実父。パンドゥが呪いを受け後継に窮した時、クンティに呼び出された。
クンティは既に長男ユディスティロを得ていたが、パンドゥに子の増える事を望まれ、二度目に到来したのがこのバユである。現れるや強風が吹き、歩む速度は速く、市松模様の衣装を身につけ、手からは一本の長い爪を出し、額にはコブがある。バユはクンティに次男ビモを生ませた。
バユの登場はこの時のみで、その後はバユが風の神であった事から、ビモを通じて得る子孫達(特にガトゥコチョ)にその能力が継承される。
バユもまた一応グル神の派閥にあると見られる。

ビモ08話09話11話12話13話14話15話17話18話21話23話25話26話
33話35話36話37話38話39話42話43話44話45話46話47話49話51話
53話54話56話57話58話58話59話60話
パンダワ兄弟の次男。系譜上はパンドゥの次男だが、実際にはバユ神の子。母はクンティ。兄にユディスティロ、弟にアルジュノ、ナクロ、サデウォ。
ビモは堅い膜に覆われて誕生し、自身で殻を破って(象が割ったともいう、この殻は苦行者の祈祷でジョヨジョトロになった)出て来ると、拳を握ったまま一本の爪が生え、強力な武器となっていた。

森の中で独り8年の歳月を転々とし、コラワ兄弟とパンダワ兄弟の間でシーソーゲームが持ち出された時、人数が足りない事を指摘したクレスノに探し出される。この時ビモは小さな子供だったが、呼ばれた途端に巨男に変身してシーソーに飛び乗り、コラワ兄弟の多く(ボゴデント、クルティペヨ、ガルドパティ、ウレソヨなど)を風の上の国にまで飛ばした。以来、ビモは巨体で登場する。

ビモは力持ちで、コラワ長男ドゥルユドノや次男ドゥルソソノに目をつけられ、騙され毒をもられて体を縛られ川に突き落とされたが、川底で毒蛇に噛みつかれ毒同志が中和して、蛇と格闘して生還するなど、最初から武勇伝を持っている。

パンダワ焼討ち事件では、火災の中を母クンティと他のパンダワ兄弟4人を背負って逃げ惑うなど、人形劇ではその体の大きさで画面を圧倒する。
この焼討ちから助け出してくれた白イタチの姉ノゴギニ(蛇神オントボコの娘)と結ばれ、息子オントセノを得る。

その後、森を放浪した時も、ビモが人身御供に化けてラクササの本拠に乗り込み、見事ラクササ退治をしてのける。

また、ロジョモロら大叔父3人がマツウォパティ王の長男セト王子を殺そうと計画した闘技大会に、家畜屠殺業で腕を知られたビモが出場し、ロジョモロを倒した功績によって、ウィロト国のマルトの森を与えられ、パンダワ達はこれを開拓して、アマルト国を建国した。

ビモの二人目の妻は、母クンティのかけた声でラクササ女から美女に変身したアリムビである。
ビモは正義感で頼もしい反面、初めてパンダワ達の前に現れたカルノを「馭者の子」と罵ったり、アリムビの告白を、ラクササ女であるがゆえに殺そうと騒いだり、粗暴な面も持ち合わせている。

このアリムビの兄アリムボとプロジョドゥントを倒したビモは、アリムビとの間にガトゥコチョを儲ける。

長兄ユディスティロの妻となるドルパディの婿取りの儀で、弟アルジュノが武芸の勝利者となり、ドルパディを連れ去る段にパンチョロ国宰相ゴンドモノが勝負を望んだので、ビモはこれを倒し、死の間際のゴンドモノに独特の教訓を伝授された。

サルヨ長女エロワティがラクササに誘拐された時は、ラクササを倒した後にコラワに重傷を負わされたボロデウォをビモは助けている。

ビモは苦行によって「天啓の託宣」を得る能力を持ち、生まれたばかりのアルジュノの子アビマニュがビモに触れると、ビモの体内にそれが訪れて、アビマニュはパンダワ嫡子としてアスティノ国継承者の資格(神意)を得た。

サイコロ賭博事件で13年の刑を受けた時、賭けのカタに囚われた義姉ドルパディが、コラワ次男ドゥルソソノに辱めを受けるのを、膝を打ち楽しんで見たドゥルユドノに、ビモは「膝を叩き割ってやる」と呪詛し、「ドゥルソソノの血で注ぐまで、髪を結わない」と誓いを立てたドルパディに、誓いの証人に指名されて、「ドルパディが受けた衣装を引き裂かれる屈辱を晴らすため、やがてドゥルソソノの腹を引き裂く」と、自らの誓いを追加した。

以後ビモは常に主戦論者で、ドゥルユドノがパンダワ暗殺の軍を動かし、逆にラクササ軍に捕らえられた時、ビモは、むしろラクササと手を組んでコラワを打とうと提案するが、ユディスティロに諌められ、結局ラクササ軍討伐に向かった。

刑が13年目に及ぶと、ビモは料理人に変装してウィロト国に入った。
ウィロト国はコラワとトリガルト国から南北挟み撃ちに遭い、トリガルト軍がマツウォパティ王を捕えたが、ユディスティロの命でビモがマツウォパティ王を奪還した。
この頃にビモの次男ガトゥコチョはアルジュノの娘プルギウォと結ばれ、弟アルジュノとの絆がさらに固まった。

開戦直前、アルジュノを仇と付け狙うコロスレンギが殺され、後を追って来た乳母ラヤル・メゴというラクササ女がコロスレンギの敵討ちに乗り込んで来たが、騒動を聞きつけたビモが討ち果たす。

開戦時の行進の様子から、ビモは象に乗っていた事がわかる。

戦闘が開始されると、まず小手調べとしてビモはドゥルユドノと対戦した。

初戦でコラワ戦闘指揮者のビスモが倒れ、ドゥルユドノが寄り添ったが、近寄ったビモが棍棒を持つ手を変えたため、攻撃されると思ったコラワ軍は散り散りに逃げ、ビスモの最期はアルジュノが看取った。
コラワ軍の副官となったクルティペヨに道行きの途中で出くわしたビモは、これを倒し、次の戦闘指揮者がコラワ兄弟のボゴデントだと知る。これを聞いたクレスノは、戦闘指揮者をアルジュノに、ビモを副官に任命した。

ボゴデントが倒されると、クレスノはビモを総指揮者、アルジュノを副官に任じ変え、ビモに戦のルール(夜の戦闘は禁止。後退する敵を深追いしてはならない)を持ち出して忠告したが、次のコラワ戦闘指揮者でコラワ兄弟の一人ガルドパティはビモとアルジュノを軍から引き離し、本隊のユディスティロを生け捕りにする作戦を取り、パンダワを教育したドゥルノも、二人の性格を熟知して策を授けた上で、二人のまだ行った事のないセトロプル山の沼地に引き込む場所を設定。

戦場に出るとガルドパティがビモを巧みに誘い出し、わざと後退してセトロプルにおびき出した。
挑戦を受けた手前、引き返す事も出来ずに軍から離れ、セトロプルで日没を迎えたビモとアルジュノは、泥沼に埋もれ、互いに助けようとあがいて深みにはまり、泥を飲んで苦しんだ。ビモは最後の力を振り絞って、近付いたガルドパティの手を握って泥に引き入れ、彼らの体を足場に、アルジュノとともに地上に脱出した。

ビモの殻から生まれたジョヨジョトロは、ビモを慕いつつも、謀略によってコラワ陣営に属し、アルジュノ嫡子アビマニュの首を討ったので、アルジュノに首を射切られた。
首は、ジョヨジョトロの養父スムパニの呪法によって剣を咥えて戦場に戻り、兵士をバタバタとなぎ倒したので、クレスノは、そもそもジョヨジョトロの本体であるビモを呼び出し、ビモは棍棒で首を粉砕した。

次のコラワ総指揮者ブリスロウォは剛の者で、一騎打ちに志願したスティアキは非力だったので、心もとなく感じたビモは、棍棒のキャッチボールでスティアキを訓練し、何とか力をつけて戦場に送った。

ブリスロウォが倒れると、次のコラワ戦闘指揮者に任命されたドゥルノは、声を出さぬ秘法によって透明人間となり、その無人の戦車から放たれる秘矢で、ドルポド王やマツウォパティ王が戦死。
クレスノはビモに、副官プルメヨと乗用象エスティトモを撃たせ、皆に「アスウォトモ(ドゥルノの息子)が死んだ」と流言を触れ回させたため、この噂に釣られて声を発したドゥルノは姿を現し、討ち果たされた。

コラワの戦況は悲惨だったが、一方のパンダワ側も、アビマニュ、ドルポド、マツウォパティとその三王子などを失い、またビスモやドゥルノなど恩師の死を嘆き、ユディスティロが領土返還を拒否して停戦を提案した。が、報復を誓ったビモが反対し、戦争の続行は決した。

スティアキがドゥルソソノ襲来を告げ、ビモはこれを迎い撃った。

息子ガトゥコチョはカルノの武器で死に、錯乱したビモが死体に近付くと、死体からは、死んだハズのガトゥコチョの声が怪しくビモを呼んだ。クレスノの指示でビモが爪で臍をこじあけると、ガトゥコチョの臍からは、近寄った者を噛み殺す使命を帯びたプロジョムスティが飛び出し昇天した。
ビモは海中に逃げるカルノを息子の仇として追って、ドゥルソソノと出あった。棍棒の使い手同志で激烈な戦いを繰り広げ、圧倒されたドゥルソソノは逃げ、スラユ川を行き来してビモを翻弄したが、スラユ川の川底から怨霊がドゥルソソノの脚を捕らえ、川底に引きずり込んで力をそいだ所を、ビモがドゥルソソノを捕え、川から引っ張り上げ地に顔を押し付けると、正確に復讐の誓いを実行させるべく、近寄って諭すクレスノの忠告で、かつて誓った通り、ドゥルソソノの両腕、首、両足を切り離し、はらわたをえぐり、ドルパディも誓い通り、胴体から流れた血で髪を洗って結い上げ、長くパンダワの執念とした一つの復讐が遂げられた。

アルジュノがカルノを討った時には、ビモもユディスティロとともに「三日月の陣形」で出陣した。

終始、好戦的で主戦論者だったビモだが、復讐を半ば果たしたこの時、戦闘指揮者になったサルヨを前に、幼い頃からサルヨに愛されたパンダワは、さすがにビモですら敵に廻す気にはなれず、戦意喪失しきった。

サルヨが死ぬと、残るはスンクニとドゥルユドノだけとなった。
ビモはクレスノにスンクニの急所を教わり、スンクニを棍棒で殴りつけてフラフラさせ、両肩をつかんでひっくり返し、爪をスンクニの肛門に差し入れると、一気に全身の皮膚を二つに引き裂いて絶命させるに至った。
一方ドゥルユドノは最後に際しても降伏を選ばず、対戦相手にビモを選んだ。二人とも棍棒の使い手で、どちらもボロデウォの弟子だった。
誰にも負けた事のないビモが、勝利を目前に気が緩んだのか、最期をかけたドゥルユドノの気迫か、ドゥルユドノに圧倒され追い詰められた。
クレスノはアルジュノに「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言う。下半身を打つのはタブーだが、兄ビモが危ないのは確かなので、アルジュノはビモに見せるように自分の太腿を叩いた。
ジョクジャではここで、クレスノは従者ペトルに「こめかみ」と「太腿」を言わせ、ビモは最初の一言だけ聞いてコメカミを撃って倒す(ルール違反はしない)。
一方ルール違反をする話(こっちが原産)では、アルジュノの動作を見たビモは、ドルパディがドゥルソソノに辱められた時、ドゥルユドノが太腿を手で打って喜んだ事を思い出し、跳躍してビモに襲い掛かったドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打つ。

ルール違反の相次いだこの戦争を見てなかったボロデウォは驚き、二人の弟子の間に入って停止させようとしたが、クレスノに退けられ、ビモは倒れて呻くドゥルユドノの周囲を踊りまわり、その頭を足で蹴った。
ユディスティロが憤慨してビモを叱り、「望むのならビモを死罪にする」と話し掛けたが、ドゥルユドノはクレスノに「卑怯な戦法をビモに命じたお前こそ悪の根源だ」と呪いを口にしかけて、絶命した。
アスティノ王宮に凱旋したパンダワ兄弟だったが、カルトマルモとアスウォトモの夜襲を受け、多くが殺された。
逃亡したカルトマルモはビモに捕まり、クレスノの呪いで羽虫になった。

戦後ビモには、ドゥルソソノの領地を与えられた。

ワヤンでは、ユディスティロがダストロストロ夫妻に息子達の死について始終責められ、ビモがこれに応酬して悪口雑言を返すので、夫妻は死のうと山に入った。
パンダワも死期を迎えるにあたって旅に出て、これにビモの孫達も同行した。
一行は途中で多くの魑魅魍魎を退治しながらワヒト村に到着。
村の男たちは虎に姿を変えさせられていて、自分の村の女達を食おうと相談していたので、ビモとアルジュノが虎を迎え撃って殺すと、虎達は人間に戻った。

またガドゥンムラティ村では、かつてビモとアルジュノを沼地で苦しめ、返り討ちにあって死んだガルドパティの馬丁アンギロが両足を無くし、坐して動けぬままでいて、死を望むアンギロに、ビモは瞑想して空から小さな火を降らせ、アンギロは焼かれて魂は天に昇った。
パンダワが昇天するための祠堂に辿り着くと、ビモの孫サシキロノ(ガトゥコチョの子)や、ダヌルウェンド(オントセノの子)も協力して祭壇を作ったが、ダヌルウェンドは、父オントセノを早くに亡くし、母ノゴギニも地底の国にいて会えず、唯一の肉親である祖父ビモが居なくなる寂しさに、ビモの足に取りすがった。
ビモは重代の武器を与えつつ、「武器や軍隊に頼るのではなく、強気をくじき弱きを助けるのが本当の武将だ」と説いた。
するとダヌルウェンドは勇猛な息子ガトゥコチョやオントセノが持たなかった奥深い嘆きを口にしたので、ビモは驚き、これまでに得た訓を与えるべく、腕を取り耳に口寄せて伝授した。
夢から目を覚ましたダヌルウェンドに、ビモはさらに教訓を与え、祭壇に炊かれた火に身を没しようとした。

するとクレスノが呼び止めて、ついに開かれる事のなかったビモの握りこぶしの正体を知りたいと言い、顔を近付けて、放たれた光に圧倒され、思わず自分の最期について問う。
ビモはこれに答えて予言を与え、クレスノに感謝の言葉とともに「しかしそれはパンダワが望んだものではなかった、全ては神のみぞ知る」と言い残し火中に身を投じた。
元のマハーバーラタでは、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡し、その原因を解説するユディスティロによると、ビモは粗末な言葉と力を奮った罪だった。
一人頂上に辿り着いたユディスティロによって、地獄の責め苦より救われ、パンダワ全員が天界に入れる事になっている。

ワヤンではパンダワの肉体は滅びたが、魂は残って、「時間待ちの天界」で死を迎えたクレスノと合流。パリクシトの即位を待つ。

パリクシト即位の時には、クレスノやビモの孫、スティアキの息子とともに、高位高官も民衆も歓呼して祝うのを見届け、ようやくアルジュノ、クレスノの霊魂と昇天しようとしたが、ボロデウォが呼び止めた。
アスティノ国に攻めて来たウシアジを倒し、ボロデウォも昇天したのを見届け、アルジュノ、クレスノとともに、ビモもようやく昇天する。

スムパニ08話42話
妻との間に子が出来ず、子宝を授かるために山中で苦行していた所、ビモが生まれた時に覆われていた殻のかけらをナロド神が空から投げ、スムパニの足元に落ちて来た。
スムパニがその殻に祈りを捧げた所、殻が姿を変えて赤ん坊となったのがジョヨジョトロである。スムパニはジョヨジョトロを我が子として育てる。

そのジョヨジョトロが、戦死した息子の仇と知ったアルジュノは、日暮れまでに仇を討てねば火に焼かれて死ぬと誓い、クレスノの偽装工作におびき出されたジョヨジョトロの首を矢で射切った。
刻限に間に合ったと安堵したクレスノが、その偽装に使った武器チョクロをどかし、実は日暮れがまだである事を周囲に知らしめてしまった時、ジョヨジョトロの首は宙に浮いたまま疾駆しはじめ、スムパニの方に飛んだ。スムパニはジョヨジョトロのために激しい祈念をしてる最中で、「息子よ、死ぬな、生きろ」と唱えていた。
首だけでも生きていれば、アルジュノは火に身を投じなくてはならなくなる。クレスノは慌てて蝿に化けて飛んで行き、祈念の邪魔をした。ウルサイ蝿に惑わされ、スムパニはうっかり「生きるな、死ね」と言ってしまう。ジョヨジョトロの首は途端にドサリと落ち、やっと死んだ。
スムパニは復讐心に燃え、死んだジョヨジョトロの口に剣を咥えさせ、呪法によって戦場に戻した。首は再び戦場を旋回し、あまりのおぞましさに誰も彼もが逃げ出すさなかを、首の咥えた剣は兵士をバタバタとなぎ倒した。

ジョヨジョトロ08話32話40話41話42話
パンダワ次男ビモが生まれた時、代行神ナロドがビモの出た殻を拾って天から投げた。足元に落ちて来た殻に苦行者スムパニが祈りを捧げて生まれたのが、このジョヨジョトロだった。
ジョヨジョトロは容姿がビモそっくりで、成長するに従いビモを慕い、いつかビモに仕えたいと切望するようになる。

コラワとパンダワの開戦が決まると、ジョヨジョトロは、この時とばかりビモに仕えるため旅に出たが、スンクニから、アスティノ国の上位任官と、コラワ兄弟の末妹ドゥルシロワティとの婚姻を持ち込まれ、コラワ側に吸い込まれる。

コラワ軍はビモとアルジュノを戦場から引き離した隙にドゥルノが本陣を攻撃。パンダワ軍からはアビマニュが出陣し、退路を断たれて孤立。無数の矢に射殺される。
このように高名な武士を、一騎討ちによらず集団で射殺す事は戦のタブーであったが、唯一その頭上を風のように飛来し、一撃を食らわせたのが、このジョヨジョトロだった。

これをカルノから聞いたアビマニュの父アルジュノは、集団によってたかって殺されたアビマニュに明確な仇がいないので、首を落としたジョヨジョトロを仇とし、「日暮れまでにジョヨジョトロを殺せなかったら、天に誓って火に飛び込んで死ぬ」と宣言。駆けつけたクレスノにも撤回できず、森羅万象を伝って、この誓いは戦場にまで響き渡った。
コラワの身内であるジョヨジョトロを、ドゥルノは威信にかけても守ろうと、三層の堅固な守りで対抗。前方にカルノの「車輪の陣形」、後方にサルヨの「鋭利な針の陣形」を配し、中央「蓮の花の陣形」にジョヨジョトロを匿った。
ジョヨジョトロの子ウィソスクモをアビマニュと見間違えたアルジュノだったが、アビマニュの霊が父アルジュノに忠告したため、アルジュノはウィソクスモと、同行していたその母ドゥルシロワティをともに射抜いた。
クレスノは近付く日暮れに焦り、アルジュノに「敵も味方もお前が火にくべられると思って見に来るだろう。その中からジョヨジョトロを探せ」と耳打ちした。

クレスノがチョクロを天にかざすと、太陽光線は遮られ、周囲の人は「日が暮れた」と錯角。誓いを守れなかったアルジュノを焼く祭壇が作られ、火がともされた。さらにクレスノが、アルジュノの従者ペトル達に「アルジュノが焼かれる」と叫んで廻らせると、クレスノの意図した通り、祭壇の大火の灯りに照らし出され、闇の中からジョヨジョトロの顔が浮かび上がった。アルジュノはその顔めがけてパソパティを射た。
首が跳ね上がると、クレスノはチョクロをどかした。夕陽は今まさに暮れようと最後の光を放った。
ところがこの時、ジョヨジョトロの首は宙に浮いたまま疾駆しはじめ、養父スムパニの方に飛んだ。スムパニは息子ジョヨジョトロのために激しい祈念の最中で、「息子よ、死ぬな、生きろ」と唱えていた。
首だけでも生きていれば、アルジュノはやはり火に身を投じなくてはならなくなる。クレスノは蝿に化けて飛んで行き、祈念の邪魔をした。
ウルサイ蝿に惑わされ、スムパニはうっかり「生きるな、死ね」と言ってしまう。ジョヨジョトロの首は途端にドサリと落ち、ついに死んだ。
スムパニは復讐に燃え、死んだジョヨジョトロの口に剣を咥えさせ、呪法によって戦場に戻した。首は再び戦場を旋回し、あまりのおぞましさに誰も彼もが逃げ出すさなかを、首の咥えた剣は兵士をバタバタとなぎ倒した。
クレスノは、そもそもジョヨジョトロの本体であるビモを呼び出し、ビモは棍棒で首を粉砕。
さすがビモの分身で、クレスノ武器チョクロの力を借り、またこのパソパティをしても尚、首となって飛び回ったジョヨジョトロの威力は凄まじいと言う他ない。

天界守護神インドロ08話11話23話25話29話59話
パンダワ三男アルジュノの実父。
宇宙支配神グル(=シヴァ)の支配下にあって、天界の妖精たちを監視し、大地の安全と幸福へのたゆまぬ努力の知恵をパンドゥに授けた。
パンドゥが呪いを受け、後継に窮した時、クンティに呼び出されて、アルジュノを生ませた。

実父としての登場は目立たないが、ドゥルノ主催のアスティノ国武芸大会で、カルノと勝負することとなったアルジュノに加勢する。

サイコロ賭博に敗れたパンダワが13年の刑に服していた頃、天界も魔王が暴れて対処に困り、インドロは修行中だった我が子アルジュノに退治役を見立て、テストのために7人の妖精を送り込んだ。

天界で暮らすアルジュノが、兄弟たちの居る下界に戻りたいと申し出ると、インドロ神はこれを許し、アルジュノを慕った妖精イルワシにも下界に下りる許可を出した。
ところがアルジュノがイルワシを拒んだため、イルワシはアルジュノを両性具有の体にしてしまう。
困窮したアルジュノは天界に戻って実父インドロ神にすがるが、インドロ神は「13年目の刑の時、コラワの目をくらますのにちょうどよい」と、そのままアルジュノを地上に送り返した。

大戦前、グル神の居城において、対戦表「ジタブソロの書」を作る会議に参加した。

元のマハーバーラタでは大戦後、死を迎えたユディスティロはヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、頂上に犬と辿り着き、迎えに来たインドロ神に、そこに到るまでに死んだ弟達を見捨てられないから天界には入らないとごね、インドロ神が「みんな天国にいる」と答えると、それまでついて来た犬も連れて行くと言ってごねたが、天国にはコラワのみがいて、弟達は地獄にいる、という話がある。

アルジュノ08話10話11話13話14話15話16話17話18話19話20話21話
23話24話25話26話27話29話30話33話35話36話37話38話39話40話
41話42話43話45話46話47話48話49話50話51話53話54話56話57話
58話59話60話
パンダワ系譜の7代目。6代目パンドゥの三男だが、実際にはインドロ神の子。母はクンティ。兄にユディスティロとビモ、弟にナクロ、サデウォ。
物語きっての美男子で、異父兄カルノに瓜二つとも言われる。先祖伝来の矢を受け継ぎ、クレスノとともに、ウィスヌ神の化身として物語のほとんど主役。

武芸の師ドゥルノはアルジュノを溺愛し、アルジュノが妬んだパルグナティの左手首を切り落とした。この手首が取り付いて以来、アルジュノは弓の名手となり、あらゆる戦いで活躍する。

ドゥルノ主催のアスティノ国武芸大会で、唯一競技の的を仕留めたアルジュノは賞賛を集めたが、これが異父兄カルノの好敵手として位置づけられる最初の出来事となった。

美丈夫の発展系でナンパ話も多く、コラワに焼討ちされたパンダワ達が森を放浪した時、アルジュノは村の女の尻をなで、その夫サゴドロがむしろアルジュノに感謝し、後に神に捧げる人身御供になると約束する。

ウィロト国に入り込み、大叔父ロジョモロの討伐に立ったビモを助け、ロジョモロの双子の弟ルポケンチョ、ケンチョコルボを打ち破って、後のアマルト国の領土を得るに到る。

兄ビモの子ガトゥコチョが生まれた時、アルジュノは神々にラクササ退治に見込まれ、武器スンジョト・クントを受け取りにいって、クントをカルノに奪われ、追いかけ一騎打ちの末クントの鞘だけを奪うなど、カルノとの勝負は常に決着がつかず、徐々に2人の一騎打ちが運命づけられていく。

ドルポド王の長女ドルパディの婿取りの儀に出たアルジュノは、競技の勝利者となり兄ユディスティロの妻にドルパディを迎えたが、この時もカルノが弓を射ようとして果たせず退けられた後であった。
インド神話では、兄夫婦(ユディスティロとドルパディ)の部屋に闖入したアルジュノは、罰として12年の放浪生活を送り、クレスノとともに住む話になる。インドネシア・ワヤンでは、クレスノとの縁もこれより前から逸話がある。

コラワ長兄ドゥルユドノはサルヨ次女スルティカンティを妻に得ようとしたが、スルティカンティはカルノと恋仲であった。カルノが実兄である事を知ったアルジュノがスルティカンティの誘拐犯を倒し、カルノとスルティカンティは晴れて夫婦となるが、その身代わりに、アルジュノの最愛にして初恋のバヌワティ(サルヨ三女)がドゥルユドノの妻となってしまう。

こうした悲恋の一方、アルジュノが契った女も子供達も星の数で、子供達は、アルジュノより抜きん出た才能が無ければ、アルジュノから認知されないのが半ば世間の常識となっている。

結婚前のアルジュノはクレスノの子ボモノロカスロに殺害されるが、クレスノの蘇生で生き返り、アルジュノの第一夫人スムボドロはクレスノの妹で、スムボドロとの間には、やがて嫡男アビマニュが誕生する。

第二夫人スリカンディ(父はドルポド)は、このスムボドロとの結婚式で新郎のアルジュノに一目ぼれし、パンチョロ国を飛び出してアルジュノと結ばれ、アルジュノに弓を教わる。パンダワはアルジュノの女性関係を通じて、クレスノ、ドルポドという、ともに強い後ろ盾を得る。

またアルジュノは、ラクササ兄妹ジョトギンバルとジョトギニを騙して兄妹を同衾させたので、ラクササ兄妹はアルジュノに復讐して死亡し、兄妹の不義の子コロスレンギとその郎党達は始終アルジュノの命を狙う。

サイコロ賭博事件の後、山中で苦行に励むアルジュノは、魔王に脅かされた天界から、実父インドロ神がテストとして送り込んだ7人の妖精の誘惑を断ち切り、宇宙支配神グルに超能力の矢パソパティを授かった。

アルジュノは魔王を退治し、天界の神々より美女スプロボをはじめ、天界に住む大勢の妖精たちを妻に与えられ、妖精の子も得た。

火神ブロモの娘ドゥルソノロとの間にも男子ウィサングニを得るが、ドゥルゴ女神とデウォスラニ母子の横車で二人は離縁させられる。

アルジュノが下界に戻った時、妖精イルワシに呪われて両性具有の体になり、誰にも身分を悟られてはならぬ13年目の刑を無難に迎えた。

アルジュノは舞踊と音楽の教師に変装してウィロト国に入り、トリガルト国とコラワが南北からウィロト国を挟撃すると、ウィロト国王マツウォパティの次男ウトロを支援。前面に出て戦い、見事アスティノ軍(コラワ)を蹴散らし、皆にアルジュノと認識されたが、あと3日で刑期が終える事を皆が心得て指摘せず、無事13年の刑を終えた。
アルジュノの娘プルギウォはビモの子ガトゥコチョの妻となり、アルジュノと兄ビモは、さらに固い絆で結ばれた。

ウィロト国の災難を何度も助けられたマツウォパティ王は、アルジュノに娘のウタリを薦めたが、これはアルジュノの長男アビマニュの妻となり、又してもパンダワには心強い縁者が出来た。

クレスノを眠りから覚ました者が大戦の勝利者になるという天啓が出た時、アルジュノはクレスノの魂を追い掛けてクレスノを目覚めさせるが、ドゥルユドノが自分が起こしたと言い張ったので、クレスノがクイズを出し、ドゥルユドノは「千の王が率いる軍隊」を選び、アルジュノは「一切戦闘には加わらないクレスノ」を選んだ。このどちらもパンダワの勝利を意味した。

兄ボロデウォを大戦から遠ざける画策をしたクレスノは、女色を遠ざけるよう進言して、わざと女性に化けたアルジュノに愛を告白させ、ボロデウォがつい女に触れてしまう、という下りもある。

大戦を前に、イジュロポ親子とサゴドロが恩返しに現れ、勝利祈願に捧げる人身御供になるため祭壇にのぼり、アルジュノに「悔いは無いか」と聞かれ、「喜んで死ぬ」と答え、放たれた矢によって昇天する。

開戦時の行進の様子から、アルジュノは宝石の散りばめられた戦車に黄金の笠をさしていた事がわかる。
師のビスモやドゥルノと戦う悲嘆に沈んだアルジュノは、巨大変身したクレスノに、ヒンドゥ聖典「バガヴァット・ギーター」を引用の上諭された(二人だけの心象風景のようにも思える)。

戦闘が開始され、小手調べにアルジュノはビスモと対戦。やがて戦闘指揮者に任じられた苦行中のセト王子(マツウォパティ長男)を山中に迎えに行き、その途中コロスレンギがアルジュノを襲い、返り討ちに討ち果たす。

セトはビスモに倒され、セトの次の総指揮者スリカンディだったが、その放つ矢はビスモに当たらず、第二の妻スリカンディの疲労を見かねたアルジュノは、超能力の矢パソパティをつがえ、ともに弓を引き絞って、師ビスモを倒した。
アルジュノがクレスノに教わって施した礼が、戦士に対する作法に適っていたため、ビスモは満足して息絶えた。
その後、戦闘指揮者はスリカンディからアルジュノに移った。

コラワ軍の戦闘指揮者ボゴデントは巨象に乗って大暴れしたが、象の調教師ムルダニンシが美女だったので、アルジュノは戦場でナンパを試み、ボゴデントに吹っ飛ばされた。
アルジュノの矢の雨にボゴデントは無数の毒蛇で、ガルダ鳥には洪水で、旋風には鎖矢で応じたが、クレスノがこの鎖矢をジャスミンの花輪に変えたので、アルジュノは「一騎討ちの邪魔をしてはならない」とルールを持ち出して抗議したが、クレスノから天界の掟を持ち出され却下された。
アルジュノは、ボゴデントと象と調教師ムルダニンシの三者の尽きることない復活劇に翻弄されたが、従者スマルの献策によって三者同時に倒す。
次のコラワの総指揮者ガルドパティに対し、ビモが総指揮者、アルジュノを副官に任じ変えられた。

ガルドパティの作戦に加え、パンダワの師だったドゥルノはビモとアルジュノの性格を熟知していた事から、ビモはガルドパティに、アルジュノはウレソヨに呼び出されて軍から引き離され、日暮れのセトロプル山で泥沼に埋もれた。が、近付くガルドパティとウレソヨをビモが泥に引き入れ、彼らの体を足場に、二人は地上に脱出。

このセトロプル山で、命拾いしたアルジュノは、敵将カルノから愛子アビマニュの死を知らされた。
集団に殺されたアビマニュだったが、最後に首を落としたジョヨジョトロを仇と見なしたアルジュノは「日暮れまでにジョヨジョトロを殺せなかったら、火に飛び込んで死ぬ」と宣言し、クレスノを仰天させる。「天への誓い」はクレスノにも取り消せず、この誓いは森羅万象を伝って戦場に響き渡った。
戦場でアルジュノの前を通ったウィソクスモを我が子アビマニュと見間違い、コラワ陣営に深入りしかけたが、アビマニュの霊が「あれはジョヨジョトロの息子」と告げたため、アルジュノはウィソクスモと、同行していたその母ドゥルシロワティをともに射抜いた。

近付く日暮れに焦ったクレスノが、「集まった人の中からジョヨジョトロを探せ」とアルジュノを諭して太陽光線を遮ると、周囲は日暮れと錯角し、アルジュノを焼く祭壇に火をともした。それを見に来たジョヨジョトロの顔めがけてパソパティを発射。しかしジョヨジョトロの首は疾駆し、これをクレスノが追い掛け、ジョヨジョトロの育ての親スムパニの祈念の邪魔をして首を地に落とし、アルジュノは又してもクレスノに死の運命から救われた。

パンダワ軍のスティアキとコラワ軍のブリスロウォの一騎打ちでは、クレスノは一騎打ちのルールにこだわるアルジュノに「(アビマニュの死に落胆するあまり)武芸の腕が落ちている」と叱り、「腕試し」と称して髪の毛を的に2度射らせた。
髪の毛の先にいたブリスロウォは(クレスノの意図では首に当たるハズだったが、アビマニュの死に動揺していたアルジュノにより)矢で両腕の付け根をねじ切られ、スティアキが勝利した。
アルジュノは結果的に一騎打ちの邪魔をした事になる。

コラワの戦闘指揮者に立ったカルノに、スリカンディが弓矢で応戦して恥を掻いた事から、アルジュノの出番となり、ついにカルノと対決の時を迎えるに到った。

が、アルジュノとカルノは互いに命を取り合う気になれず木刀を使うのみで、戦いは華麗に繰り広げられるショーとなる内、カルノからは様々な矢の他に、妖怪やラクササが放たれ、天の神々まで追い掛けた。
クレスノに迎撃を命じられたアルジュノは超能力の弓で撃つが、化け物どもの破壊行為はやまず、アルジュノが有毒の火を噴く矢を放つと、化け物らは逃走し灰になり、矢は紅蓮の焔をあげて大地や天界まで拡がり焦がし、天界の聖者達は世の壊滅を恐れて、「アルジュノとカルノは、シバ神の怒りを買うだろう」と別の手段で戦うよう忠告した。
そこにジョトギンバルの家臣アルドワリコが、大蛇となって登場したが、アルジュノは矢で喉を射て倒した。

ルールを重視するカルノとアルジュノは、夕闇を前に延期を約して撤退し、翌日カルノと近寄り抱き合った後、戦いを再開。カルノの馬車を操っていたサルヨが、アルジュノに当たると思い、咄嗟に戦車を揺さぶったので、カルノの魔矢はアルジュノの急所を逸れ、今度はアルジュノが矢パソパティをつがえると、サルヨの操るカルノの戦車はぬかるみに車輪を取られたので、アルジュノは躊躇し、カルノも戦いの公正を訴えた。
が、アルジュノの戦車を操るクレスノがパンダワの苦労時代に援助しなかったカルノの不公正を言い、「今しかチャンスはない」とけしかけた。アルジュノが射た矢でカルノの首は射切られた。
アルジュノが駆け寄ってカルノを抱こうとした時、カルノの短剣が宙を舞い、アルジュノとカルノの短剣は宙で打ち合い、両方とも天界に帰った。
パンダワもコラワもカルノの死を悲しみ、カルノの弟であるパンダワはカルノの遺体を引き取り、丁重に葬った。

サルヨが戦闘指揮者になると、幼い頃からサルヨに愛されたアルジュノは戦う気になれず、すっかり戦意喪失したが、このサルヨも死した。

さらにスンクニも死に、残るドゥルユドノと兄ビモの一騎討ちになる。意外とビモが圧倒され、クレスノはアルジュノに「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言う。下半身を打つのはタブーであるから、アルジュノは驚いた。が、兄ビモが危ないのは確かなので、ビモに見せるように自分の太腿を叩いた。
アルジュノの動作を見たビモは、ドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打って殺した。

戦争は終結し、アスティノ国に凱旋、王宮に入ったアルジュノが何より先に探したのは、初恋の人バヌワティであった。しかし彼女はいなかった。
アルジュノは瞑想すると嘯いてバヌワティを探しに行き、森に連れ去ったアスウォトモとカルトマルモから逃亡したバヌワティに出会った。森を彷徨って衣服は夜露と枝と泥の邪魔にあってボロボロだったが、出くわしたアルジュノは、一目でこれがバヌワティとわかり、二人は抱き合って再会を喜び、手に手を取って王宮に帰った。
ちょうどウタリがアビマニュの子を産み、アビマニュ亡き今、子の名は祖父となるアルジュノがパリクシトと命名、その名は「戦争の終結」を意味した。
しかしそのバヌワティは、復讐に来たアスウォトモに殺され、クレスノやアルジュノが駆けつけたが間に合わなかった。

バヌワティを失ったアルジュノは病に伏した。ドルパディとスムボドロが看病したが治らず、クレスノが、バヌワティに生き写しの女チトロホイが、スリウェダリ国王の妃であると告げたため、アルジュノは飛び起きて旅に出る。妻スムボドロは、こうした兄クレスノに怒ったが、クレスノは車にアルジュノを乗せて、スリウェダリ国に着くと、アルジュノを車の中に置いて、国王アルジュノパティに会い、お前の妃を差し出せと要求した。

アルジュノパティはアルジュノと戦い、敗れて死ぬ。
王妃チトロホイは、初夜の床でアルジュノに、その罪を問い、アルジュノが素直に罪を恥じると、祭壇に火をかけて死ぬ事を要求した。こうしてやっと手に入れたバヌワティに生き写しの恋人をアルジュノは失った。
パンダワは死期を迎えるにあたって旅に出る。一行は途中で多くの魑魅魍魎を退治しながらワヒト村に到着。
村の男たちは虎に姿を変えさせられ、自分の村の女達を食おうとしていた。ビモとアルジュノが虎を迎え撃って殺すと、虎達は人間に戻った。

またガドゥンムラティ村では、かつてビモとアルジュノを沼地で苦しめ、返り討ちにあって死んだガルドパティの馬丁アンギロが両足を無くし、食べ物だけは馬の姿をした僧侶の弟子に差し入れられているが、坐して動けぬまま日を過ごしていたので、ビモの瞑想によってアンギロの魂が天に昇ると、いきなり馬の群れが駆け込んで来た。
リーダーの馬がアルジュノを選んで攻撃して来た。アルジュノが矢を射ると、倒れた馬は、馬の姿に乗り移ったドゥルノだった。彼はアルジュノに撃たれ、アルジュノの呪文によって天界へ登るこの日を迎えるため「時間待ちの天界」に留まっていたのだ。

パンダワは昇天するための祠堂に辿り着き、祭壇に炊かれた火に身を没して肉体は滅びたが、魂はまだ残って、パリクシトの即位を待った。
元のマハーバーラタでは、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡し、その原因をいちいちユディスティロが解説する。アルジュノは武芸を過信(してアビマニュの仇を一日で取ると豪語)した罪だった。一人頂上に辿り着いたユディスティロによって、地獄の責め苦より救われ、パンダワ全員が天界に入れる事になっている。

ワヤンでは、パンダワは「時間待ちの天界」にまだ魂が残り、死を迎えたクレスノと合流。
パリクシト即位の時を迎え、クレスノやビモの孫、スティアキの息子とともに、高位高官も民衆も歓呼して祝うのを見届け、ビモ、クレスノの霊魂と昇天しようとしたが、ボロデウォが呼び止めた。
ボロデウォがアスティノ国に攻めて来たウシアジを倒して昇天。これを見届けたビモ、クレスノとともに、アルジュノもようやく昇天する。

双神アスウィン08話
パンダワ四男ナクロと五男サデウォの実父。
呪いを受け後継に窮したパンドゥはクンティの呪文によって、ユディスティロはじめ三子を得た。さらにクンティに呪文を教わったマドリムの前に現われたのがこの双神アスウィンである。
アスウィンは、双子の兄弟ナクロとサデウォをマドリムに生ませた。

ナクロ08話13話25話26話44話51話52話56話59話
パンダワ兄弟の四男。パンドゥの四男だが、実際にはアスウィン神の子。母はマドリム。腹違いの兄にユディスティロ、ビモ、アルジュノ、双子の同母弟にサデウォ。
大抵「パンダワ」と称される物語には全て登場してるハズだが、同じパンダワ兄弟でありながら、ビモやアルジュノに比べて極端に影が薄く、ここでは特に名を出している話だけをリンクした。

パンダワ焼討ち事件では、3人の兄(ユディスティロ、ビモ、アルジュノ)達とともに焼きだされるが、その後、森の中で放浪する家族の中で、ただ飢えに泣く幼い子供として登場している。

サイコロ賭博事件によって、森で12年の刑に服していた頃、パンダワ達はバラモン僧の香炉を探す内に喉が渇き、ナクロが樹に登って湖を発見した。ナクロは死神ヨモディパティの問いに答える前に水を飲もうとしたため、その場に倒れて死んだ。
兄弟達はナクロを探しに出かけて同じ目に遭い、最後にユディスティロが死神との問答に応じ、弟のうち一人だけ蘇生させようと持ちかけられる。
ユディスティロはナクロを選び、その理由を問われて、ビモとアルジュノは同母であり、ナクロとサデウォは異母である、違う母から生まれた子孫をともに絶やさぬためである、と答えたので、ヨモディパティは感じ入り、4人全てを蘇生させ守護した。

刑が13年目に及ぶと、ナクロは馬の調教師に変装してウィロト国に入った。

大戦も終盤、サルヨが戦闘指揮者になったと知ると、幼い頃からサルヨに愛されたパンダワ陣営では、特にサルヨを叔父(母マドリムの兄)にもつ双子の四男ナクロと五男サデウォは敵に廻す気にはなれず、皆すっかり戦意喪失しきった。
さらにサルヨを手ごわいと見たクレスノは、ナクロとサデウォを夜陰に紛れてサルヨの屋敷に偲びこませた。
伯父サルヨに合うと、双子は「戦場でまみえるより、今すぐ手討ちにして欲しい」と涙ながらに願い出た。
サルヨは双子の甥のこの行動には演出者がいる、と即座に見抜き、自分の言った事をただ復唱するように双子に指図した。
「クレスノの使者として来た。自分達は明朝、そなたサルヨに死を迎え入れられるように」
この双子の復唱によって、サルヨは「悪意を持たぬ相手に死を請われた」設定を導き出し、さらに「ユディスティロに護符カリモソドを手にして出て来るように」とクレスノへの伝言を託した。

ナクロとサデウォはサルヨの伝言をパンダワ陣営に伝え、ユディスティロの名が上がる。

大戦が終了すると、ナクロとサデウォには、サルヨのモンドロコ国が与えられた。

ナクロには息子と娘がいたようで、息子はパンダワが昇天するための祠堂に辿り着いた時、祭壇を作る一員に加わっている。娘はスリタンジュンは最終章に登場する。
元のインド・マハーバーラタでは、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡し、その原因をいちいちユディスティロが解説するのだが、ナクロは美貌を過信した罪だった。
一人頂上に辿り着いたユディスティロが、弟達を見捨てられないと天界入りを拒む話の後、天界に行くと、コラワ百王子のみいて、弟達が地獄の責め苦にあっていると知らされ、自分も地獄に行こうとしたので、感じ入ったダルモ神によって、パンダワ全員が天界に入れる事になっている。

サデウォ08話13話26話39話40話44話51話52話56話59話
パンダワ兄弟の五男。系譜上はパンドゥの五男だが、実際にはアスウィン神の子。母はマドリム。腹違いの兄にユディスティロ、ビモ、アルジュノ、双子の同母兄にナクロ。
ナクロと同じく「パンダワ」と称される話に登場してるハズだが、ナクロ同様に非常に影が薄い。

サイコロ賭博事件後、刑が13年目に及ぶと、サデウォは牧夫に変装してウィロト国に入った。

大戦が勃発し、ビモとアルジュノがガルドパティにおびき出されて戦場を離れた時、ドゥルノが攻め込んでパンダワ軍は大混乱を呈した。この危機を回避する方法をアビマニュだけが知っていたので、クレスノはサデウォをアビマニュのいるウィロト国の王宮に使わせた。
道行く途中サデウォは巨大な虎に襲われ、虎を仕留めた。
虎はグル神の代行ナロド神だった。ナロドはサデウォに戦況を聞き、クレスノがアビマニュを戦場に連れ出す命令を出したと聞くと、大いに喜んで引き上げた。グル神は自分の渡した「ジタブソロの書」をクレスノが忠実に実行しているかチェックしていたのだ。

大戦も終盤、サルヨが戦闘指揮者になったと知ると、幼い頃からサルヨに愛されたパンダワ陣営では、特にサルヨを叔父(母マドリムの兄)にもつ双子の四男ナクロと五男サデウォは敵に廻す気にはなれず、皆すっかり戦意喪失しきった。
さらにサルヨを手ごわいと見たクレスノは、ナクロとサデウォを夜陰に紛れてサルヨの屋敷に偲びこませた。
伯父サルヨに合うと、双子は「戦場でまみえるより、今すぐ手討ちにして欲しい」と涙ながらに願い出た。
サルヨは双子の甥のこの行動には演出者がいる、と即座に見抜き、自分の言った事をただ復唱するように双子に指図した。
「クレスノの使者として来た。自分達は明朝、そなたサルヨに死を迎え入れられるように」
この双子の復唱によって、サルヨは「悪意を持たぬ相手に死を請われた」設定を導き出し、さらに「ユディスティロに護符カリモソドを手にして出て来るように」とクレスノへの伝言を託した。

ナクロとサデウォはサルヨの伝言をパンダワ陣営に伝え、サルヨはこれにより戦死する。

大戦が終了すると、ナクロとサデウォには、サルヨのモンドロコ国が与えられた。

元のインド・マハーバーラタでは、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡し、その原因をいちいちユディスティロが解説するのだが、サデウォは知恵を過信した罪だった。
一人頂上に辿り着いたユディスティロが、弟達を見捨てられないと天界入りを拒む話の後、天界に行くと、コラワ百王子のみいて、弟達が地獄の責め苦にあっていると知らされ、自分も地獄に行こうとしたので、感じ入ったダルモ神によって、パンダワ全員が天界に入れる事になっている。

ボゴデント09話37話38話
コラワ百王子の一人。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
コラワ兄弟がパンダワ兄弟に持ちかけたシーソーゲームで、最後に飛び乗ったビモによって、風の上の国にまで飛び散らされ、「後に戦争が起こった時、アスティノに集結せよ」という神の定めに従った。

ボゴデントはバラタユダ(大戦)勃発と聞き付けると馳せ参じ、ビスモを失った後のコラワ軍で、ドゥルユドノから次の戦闘指揮者に指名される。

ボゴデントは巨象に乗って大暴れした。その象の調教師が美女であったので、アルジュノがナンパしようとしたが、これをボゴデントは吹っ飛ばした。
アルジュノが矢の雨を降らせ、ボゴデントが無数の毒蛇で対抗し、アルジュノがガルダ鳥で応戦すると、ボゴデントは洪水を、アルジュノが旋風ならボゴデントは鎖矢を放つ。この鎖矢はクレスノがジャスミンの花輪の首飾りに変えてしまったが、ボゴデントはなおも大暴れを続けた。
アルジュノの矢がボゴデントの象に当たると、ボゴデントは象にひざまづいて泣き悲しみ、象は復活した。ボゴデントに矢が当たると、調教師ムルダニンシが泣き悲しみ、ボゴデントが復活。ムルダニンシに矢が当たると、象が泣き悲しんでムルダニンシが復活。
アルジュノ従者スマルの「ボゴデントと象と調教師を同時に倒せばいい」との献策によって、矢が同時に三本出る武器によって三者ともに死んだ。
このボゴデントの死は、コラワ軍の総指揮者でビスモに次ぐものであり、以後も次々と総指揮者の死が続いて、コラワは敗退に追い込まれる。

クルティペヨ09話37話
コラワ百王子の一人。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
コラワとパンダワのシーソーゲームで風の上の国にまで飛び散らされた一人。「後に戦争が起こった時、アスティノに集結せよ」という神の定めに従った。

クルティペヨはバラタユダ(大戦)勃発と聞き付けると馳せ参じ、ビスモを失った後のコラワ軍で、同じくシーソーゲームで飛ばされたボゴデントが、ドゥルユドノから次の戦闘指揮者に指名され、クルティペヨは副官に任命された。
しかし戦闘の前に、ビモと道行きの途中で出くわし、ビモに倒される。

ガルドパティ09話37話38話39話
コラワ百王子の一人。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
コラワとパンダワのシーソーゲームで風の上の国にまで飛び散らされた一人。「後に戦争が起こった時、アスティノに集結せよ」という神の定めに従った。

ガルドパティはバラタユダ(大戦)勃発と聞き付けると、コラワ軍に馳せ参じた。

ビスモについで、ボゴデントとクルティペヨを失ったコラワ軍では、ドゥルユドノがガルドパティを戦闘指揮者に、同じくシーソーゲームで飛ばされ戻って来たウレソヨを副官に任命した。
剛猛ボゴデントに対し、ガルドパティは頭脳戦を展開し、「ビモとアルジュノを軍から引き離した隙に、本隊をついて総帥ユディスティロを生け捕りにする」という作戦を打ち出した。
これに、パンダワを教育し二人の弟子の性格を熟知していたドゥルノが、二人を軍から引き離すため「二人に挑戦的な言葉を呼びかけ、二人のまだ行った事のない土地に誘い出すのが良い」と追加献策、引き込む場所をセトロプルという寂しい山麓の沼地に設定した。

戦場に出るとガルドパティはビモに「大勢の兵の中では邪魔が入る恐れがあるから、存分に戦い合える場所に行こう」と誘い出し、わざと後退してセトロプルにおびき出した。ウレソヨがアルジュノを呼び出し、残ったパンダワ本陣をドゥルノが攻撃する手はずだった。
クレスノの忠告がありながら、ビモとアルジュノは敵に挑戦を受けている手前、引き返す事も出来ずにズルズルと軍から離れ、セトロプルに着くと日が暮れた。
ガルドパティは呪文を唱え、剣を大地に突き刺した。大地は一瞬で泥沼となり、ビモとアルジュノはこれに埋もれ、互いに互いを助けようとあがいてますます深みにはまった。泥を飲み苦しみの余り、敵に早く殺してくれと叫んだ。
ガルドパティはドゥルユドノに状況を報告しに戻り、とどめを刺す許可を求めた。ドゥルユドノはすぐ殺すよう命令。セトロプルに引き返したガルドパティとウレソヨは、哄笑し悪口雑言しながらビモに近付く。
するとビモは最後の力を振り絞り、ガルドパティの武器を握る手を掴んで、逆にガルドパティを泥に引き入れ、ガルドパティとウレソヨの体を足場に、ビモとアルジュノは地上に脱出した。
ガルドパティとウレソヨは土中に窒息死する。

ウレソヨ09話37話38話39話
コラワ百王子の一人。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
コラワとパンダワのシーソーゲームで風の上の国にまで飛び散らされた一人。「後に戦争が起こった時、アスティノに集結せよ」という神の定めに従った。

ウレソヨはバラタユダ(大戦)勃発と聞き付けると、コラワ軍に馳せ参じた。

ビスモについで、ボゴデントとクルティペヨを失ったコラワ軍では、ドゥルユドノがガルドパティを戦闘指揮者に、ウレソヨを副官に任命した。
ガルドパティとドゥルノの合体提案により、「二人に挑戦的な言葉を呼びかけ、二人のまだ行った事のない土地に誘い出して、ビモとアルジュノを軍から引き離した隙に、本隊をついて総帥ユディスティロを生け捕りにする」と決定。引き込む場所をセトロプル山麓の沼地に設定した。

戦場では「存分に戦い合える場所に行こう」とガルドパティがビモを、ウレソヨがアルジュノを誘い、わざと後退しておびき出した。ビモとアルジュノは敵に挑戦を受けて引き返せず、軍から離れセトロプルで日暮れを迎えた。
セトロプルの泥沼でビモとアルジュノは埋もれ、互いに助けようとあがいて深みにはまり、早く殺してくれと叫んだ。ドゥルユドノに殺害の許可を得たガルドパティとウレソヨは、哄笑し悪口雑言しながらビモに近付いたが、ガルドパティの手をビモが掴み、泥に引き入れたのを機に、ビモとアルジュノの足場にされて、ガルドパティもろともウレソヨも土中に窒息死した。

ドゥルノ10話11話19話26話29話31話35話36話38話39話40話41話
43話
44話45話58話
外国から来た武将。妻にウィルトモ。子にアスウォトモ。アスティノ国軍師。
ジャワで出世した従兄弟ドルポドを頼り、ドゥルノは天女ウィルトモの助けで川を渡り、ウィルトモを妻に一子アスウォトモを得た。
パンチョロ国の王宮では、ドルポドを見掛けるや、懐かしさのあまり昔の名を大声で叫んだが、宰相ゴンドモノに聞きとがめられ、王を侮辱した者として袋叩きにあい、耳と鼻が曲がり、歯茎が見える醜悪な顔となった。ドゥルノは終生ドルポドを恨み、ドルポドとドゥルノの間に、その子達の代まで及ぶ、長い因縁と抗争劇が始まる。
恨みを晴らすために苦行を重ねたドゥルノは、やがてアスティノ国に着き、まだ幼いコラワとパンダワ兄弟達と出会い、アスティノ国に仕官。長老ビスモを援け、王子たちに学芸と武芸を仕込み軍師として重用され、多くの弟子が出来た。
中でもパルグナティが技能に卓抜していたが、ドゥルノが愛したパンダワ三男アルジュノがパルグナティの腕を妬んだので、ドゥルノはいきなりパルグナティの左手首を切り落とし、死にゆくパルグナティから呪詛された。
アスティノ国で力をつけたドゥルノは、やがてドルポドのパンチョロ国から半分の領土を奪った。

ドゥルノは生涯アルジュノを溺愛し、カルノが初登場した武芸大会においても、アルジュノを炊きつけてカルノと戦わせる。

またレサンプロ国王ウグロセノの王女スティヨボモに求婚していたが、横恋慕したクレスノに騙し取られ、スティヨボモはクレスノ第三夫人に座に納まるなど、醜悪な顔がもたらす悲運が見え隠れする。この後、パンダワに接近するクレスノと対照的に、ドゥルノはコラワ陣営での活躍が見えるようになる。

コラワがトリガルトとともに、ウィロト国を南北から割譲するため武力を用いた時は、ドゥルノも出陣してウィロト国を北から囲んだ。この時の軍容から、ドゥルノは蛇の幟を使用していた事がわかる。

開戦に先立ち、巨大な化け物に変身して眠るクレスノを揺り起こそうとしたドゥルノは、自分の首を撫でて失神し、後の戦で首を切られる運命と決した。

アスティノ国の王宮会議では、ビスモが、戦争回避のためアスティノ国をコラワとパンダワで二分する意見を出すと、ドゥルノは賛成し「大都市の含まれる地域をコラワが、小都市の地域をパンダワに譲れば、戦争は回避できる」と追加提案した。が、これらも全てクレスノにブチ壊され戦争に突入。ドゥルノはコラワ陣営に身を置いた。

大戦の初盤、パンダワ・コラワ両軍は側面からの攻撃に弱い陣形を取り、ドゥルノがマツウォパティ王三男ウラトソンコを殺すと、その兄セトは弟の死に逆上して、仇のサルヨ(は次男を殺戮)とドゥルノを探して戦場に直行。その猛攻にはサルヨもドゥルノも歯が立たず、ドゥルノはビスモを戦闘指揮者にするようドゥルユドノに進言する。

ビスモ、ボゴデントが死ぬと、かわって戦闘指揮者となったガルドパティは「ビモとアルジュノを軍から引き離した隙に、本隊をついて総帥ユディスティロを生け捕りにする」という作戦を打ち出した。
ドゥルノは賛成し、ビモとアルジュノを軍から引き離す手段として、「二人に挑戦的な言葉を呼びかけるのが良い」と献策。パンダワを教育したドゥルノは、二人の弟子の性格を熟知していたので、さらに「二人のまだ行った事のない土地に誘い出すのが良い」と、引き込む場所をセトロプルという寂しい山麓の沼地に設定した。
このようにドゥルノは、人の意見に追加献策し、より実現可能な内容に高め、人事の起用にも秀れ、軍師らしい一面を覗かせている。

ガルドパティがビモを、ウレソヨがアルジュノを挑発しおびき出すと、ドゥルノの総攻撃が開始。パンダワ軍は大混乱に陥った。
ドゥルノが師であるがゆえにビモやアルジュノの弱点を知り抜いているように、ドゥルノの攻撃をかわす方法を知っているのは、ドゥルノの愛弟子アルジュノだけだったが、アルジュノは遠いセトロプル山にいたので、アルジュノから伝授を受けているアルジュノの嫡子アビマニュが登場した。

ドゥルノは「車輪の陣形」で、周囲の兵力を車輪のように旋回させて敵の目を晦ませ、機を見て敵陣に突っ込もうとした。対するアビマニュは自在に動ける「エビガニの陣形」の先頭に立って揉み込み、車輪の突破を図った。
車輪の陣形は崩され、中心部のドゥルノは敗走。しかしその退き方を教わってなかったアビマニュは味方の本隊に取り残され、一度は崩した敵陣に孤立。無数の矢を射掛けられ死亡した。

最後にアビマニュの首を取ったジョヨジョトロをアルジュノが息子の仇と追い掛けたが、ジョヨジョトロはコラワ末娘ドゥルシロワティの夫であるから、ドゥルノは威信にかけても守ろうと、「車輪の陣形」をカルノに任せ、その後方に「蓮の花の陣形」を形成してジョヨジョトロを匿い、さらに後方にサルヨが「鋭利な針の陣形」を取って、三層の堅固な守りに転じた。

が、ジョヨジョトロはクレスノとアルジュノによって敗死。

ドゥルノは「所詮コラワはパンダワに勝てない」と反論し終戦を薦めるが、親族を次々と失ったコラワ長兄ドゥルユドノは、アビマニュを戦死させ、ジョヨジョトロを護ったドゥルノを、ねぎらう所か「ジョヨジョトロがアルジュノの反撃から逃れようとしていたのを、お前が戦場に押しとどめた、実はパンダワの味方だろう」と責め立てた。
責任を感じたドゥルノは屍臭の国に出向き、女神ドゥルゴに「姿を眩ませる髪の毛」を一筋貰った。声さえ出さなければ透明人間になっていられる武器だった。
無人の戦車から秘矢が放たれ、ドルポド王やマツウォパティ王などパンダワ側の大物が瞬時に相次いで死亡。ドゥルノは長年の敵ドルポドをこうして倒した。
しかしクレスノは乗用象エスティトモの死を利用し、ペトルに「アスウォトモが死んだ」と触れ回させたので、噂を伝え聞いたドゥルノは、息子アスウォトモが戦場のどこかで死んだと思い、真偽を問い質すため声を出して、たちまち魔法は破れ、姿を現した。ビモ、スリカンディ、ナクロ、サデウォ、アルジュノと聞き回ったが、皆クレスノの指示通り「アスウォトモが死んだ」と答えた。
唯一決して嘘をつかないユディスティロが困惑で顔面を曇らせたのを見て、ドゥルノはうろたえ、「エスティ・トモが死んだ」と言ってるのを聞き取れず、戦車の中で失神した。
パンダワ達は師として尊敬するドゥルノを殺す気はなかったが、一人ドルポド王の息子ドルストジュムノは、「父の仇」と復讐に燃えて戦車に飛び乗り、これにかつて左手首を切り落とされて死んだパルグナティの魂が入力、ドゥルノの首は一気に掻き切られた。
首は、ドルストジュムノに遠く投げつけられドゥルユドノの足元に落ちた。師ドゥルノへのこの仕打ちにパンダワは烈火のごとく怒り、ドルストジュムノは逃走した。
以後、父ドゥルノを殺されたアスウォトモは、執拗にドルポド一族への報復の機会を待ったが、ドゥルノの霊魂も死に切れず「時間待ちの天界」に留まった。

ドゥルユドノは、パンダワがその師ドゥルノへ太刀打ちする気概を無くした様子に、改めてドゥルノを頼もしく思ったが、その報もドゥルノの戦死で締め括られ、落胆し悲憤した。

大戦後、死期を迎えるにあたって旅に出たパンダワが、途中に到着したガドゥンムラティ村で、ガルドパティの馬丁アンギロに会う。彼は両足を無くし、食べ物だけは馬の姿をした僧侶の弟子に差し入れられているが、坐して動けぬまま日を過ごしていたので、クレスノに問われて死を望み、ビモの瞑想によって魂は天に昇った。するといきなり馬の群れが駆け込んで来て、パンダワを襲った。
パンダワが退治すると、リーダーの馬がアルジュノを選んで攻撃して来た。アルジュノが矢を射ると、倒れた馬は、妻ウィルトモと同じ馬の姿に乗り移ったドゥルノだった。ドゥルノはアルジュノの呪文によって天界へ登る事を望み、アルジュノに撃たれて死ぬため「時間待ちの天界」に留まってこの日を迎えたのだった。

ウィルトモ10話23話24話55話
天界の妖精(天女)。ドゥルノの妻。アスウォトモの母。
ドゥルノがジャワに渡ろうと、川で「ジャワに渡してくれる者があったら、女ならば妻にする」と叫んだ声に答えて、天馬に姿を借りて到来し、ドゥルノを乗せてジャワに着くや、一子アスウォトモを産み落とした。
自分が天界の天女である事を明かした後、我が子を天から見守るとして天界に帰った。

サイコロ賭博で領土を失ったパンダワ三男アルジュノが山中で修行していた頃、天界の魔王を倒すため、インドロ神はアルジュノに白羽の矢を立て、テストのため送り込んだ美女の妖精7人の一人。

大戦後、息子アスウォトモは父ドゥルノを殺された恨みを抱き、復讐のために夜襲を計画。母ウィルトモを呼び、「決して振り返らない」という条件で、ウィルトモのもたらした光を頼りに、王宮に続くトンネルを掘った。
ところが王宮の真下に達した時、アスウォトモは母のかもす光の真相を知りたいと振り返る。
光の出所はウィルトモの乳房か膣と言われ、振り返った途端に暗闇となり、母ウィルトモは「約束を破ったお前は呪われてるのだろう」と去って行った。

アスウォトモ10話44話48話50話55話56話
ドゥルノの子。母は天界の美女ウィルトモ。
父ドゥルノがジャワに向かう時、ドゥルノを乗せて川を渡した天馬(実は天女)が母ウィルトモで、ジャワに着いた途端ウィルトモが生み落としたのが、このアスウォトモである。
ドゥルノは「駿馬」に所以するとして、この「アスウォトモ」という名を付けた。母ウィルトモは天界に帰ったので、ドゥルノは同じように天界の妖精を母に持つクルポとその妹に、アスウォトモを預けた。

大戦を迎えた時、アスウォトモは火を噴く神矢を持つ武士に成長しており、一方、コラワ軍の戦闘指揮者に任じられた父ドゥルノは、声を出さなければ透明人間となっていられる秘法によって、マツウォパティ王や、ドゥルノの長年の敵ドルポド王を瞬時に相次いで死亡させた。
これに対し、パンダワ軍師クレスノは、乗用象エスティトモの死を、戦場じゅうに「アスウォトモが死んだ」と触れまわさせた。
この噂を伝え聞いたドゥルノは、パンダワ達を見つけると声を出して姿を現し、息子の死を聞き回った。ユディスティロだけは真実を言ったが、その顔色が困惑で曇っていたのと、ドゥルノがうろたえて聞き取れず、ドゥルノは戦車の中で失神。
ドルポド王の息子ドルストジュムノは「父の仇」と戦車に飛び乗り、ドゥルノの首を一気に掻き切り、コラワ陣営の総大将ドゥルユドノの足元に投げ落とした。
この仕打ちに怒ったパンダワによってドルストジュムノは逃走したが、父ドゥルノを討たれたアスウォトモは、怒りに燃えて火矢でパンダワの陣営に大打撃を与え、アルジュノに阻まれてやはり姿を消した。
しかしアスウォトモのパンダワへの復讐心は執拗に残り、特にドルポド一族への報復の機会を待った。

カルノが新しく戦闘指揮者となると、その戦車の日傘を差す役にこのアスウォトモが選ばれた。

カルノがアルジュノに向けて魔矢を射ようとした時、カルノの馬車を操っていたサルヨは、アルジュノに当たるのを避け、咄嗟に戦車を揺さぶったので、魔矢はアルジュノの急所を逸れた。
日傘役のアスウォトモはこれを見て驚き、憤慨したが、さらにアルジュノが弓を射ようとした時、サルヨの操る戦車は車輪がぬかるみにはまり、カルノはアルジュノに射殺された。
アスウォトモはコラワ陣営に戻ると、サルヨのこの行為を報告し、サルヨの責任を追及するあまり、「娘婿のカルノを殺した、かつては舅バガスパティさえ殺害した男だ」と罵り、怒ったサルヨに打ちかかられる。
アスウォトモは逃げ、バヌワティ王妃の宮殿に身を寄せて、カルトマルモと合流し、二人で「ドゥルユドノに安全な場所に移せと命じられた」と、バヌワティをそそのかして連れ出した。しかしこれは罠であった。
アスウォトモにとって、父ドゥルノを死に至らしめたドルポド一族こそ仇であったが、カルノを死に至らしめたサルヨがにも憤慨し、サルヨの娘バヌワティを陵辱して、妻にしてやろうと考えた。

バヌワティは、森に連れ去られてから二人の悪計に気づき、逃亡してアルジュノに再会。アスティノ王宮に引き取られた。
バヌワティに逃げられた二人は森に残り、これまでコラワ王子として厚く遇されたカルトマルモの野心を、今や父ドゥルノの復讐を果たすべく鬼と化したアスウォトモが担いだ。
彼には今も育ての親(ドゥルノがアスウォトモを預けた)クルポが付き従っていて、クルポは二人の無謀を何度も止めたが、二人は聞かなかった。
夜の森で、ふくろうが巣に眠る鳥の群れを皆殺しにしたのを見て、アスウォトモは夜襲を計画した。天界の妖精である母ウィルトモを呼び、「決して振り返らない」という条件で与えられた光を頼りに、王宮に続くトンネルを掘った。
ところが王宮の真下に達した時、アスウォトモは振り返り、途端に暗闇となり、母ウィルトモは去った。
が、アスウォトモに幸いしたのは、戦の終了による安堵によるものか、兵が寝入っていた事だ。押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男を殺し、闇夜に惑う将兵達を次々と倒し、父の仇ドルストジュムノも殺した。

さらにカルトマルモの命令で、弱い女子供を狙って女の館に侵入した。熟睡していた女戦士スリカンディ(これもドルポドの娘)を即死させ、パリクシトのそばにいたバヌワティ(サルヨの娘)を犯して殺した。
カルトマルモは、「パンダワ後継者のパリクシトを殺害すれば、パンダワは絶望して後追い自殺する」と思い、アスウォトモを宰相に任命、そして自らを王とこの時に自称した。
臣下アスウォトモは、王に殺害をさせるわけにはいかないので、カルトマルモを外に出し、自分が手を下そうとしたが、あやされてると勘違いした赤ん坊のパリクシトは、はしゃいで足を蹴り上げ、その足から発せられたパソパティの矢が命中し、アスウォトモは落命した。
クレスノやアルジュノがようやく駆けつけ、クレスノの呪いの言葉で、死体となったアスウォトモは蛆虫になる。
クレスノはドゥルノ亡き後、その息子アスウォトモの物となるべきだった国の領主に、クルポを任じた。

パルグナティ10話44話
スリウェダリ国王。子にアルジュノパティ。
弓の技能に秀れ、ドゥルノに弟子入りしたが、ドゥルノはパンダワ三男アルジュノを贔屓して、パルグナティには正しい技術を教えなかった。
パルグナティは自身で技術を習得し、これをアルジュノが妬んでドゥルノに訴えたため、ドゥルノはいきなりパルグナティの左手首を切り落とした。この怪我が原因でパルグナティは死に至り、その直前「来るべき戦争に際し、この恨みを晴らす」と、時間待ちの天界でドゥルノの死を待った。

大戦が起こると、ドゥルノは透明人間となってライバルであるドルポドを射殺したが、その後クレスノの策謀に破れ、透明人間の秘法が解かれて姿を現し、さらに息子アスウォトモが死んだという流言に騙され戦車の中で失神した。
そこをドルポド王の息子ドルストジュムノは、ドゥルノを「父の仇」と復讐に燃えて戦車に飛び乗った。
このドルストジュムノに、かつての恨みを晴らすべくパルグナティの魂が入力され、ドゥルノの首を一気に掻き切った。
本来ならここでパルグナティの魂に連れ去られるはずだが、ドゥルノは死に切れず、その霊魂は「時間待ちの天界」に留まった。

アルジュノパティ10話56話57話
スリウェダリ国王。パルグナティの子。
父パルグナティがドゥルノに害されて死に、母は夫の死を嘆いて、葬式の祭壇の火に身を投げて死んだ。
アルジュノパティはこうした事を知らされずに育ち、やがて父母の事を聞きにグル神を訪ね、天界の門番を押しどけ、門に押し入ってグル神に会った。
この無礼を咎められ、アルジュノパティは醜いラクササに姿を変えられ、グル神に「元の姿に戻りたかったら苦行所に行け」と命じられる。苦行所では僧侶がアルジュノパティに苦行させ、元の姿に戻すにあたって「自分のどんな要求にも従うこと」と約束させた。この僧侶が実はクレスノであった。
アルジュノパティはスリウェダリ国に戻り、父の跡を継いで国王となった。

大戦終了後、初恋の人バヌワティを失ったアルジュノの失意を察したクレスノは、バヌワティに生き写しの女がスリウェダリ国王の妃チトロホイだと告げ、アルジュノを車に乗せてスリウェダリ国に着き、アルジュノを車の中に置いて、国王アルジュノパティに会い、お前の妃を差し出せと要求した。

アルジュノパティはかつての約束を守って妻を手渡したが、家臣達はおさまらなかった。
そこでアルジュノパティは軍隊を整え、アルジュノに挑戦し、敗れて死ぬ。

ドゥルユドノ11話12話13話16話17話18話22話23話25話26話28話
29話31話33話34話36話37話38話39話43話44話45話47話48話49話
50話52話53話54話
コラワ百王子の長兄。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
コラワ兄弟は子供の頃から、生母グンダリのクンティへの恨みと、グンダリの弟スンクニの野心の元で、パンダワ兄弟への執拗なライバル心を植えつけられて育った。
ドゥルユドノは傲岸不遜な態度の裏で、弱く、気迷いの多い性格だった。

ドゥルノの武芸大会では、パンダワ三男アルジュノと互角に戦ったカルノを、パンダワへの対抗馬として領土を与え、コラワ陣営に迎えた。

コラワ兄弟は特にパンダワ次男ビモに適わず、何度か陥れようと画策した上、父ダストロストロが預かっていた王位をパンダワ長兄ユディスティロに返還しようとしたので、スンクニと計らい、ダストロストロ王が就任の祝いに建築した屋敷に細工を施し、クンティもろともパンダワを焼討ちする。

焼討ち現場から、クンティとパンダワ兄弟達に似た遺骸が発見されたため、ドゥルユドノは父ダストロストロもアスティノ国長老も認めないのに、勝手にアスティノ国王位を乱用。パンダワは森の奥で困窮したため、実質この時からアスティノ国王になった。

父ダストロストロに王位を認めさせるため、有力な家の娘を嫁に迎えようと、ドゥルユドノはカルノを伴って、パンチョロ国王ドルポドの姫ドルパディの婿取りの儀に参加する。

重代の弓を引き絞る事すら出来ない者達の中で、ドゥルユドノは4度まで命中させたが、残り一回という所で、ドルパディの一喝によって撤退させられ、このドルパディがパンダワ長兄ユディスティロの妻となる過程で、パンダワ生存を知り、名門出身の妃を得ようと焦ったドゥルユドノは、サルヨの美人三王女に目をつけた。

しかしサルヨ長女エロワティはボロデウォの、次女スルティカンティもカルノの妻となり、三女バヌワティは、「アルジュノと逢引する条件」を要求。これを飲んだドゥルユドノは、ようやくバヌワティを妃とし、長男レスモノモンドロクモロを得た。

パンダワのアマルト建国がなると、その盛大さと人民に慕われるユディスティロに嫉妬し、即位式に訪れた宮殿で足を挫いたり、浴場で濡れ鼠となった逆恨みも加わり、スンクニを使者にパンダワ兄弟を招き寄せ、ユディスティロにサイコロ賭博を持ち出した。
スンクニの詐欺によってドゥルユドノが勝ち、アマルト国の宮殿と財、領土と軍隊、妻ドルパディまで奪い取った上、パンダワ兄弟の命も取ろうとしたが、父ダストロストロ王に諭され、パンダワの命だけは助けた。
が、改めて、12年を森で過ごし、13年目に身分が知れたら再び13年のやり直しを永遠に繰り返す、という酷い刑を与えた。

次弟ドゥルソソノが囚われのドルパディを衆目で辱めるのをドゥルユドノが止めず、むしろ膝を打って楽しんだので、ビモから「後の戦争の時に、お前の膝を叩き割ってやる」と呪詛を受けた。

父ダストロストロ王はじめ「パンダワにアマルト国を返還すべき」という意見も出て、ドゥルユドノは返ってパンダワを攻め滅ぼそうと、カルノに軍を動かさせたが、逆にラクササ軍の捕虜となる。森のパンダワがラクササ軍を追い払い、ラクササ軍に投げ出されたドゥルユドノが恥じ入り自害するのを、スンクニとカルノが説得してアスティノ国に帰ると、千人の修行僧を迎える事になり、苦行僧の怒りを振り替えようと、苦行僧たちの接待をパンダワに仕向けたりした。

トリガルトとともに、ウィロト国を南北から割譲する武力行使の時、ドゥルユドノも出陣してウィロト国を北から囲んだが、アルジュノによって駆逐される。
この時の軍容から、ドゥルユドノは象の幟を使用していた事がわかる。

パンダワの刑期が終わると、パンダワ母クンティ、パンダワの舅ドルポド、叔父ヨモウィドロが国土返還を求めたが、ドゥルユドノや宰相スンクニは屁理屈を持ち出して跳ねつけ、誇り強いドルポドから「戦いで決着」という言葉が出た。
ドゥルユドノは、眠りの苦行をしているクレスノを目覚めさせた方が勝つ、という天のお告げを聞き、妻バヌワティに相談したが、バヌワティからは意地の悪い答が帰って来るのみだったので、自身で祭壇を整え祈願したが眠りこけて成功せず、義兄弟のボロデウォとカルノ(は妻同志がドゥルユドノと姉妹)にクレスノのドロワティ国に攻め入らせた。

クレスノを揺り起こそうとしたドゥルユドノは、太股を撫でてクレスノの口から噴いた火に倒れ、戦における彼の運命が定まった。
クレスノの武器チョクロにコラワ軍は退却し、ガムランを鳴らして、自分がクレスノを起こしたと言い張ったので、クレスノに、千の王が率いる軍隊と一切戦闘には加わらないクレスノのどちらを選ぶか問われ、前者を選んで、ボロデウォに「千の王も軍隊も死ぬが、クレスノは不死身だ」と誤りを指摘される。(千の王の軍隊は、戦闘の時に全て木の葉に戻ってしまう、という話もある)

アスティノ国に訪れたクレスノが、アスティノ・アマルト両国の返還を迫り、さらに宣戦布告したため、ドゥルユドノは親切を装い、毒入りの食事でクレスノを饗応接待したが見破られ、クレスノの呪文によって失神するハメとなる。

ジョクジャの話では、この時のクレスノ大変身で父ダストロストロ王は死亡し、ドゥルユドノは落胆し取り乱して、サルヨに先制攻撃のシンバルを命じるよう促されるなど、醜態を晒すのみだった。

戦闘が開始されると、小手調べとしてドゥルユドノはビモと対戦した。

初戦でコラワ戦闘指揮者ビスモが倒され、ドゥルユドノは純白のレースの枕と美味の飲み物を出したが、ビスモはそれを拒否して、ただ自分の死を最後に戦争を終わらせるよう進言した。
しかし子供時代のコラワとパンダワのシーソーゲームで、かつて遠い風の上の国に飛ばされたドゥルユドノの弟達、ボゴデント、クルティペヨ、ガルドパティ、ウレソヨが、バラタユダ勃発と聞き付けて馳せ参じてたので、ドゥルユドノは戦闘指揮者にボゴデントを指名し、副官にクルティペヨを任命した。

しかしボゴデントもクルティペヨも倒れ、ドゥルユドノはガルドパティを戦闘指揮者に、ウレソヨを副官に任命した。

しかしこの二人もビモとアルジュノに殺された。

ドゥルノも終戦を薦めたが、既に風の上の国の弟達の他、妹ドゥルシロワティとその夫ジョヨジョトロとその子ウィソクスモ、我が子レスモノモンドロクモロまで次々と失ったドゥルユドノは、目覚しい頭脳で作戦の遂行を成し遂げた軍師ドゥルノを、ねぎらう所か、「アルジュノの反撃から逃れようとしたジョヨジョトロを、戦場に押しとどめた、実はパンダワの味方だろう」と怒り狂って責め立て、その責任からドゥルノも戦場に出て戦死した。

落胆し悲憤するドゥルユドノに、ビスモ、ドゥルノと同じく、サルヨも、これを機に停戦と和平の説得をしたが、スンクニが高飛車に跳ね付けたため、サルヨの娘で自分の妻バヌワティに頭の上がらぬドゥルユドノは動揺し、次弟ドゥルソソノに、いきなり王妃バヌワティ警護のための帰国を命じた。

これが原因で、戦場に猪突するに到ったドゥルソソノはビモに討たれた。ドゥルユドノの悲嘆は激しく、自分が戦闘指揮者に立つといきり立つのを、カルノが辛うじて慰め、アルジュノと雌雄を決する不断の誓いを口にした。

戦闘指揮者となったカルノは、戦車の操者に舅サルヨを指名。サルヨは激怒するが、ドゥルユドノの懇願に折れて引き受けた。

カルノとアルジュノの戦いには、ドゥルユドノもスンクニや他のコラワ兄弟とともに「エビカニの陣形」で対峙。

カルノが死すると、その責任がサルヨにあるとアスウォトモが怒り、サルヨとの間に諍いが起こるが、ドゥルユドノはサルヨを宥めて戦闘指揮を頼んだ。

こうしてドゥルユドノを中央に据えた陣形で攻めたサルヨも、ユディスティロに敗れて死した。

さらにスンクニがビモに殺されると、残るはドゥルユドノだけとなり、ドゥルユドノは武具を脱ぎ、褌姿で池の底に瞑想。クレスノだけが彼を見付け、池のほとりから「戦争は終わった。出て来て我々とともに生きていい」と声を掛けたが、ドゥルユドノは返事もせず、それまで修行所にいたボロデウォが来て声を掛けるまで動かなかった。
ボロデウォは、その弟クレスノとしばしば対立していたし、ドゥルユドノとは妻同士が姉妹(エロワティとバヌワティ)だったからだ。
王であった彼は一人で衣服も着られず、クレスノの手を借りて着ながらも「多くの兵を死なせ、財宝もその恩賞に武器に費えたと言うのに、一人生き残れようか。自分がいる限り戦は終わらない!」と挑戦し、対戦相手にビモを選んだ。ドゥルユドノもビモも棍棒の使い手で、どちらもボロデウォの弟子だった。
誰にも負けた事のないビモが、最期をかけたドゥルユドノの気迫か、ドゥルユドノに圧倒され追い詰められると、クレスノはアルジュノに「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言い、アルジュノは、ビモに自分の太腿を叩いて見せた。
ジョクジャではここで、クレスノはペトルに「こめかみ」と「太腿」そ示唆させるべく叫ばせ、ビモは最初の一言だけ聞いてコメカミを撃って倒す(ルール違反はしない)が、ルール違反をする話(こっちが原産)では、アルジュノの動作を見たビモは、ドルパディがドゥルソソノに辱めを受けた時、ドゥルユドノが太腿を手で打って喜んだ事を思い出し、跳躍してビモに襲い掛かったドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打つ。

驚いたボロデウォは、二人の弟子の間に入って停止させようとしたが、クレスノに退けられ、ビモは倒れて呻くドゥルユドノの周囲を踊りまわり、その頭を足で蹴ったので、ユディスティロが怒り、「望むならビモを死罪にする」と話し掛けたが、ドゥルユドノは力尽きて答えず、彼らが立ち去ろうとした最期だけ、クレスノに「卑怯な戦法をビモに命じたお前こそ悪の根源だ」と呪いを口にしかけ、言葉半ばで絶命してしまった。

ドゥルソソノ11話12話23話29話33話45話46話47話
コラワ百王子の次男。父はダストロストロ、母はグンダリ。他兄弟99人。
傲岸不遜な兄ドゥルユドノの次にあって、自分はパンダワのビモに匹敵すると勝手に思い、大威張りだが、実際には体の大きさしか似ておらず、滑稽な男だった。
ドゥルソソノは子供に輪ゴムをあげて愛想を振り撒く無邪気な男だったが、運動不足の肥満で、巨体ゆえにパンダワのビモにライバル心を持っていた。

兄ドゥルユドノと常に結託してパンダワを陥れようと、ビモを騙して誘い、毒を盛り、体を縛って川に投げ入れたり、様々な悪事を画策する。

サイコロ賭博事件では、ユディスティロの妻ドルパディがコラワに囚われの身となった。
ドゥルソソノは粗暴な態度を顕し、ドルパディの髷を解き、引きずり回して衣服を脱がせようとしたので、ドルパディは、「屈辱を晴らすため、ドゥルソソノにほどかれた髪を彼の血によって注ぐ日まで結わない」と誓いを立て、これに追加して、ビモがドルパディの受けた衣装を引き裂かれた屈辱を晴らすため、「戦争によって、ドゥルソソノの腹を引き裂く」と誓った。

開戦前、巨大な化け物に変身して眠るクレスノを揺り起こそうとしたドゥルソソノは、自分の全身を叩き、後の戦における自身の運命を知る結果となる。

ジョクジャでは、パンダワ側が開戦にあたって、自ら名乗り出た人身御供の遺体を神に捧げ、その魂が神に受け取られた証拠として屍が消えるが、一方コラワも神に捧げる人身御供を探して、ドゥルソソノがスラユ川で渡し守をする若者、タルコとサルコを拉致するが、二人は逃亡をはかってドゥルソソノに殺される。
二人の遺体は、本人の同意なく無理やり殺された人身御供として神に受け取られず、屍が消える事なく放置された。

大戦も半ばを過ぎた頃、兄ドゥルユドノはコラワの一人カルトマルモにドゥルソソノを呼びに行かせた。
今度こそ自分が戦闘指揮者に命じられると喜び勇んで伺候すると、いきなり王妃バヌワティ警護のための帰国を命じられ、ガッカリする。
これは、停戦協定を持ち出したサルヨをスンクニが高飛車に跳ね付けたため、妻バヌワティに頭の上がらぬドゥルユドノは、バヌワティの実父サルヨを怒らせたのでは、と動揺したためだった。

不満げにアスティノ国に帰り、バヌワティに伺候したドゥルソソノは、戦況を聞くたびにコラワ側の訃報に喜び、パンダワ側の訃報に涙するバヌワティに、「コラワの王妃だから尊敬され、贅沢に暮らしていられるのに」と不平を募らせた。
バヌワティも負けず「皆が戦場で苦しい思いをしている時に、なぜ一人逃げて来た」と問い詰め、バヌワティ警護がドゥルユドノの命令だと知ると、さらに畳み掛けて、そんな命令しか貰えない男だと軽蔑した。
「番をされる方にも問題がある」と口を滑らせたが最後、ドゥルソソノはさんざん言葉の真相を問い詰められ、「アルジュノと通じているからだ」と答えてしまう。
バヌワティは逆上し「売春婦の汚名を負わされた」「パンダワが勝つに決まってる」と喚きたて、屈辱を味合わされたドゥルソソノは、スンクニ、カルトマルモらに止められるのも聞かず、バヌワティ警護を放棄し戦場に戻る。
パンダワ側では、スティアキがドゥルソソノ襲来を告げ、ビモが迎え撃った。

その一方ガトゥコチョがカルノの武器に倒れ、ビモは猛り狂ってカルノを追い、ドゥルソソノとまた出あって、二人とも棍棒の使い手だったで、激烈な戦いを繰り広げた。
圧倒されたドゥルソソノは逃げ、スラユ川を行きつ戻りつしてビモを翻弄し、隙を見て反転するつもりだったが、スラユ川の川底では、無理やり人身御供にされたタルコとサルコの怨霊がドゥルソソノの脚を捕らえ、川底に引きずり込んだ。怨霊との格闘で力をそがれたドゥルソソノはビモに捕まり、川から引っ張り上げられ地に顔を押し付けられた。
クレスノの助言もあって、ビモはかつて誓った通り、ドゥルソソノの両腕をもぎ取り、首を爪で刎ね、両足を切り離し、更にはらわたをえぐり、ドルパディもかつての誓いの通り、ズタズタの胴体から流れた血で髪を洗い、サイコロ賭博以来はじめて髪を結い上げた。長くパンダワの執念とした一つの復讐が遂げられた。
すぐ下の弟ドゥルソソノを失ったドゥルユドノの悲嘆は激しく、自分が戦闘指揮者に立つといきり立つのを、カルノに止められる程だった。

スンジョヨ13話48話
ヨモウィドロ(ダストロストロやパンドゥの弟)の息子。パンダワ兄弟やコラワ兄弟とは従兄弟。
パンダワ焼討ち事件の時、父ヨモウィドロにパンダワ救出を命じられ、炎の中で大地に重代の武器を突き立て地界に場所を知らせた。すると現れた白イタチ(オントボコの息子の変身した姿)が、パンダワを安全な地界へと導いた。

スンジョヨは、大戦においてはコラワ側にいたが、中盤を越えた頃、アルジュノ第一夫人スムボドロと第二夫人スリカンディの身を寄せる後方陣営に来て、「パンダワに付きたい」と志願した。
これを女戦士でもあるスリカンディは怪しみ、兵士の忠義を持ち出してスンジョヨを追い払おうとしたが、スンジョヨはパンダワへの忠誠を試すテストをして欲しいと頼み込み、スリカンディが「カルノの首を取って来い」と答えると、大喜びで飛び出して行く。
スンジョヨにカルノが倒せるはずがないと思ったスムボドロは、パンダワが焼き討ちされた時、スンジョヨが助けてくれた話をしてスリカンディを諭すと、スリカンディは後悔し、スンジョヨを止めようと、父ドルポドの宰相デストクトゥに後を追わせた。
が、デストクトゥはスンジョヨとは別の道に行って敵と遭遇して果て、一方スンジョヨはカルノに会え、撃ちかかってカルノに一撃で殺される。
スリカンディが、このスンジョヨの仇討ちに打って出た流れから、カルノとアルジュノの対決の時が訪れた。

蛇神オントボゴ13話19話21話
七層の地界に住まう蛇神。娘にノコギニ(ビモ第一夫人)、プルティウィ(クレスノ第四夫人)などがいる。
コラワに焼討ちされたパンダワ達が、オントボゴの息子に助けられて地界の国に来た時に登場するだけだが、その超能力の血筋を通して、全編に異様な存在感を放つ。

プルティウィはクレスノに嫁ぐが、その子ボモノロカスロに受け継がれた蛇神の超能力は強力で、クレスノは我が子ボモノロカスロを殺すに到った。
また同じくノコギニはビモに嫁ぐが、その子オントセノはクレスノの妹スムボドロを蘇生させ、これも脅威としてクレスノに遠ざけられる。
オントボコの血筋は、クレスノの想定外の威力をもった存在として描かれる。

ノゴギニ13話
蛇神オントボゴの娘。
ノゴギニは落ちて来た流星がビモに姿を変えた夢を見て恋に落ち、パンダワ兄弟焼討ち事件の時、ビモを助けるため、自分の弟を地上に遣わした。弟は白イタチに変身してパンダワ達を導いて地底をくぐった。
地底でノゴギニはビモと結ばれ、息子オントセノを儲けた。焼討ち事件をきっかけに、パンダワ達は、長く森の中を放浪する生活を余儀なくされたため、ノゴギニとオントセノはひとまず地界に残った。

オントセノ13話21話29話30話
ビモとノゴギニの間に生まれた息子。
パンダワ焼討ち事件をきっかけに結ばれた父母だったが、ビモは森を放浪していたため、母ノゴギニとともに地界に残って成長した。

スムボドロが死んだ時、その遺体をスムボドロの兄クレスノが美しい棺に入れて川を流した所、そこに通りかかったのが、地界からはるばる旅をして来たオントセノであった。
オントセノが祖父オントボゴより貰ってきた一滴の水を棺の中に落とすとスムボドロは蘇るのだが、こうしたオントセノの超能力を、クレスノはやがて脅威に感じるようになった。

大戦を前に、対戦表「ジタブソロの書」に、「ボロデウォ×オントセノ=」と書かれた時、クレスノはその結果が書き込まれる邪魔をした。

これには、オントセノの強大な超能力が相手では兄ボロデウォに勝ち目が無いから、とも言われ、またクレスノは、「ジタブソロの書」と引き換えに蘇生術を放棄したので、オントセノが参戦する事に危機を覚え、オントセノが蛇神の孫ゆえに、その足跡を舐めた者が毒で即死する事を利用して、オントセノを騙し、自分で自分の足跡を舐めさせ先んじて昇天させる。

イジュロポ13話33話
アスティノ国とウィロト国の国境付近の村の農夫。
その住居は、コラワに焼討ちされたパンダワ達が放浪する森にも近く、困窮して訪ねて来たパンダワ達に人食いラクササ王ボコの暴挙を話すと、ビモがラクササを退治したので、恩に感じたイジュロポは「やがて戦になったら、神に捧げる人身御供になる」と、息子とともにパンダワに約束した。

約束通り、開戦の前「勝利をもたらす祈りに捧げて欲しい」と申し出、やはりかつてアルジュノに恩を受けたサゴドロとともに祭壇にのぼり、アルジュノに「悔いは無いか」と聞かれ、「喜んで死ぬ」と答え、放たれた矢によって昇天。自ら望んで死に供した魂として神に受け取られ、その証拠として屍が消える。

ボコ13話33話
アスティノ国とウィロト国の国境付近の森に住むラクササ。
パンドゥ亡き後のアスティノ国の政情不安につけこみ、イジュロポの村に暴挙を仕掛け、人身御供を要求する人食いのラクササ王。イジュロポからこの事を聞いたビモに退治される。

サゴドロ13話33話
コラワに焼討ちされたパンダワは飢え、三男アルジュノは母クンティの命令で、食糧探しに出掛ける。アルジュノが井戸を汲む女を見つけ、その尻をなでると、女は仰天して家に帰り、夫に抱きつく。
この夫がサゴドロで、それまで妻が体を触らせてもくれなかったと、むしろアルジュノに感謝し、「やがて戦になったら、神に捧げる人身御供になる」とパンダワに約束した。

約束通り、開戦の前「勝利をもたらす祈りに捧げて欲しい」と申し出、やはりかつてアルジュノに恩を受けたイジュロポ親子とともに祭壇にのぼり、アルジュノに「悔いは無いか」と聞かれ、「喜んで死ぬ」と答え、放たれた矢によって昇天。自ら望んで死に供した魂として神に受け取られ、その証拠として屍が消える。

マツウォパティ14話26話27話28話31話33話36話37話38話44話45話
ウィロト国王。パンダワ曾祖母サティヨワティの兄。妻にレコトワティ(パンダワ曾祖父ポロソロの娘)。子供に長男セト、次男ウトロ、三男ウラトソンコ、娘にウタリ。

ウィロト国の盗賊達を捕えた所、裏で操っているのが王妃レコトワティの兄ロジョモロとその双子の弟達である事がわかった。彼らはマツウォパティ王の家来だったが、王国乗っ取りと、マツウォパティ王セト王子親子の暗殺を企てていた。
闘技大会でロジョモロを刺し殺したビモと、双子の弟たちを倒したアルジュノの功績を称えて、パンダワにマルトの森(のちにアマルト国)を与えるなど、コラワに焼討ちされ森を放浪していたパンダワ達の庇護者となる。

パンダワ兄弟は、サイコロ賭博事件により13年目の刑に服した時もウィロト国に潜入し、トリガルト国とコラワのアスティノ軍が南北からウィロト国を挟撃すると、トリガルト軍に捕えられたマツウォパティ王をビモが奪還した。
その後、マツウォパティ王は南のトリガルト軍を、次男ウトロは北のアスティノ軍をそれぞれ迎え撃った(長男セト王子が北のアスティノ軍を、南をウトロが当たるという話もある)。

ウィロト国の災難を何度も助けられたマツウォパティ王は、大のパンダワ贔屓となり、13年目の刑期中の彼らを庇護したのみならず、パンダワの中でも最も好ましいアルジュノを婿に選び、娘のウタリを薦めた。
が、結局ウタリは、成長したアルジュノ嫡男アビマニュの第二夫人の座におさまり、以後マツウォパティ王はパンダワの強い後ろ盾となり、同時にウィロト国も、後の大戦でパンダワ本陣として登場するようになる。

既にアビマニュに妻シティスンダリがいた事を知って驚く娘ウタリに、マツウォパティが諭し、シティスンダリの父クレスノも、「アビマニュとウタリの生む子が、やがて王位を継ぐという天の啓示を受けた」と教え諭して、それぞれ二人の娘に了解させた。

13年の刑が終わって、クンティなどが国土返還に出向いても埒があかないので、マツウォパティ王はクレスノを呼び、パンダワ5人兄弟の前で再び使者に立ってくれるよう依頼した。

しかし、交渉決裂の結果がマツウォパティ王やパンダワの身を寄せるウィロト国に伝えられ、開戦と決する。

開戦と同時に、マツウォパティ王次男ウトロはサルヨに、三男ウラトソンコはドゥルノに殺され、マツウォパティ王は悲痛な思いを隠して、クレスノに戦闘指揮者に任じるが、クレスノは懐に隠した「ジタブソロの書」に沿って、非情にもマツウォパティ王長男セトを推薦した。

このセト王子も戦死し、パンダワ側はマツウォパティ王の三王子の死に嘆いたが、これに苛立ったクレスノは、マツウォパティ王に、セトに代わる総指揮者にスリカンディを推薦した。

スリカンディの次はアルジュノ、ビモと総指揮者が入れ替わるたびに、マツウォパティ王は軍の中枢として機能し続けた。

しかし大戦も中盤を迎えた頃、敵の軍師ドゥルノは秘法をもって透明人間となり、巧みな戦術をもって、その戦車のみ疾駆する中から秘矢が放たれた。
こうしてマツウォパティ王は、ドルポド王とともに瞬時に相次いで死亡した。

そのドゥルノも死んでコラワの戦況は悲惨だったが、一方のパンダワ側も、アビマニュ、ドルポド、マツウォパティとその三王子などを失い、またビスモやドゥルノなど恩師の死を嘆き、ユディスティロが領土返還を拒否して停戦を提案した。が、報復を誓ったビモが反対し、戦争の続行は決した。
この時点で、まだマツウォパティが生きていて、ともに嘆いている話もある。

セト14話26話35話36話37話
マツウォパティ王の長男。弟にウトロとウラトソンコ、姉妹にウタリ。
マツウォパティ王の家臣で叔父であるロジョモロ達が企んだ暗殺計画の標的にされるが、ビモとアルジュノの活躍によって危機を救われる。

ウィロト国はコラワ率いるアスティノ軍に北から、トリガルト軍に南から挟み撃ちされ、セトはこの時、北のアスティノ軍を迎え撃った。
弟ウトロの腰抜けぶりに比べ、セトは超能力をもつ剛将として知られ、すこぶる勇猛果敢だった。

開戦と同時に、マツウォパティ王次男ウトロはサルヨに、三男ウラトソンコはドゥルノに殺され、クレスノが「ジタブソロの書」に沿ってセトを戦闘指揮者に推薦し、アルジュノが山中にいるセトを迎えに行くと、セトは眠りの苦行中で起きず、アルジュノ従者スマルが、足の指の間の毛を抜いて、二人の弟の戦死を告げた。
起きようとしたセトの髪は、苦行中ゆえボウボウに伸びて岩に絡みつき、スマルの息子ペトルが斧で切ると、髪に挿していた櫛が落ちた。
セトは弟の死に逆上して戦場に直行。サルヨ次男ルクモロトが従者に矢を放たせたが、矢が命中してもセトには全く効かず、ルクモロト自身が弓をひいたが近視で目標が定まらず、セトはそれを気の毒に思いつつ、兵の損傷を恐れてルクモロトを矢で射抜いた。
セトのこの猛攻にはサルヨもドゥルノも歯が立たず、こうしてビスモが呼ばれた。

ビスモは嵐のようなセトの猛撃に立ちはだかったが、互いに矢を射掛けあい組み打ちとなると、追い詰められて海に飛び込んだ。
海底でガンガ女神からセトの落とした櫛を受け取ったビスモは、この櫛を飛ばし、セトの胸に命中。ついにセトは戦死した。パンダワ軍総指揮者の初の戦死だった。
「ジタブソロの書」に記されていた事から、セトにも何らかの「因縁」があったのかもしれない。

ウトロ14話26話35話36話
マツウォパティ王の次男。兄にセト、弟にウラトソンコ、姉妹にウタリ。
パンダワ兄弟が13年目の刑に服してウィロト国に入っていた頃、ウィロト国は北からコラワ率いる軍に、南からトリガルト軍に挟み撃ちされる事態になり、この時マツウォパティ王が南のトリガルト軍を、ウトロは北のアスティノ軍を迎え撃つ事になる。
また、北を第一王子セト、南を第二王子ウトロが担当したという話もある。兄セトに比べて弟ウトロはとんだ腰抜けで、支援についたアルジュノに「あれはカルノの弓矢の幟(のぼり)、ドゥルノの蛇の幟、ドゥルユドノの象の幟」と説明されただけで、叫び声をあげて退散しかかり、アルジュノに叱られて、ようやくアルジュノの後方で見守るだけだった。
アルジュノは見事アスティノ軍を蹴散らし、その途端ウトロは自分の功績だと父マツウォパティ王に報告する。

開戦と同時に、パンダワ軍とコラワ軍は、ともに側面からの攻撃に弱い陣形を取り、ウトロはサルヨに、その弟ウラトソンコはドゥルノに、ほぼ同時に殺される。

ウラトソンコ14話36話
マツウォパティ王の三男。兄にセトとウトロ、姉妹にウタリ。
開戦と同時に、パンダワ軍は「鋭い雷光の陣形」、コラワ軍は「大海の高波の陣形」という双方とも側面からの攻撃に弱い陣形を取り、兄の次男ウトロはサルヨに、このウラトソンコはドゥルノに、ほぼ同時に殺される。

ウタリ14話27話28話40話54話60話
マツウォパティ王の長女。兄弟にセト、ウトロ、ウラトソンコ。

父マツウォパティにより、ウタリは最初アルジュノに嫁ぐ所だったが、アルジュノ嫡男アビマニュが成長したので、これの第二夫人となる。
ウタリはアビマニの祖母にあたる年齢(七十歳は超えていた)が、神意による長寿と若さにより、見た目も健康も17歳の生娘同様だったという。
アビマニュはウタリに自分は独身だと嘘をつき、「嘘だったら、自分は後の日の戦争において、ザルの網目の風穴を体の傷に負うだろう」などと言っていた。

しかしこの虚言劇の巻き添えで、叔父コロブンドノを殺害するに到ったガトゥコチョは、アビマニュ第一夫人シティスンダリをウィロト国に連れていき、シティスンダリとウタリは、互いの存在に驚いた。
ウタリの父マツウォパティとシティスンダリの父クレスノは、二人の娘に、アビマニュとウタリの生む子が、やがて王位を継ぐという天の啓示を受けた、と初めて教えたため、二人の妻はようやく納得し、以後揉め事なくともに暮らした。

大戦が勃発すると、ウタリの3人の兄弟(セト、ウトロ、ウラトソンコ)は初戦で次々と戦死(その後に父マツウォパティ王も戦死する)。
アルジュノが敵の策略で戦場を離れ、パンダワ軍が大混乱した時、アビマニュは出陣して敵中に孤立。無数の矢を射掛けられ絶命した。死亡しても仁王立ちするアビマニュに、なおも次々と矢が刺さり、かつてウタリに誓った如く、「ざるの網目のような風穴」を入れられた。
アビマニュの死体はパンダワ陣営に運ばれ、駆けつけたウタリは嘆きの余りアビマニュの後を追おうとしたが、シティスンダリがウタリの腹に宿すアビマニュの子ゆえにこれを止めた。
シティスンダリは代わってアビマニュとの殉死を申し出、アビマニュの死体を焼く祭壇に身を投じた。
ウタリは死後のシティスンダリが夫アビマニュとともに暮らせるよう祈るしかなかった。

大戦が終結すると、パンダワ達は晴れてアスティノ王宮に凱旋。その直後、ウタリがアビマニュの子を産んだ。アビマニュが既に亡いので、祖父アルジュノがパリクシトと命名。その名は「戦争の終結」を意味し、パリクシトは生まれながら系譜の九代目を継承したので、ウタリは国母となった。

ウタリが戴冠式を命じ、ようやくパリクシト即位の時を迎えると、三代に渡る親族や高位高官も民衆も歓呼して祝った。

ロジョモロ14話
ポロソロの息子。弟にルポケンチョ、ケンチョコルボ(双子)、アビヨソ、妹にレコトワティ。兄弟はみな腹違いらしい。
妹レコトワティのつてでマツウォパティ王の家臣になるが、それゆえに驕った態度を取り、家臣の立場を利用して盗賊たちを操り、双子の弟ルポケンチョ、ケンチョコルボ達も加担させ、王国を乗っ取ろうと企み、マツウォパティ王とその息子のセト王子を殺そうと、闘技大会の開催をマツウォパティ王に迫った。
神秘の池を持っており、殺されてもこの池の水を浴びると蘇生できたので、大会出場者を集うにあたり「自分を倒す勇気のある者がいなければ、マツウォパティ王自身が出てもいい」とまで豪語する。
しかし蘇生の秘密はパンダワに知られ、闘技大会に出場したビモによって刺し殺される。

レコトワティ14話
ポロソロの娘。兄弟にロジョモロ、ルポケンチョ、ケンチョコルボ、アビヨソ。ウィロト国マツウォパティ王妃。

ルポケンチョ14話
パンダワ曾祖父ポロソロの息子。兄にロジョモロ、双子の弟にケンチョコルボ。アビヨソとも兄弟、妹にレコトワティ。
兄ロジョモロとともに驕って悪事に加担。王国を乗っ取るため闘技大会に出るが、兄ロジョモロはビモに倒され、双子の弟ルポケンチョとともに立ち向かうが、ビモに加勢したアルジュノに倒される。

ケンチョコルボ14話
ポロソロの息子。兄にロジョモロ、双子の兄にルポケンチョ。アビヨソとも兄弟、妹にレコトワティ。
兄ロジョモロとともに悪事に加担していたが、ロジョモロがビモに倒されると、双子の兄ルポケンチョとともにビモに立ち向かうが、加勢に入ったアルジュノに倒される。

アリムボ14話15話
プリンゴダニ国王トルンボコの長男。弟にプロジョドゥント、プロジョムスティ、コロブンドノ、妹にアリムビ。子にウシアジ。
マルトの森を開拓するパンダワ兄弟達の前に立ち塞がったラクササ一族の長で、かつて父トルンボコをパンダワ父パンドゥに殺された事もあって、パンダワ達を敵視している。彼らは闇を見通せる超能力を持ち、一族の声音を真似て敵を惑わせる、なかなか侮れない者達だった。

中でもこのアリムボは強欲で人食い癖があり、常に人の臭いを嗅ぎつけ、妹のアリムビに餌食を探させる。

が、出掛けたアリムビが餌食であるべきビモに逆に恋をして結ばれ、子まで孕んだため、怒り狂いビモと戦って敗れる。
アリムボの子ウシアジは、このため終生、祖父、父、兄の仇としてパンダワへの復讐に日を過ごした。

ブロジョドゥント14話15話47話
プリンゴダニ国王トルンボコ次男。兄にアリムボ、弟にプロジョムスティ、コロブンドノ、姉妹にアリムビ。

アリムボの弟達は反パンダワ側と親パンダワ側に別れるが、プロジョドゥントは兄アリムボとともに反パンダワで、兄アリムボがビモに倒されると、アリムボの子ウシアジとともに、パンダワへの復讐心を持った。

一方、コロブンドノやプロジョムスティといった弟達は、アリムビがビモに嫁いで生んだガトゥコチョを守り立てて親パンダワ側で、大戦が勃発し、中盤を越えた頃、ガトゥコチョが戦死すると、その体内に潜んで遺体を守っていたプロジュムスティが飛び出て昇天したが、このプロジョムスティは、一族の仇パンダワの血を引くガトゥコチョをプリンゴダニ王位につける事に反抗したブロジョドゥントが、プリンゴダニに反乱軍を向かわせたので、ブロジョドゥントと一騎討ちをして相果てた、という話もあるようだ。

プロジョムスティ14話15話47話
プリンゴダニ国王トルンボコ三男。兄にアリムボ、次兄にプロジョドゥント、弟にコロブンドノ、姉妹にアリムビ。

彼らはラクササながら、夜でも闇を見通せる超能力を持ち、一族の声音を真似て敵を惑わせるという、なかなか侮れない者達だったが、アリムボの弟の中では、プロジョムスティは弟コロブンドノとともに、ビモと結ばれたアリムビを通して、親パンダワ側になった。

甥ガトゥコチョが生まれた時、その傍にいたプロジョムスティは、ガトゥコチョの臍の緒を切ったスンジョト・クントの鞘とともにガトゥコチョの体内に巻き込まれる。
このクントと鞘が合致した時、ガトゥコチョの遺体に近付く者を噛み殺すために、叔父プロジョムスティも臍の奥に潜み続ける事となる。

大戦も中盤の頃、ガトゥコチョはカルノのスンジョト・クントによって死ぬ。息子の死に錯乱したビモは死体に近付くが、クレスノに止められる。死体からは、死んだハズのガトゥコチョの声が怪しくビモを呼ぶ。
声の出所が臍だと突き止めたクレスノは、爪で臍をこじあける事を指示。ビモが言われた通りにすると、ガトゥコチョの臍からは、近寄った者を噛み殺す使命を帯びたプロジョムスティが飛び出した。彼も一族の得意技である親族の声音のマネに長けていた。
使命を果さず姿をあらわしたプロジョムスティは昇天する。
(プロジョムスティついては、一族の仇パンダワの血を引くガトゥコチョをプリンゴダニ王位につける事に反抗したブロジョドゥントが、プリンゴダニに反乱軍を向かわせたので、ブロジョドゥントと一騎討ちをして相果てた、という話もあるようだ)

コロブンドノ14話15話16話27話28話45話46話
プリンゴダニ国王トルンボコの四男。兄にアリムボ、次兄にプロジョドゥント、三兄プロジョムスティ、姉妹にアリムビ。
彼らはラクササながら、夜でも闇を見通せる超能力を持ち、一族の声音を真似て敵を惑わせるという、なかなか侮れない者達だったが、コロブンドノはプロジョムスティとともに、アリムボの弟の中では、パンダワ次男ビモと結ばれたアリムビを通して、親パンダワ側になった。

特に姉妹アリムビがビモとの間に生んだガトゥコチョを可愛がり、始終ガトゥコチョの傍を離れなかった。

パンダワ三男アルジュノの嫡子アビマニュは、第一夫人のシティスンダリには内緒で、ウタリを第二夫人に迎えたが、二人の妻には他に妻がいる事を内緒にしていた。
プリンゴダニ国に預けられていたシティスンダリが、アビマニュの行方を聞くと、嘘のつけないコロブンドノはウィロト国だと答え、アビマニュを迎えに行って欲しいと頼むと、ウィロト国に旅立ち、新婚のアビマニュ夫婦の前に現れた。
アビマニュは度肝を抜かされ、平手打ちを喰らわせ追い返すと、コロブンドノはプリンゴダニ国に帰り、ありのままをシティスンダリに話そうとして、慌てたガトゥコチョに引きずり出され、平手打ちを食らわせれたあげく、首を捻じ切られた。
殺してから慌てたガトゥコチョは、霊魂となったコロブンドノに自分を殺して欲しいと頼むが、コロブンドノの魂は「やがて戦になった時、カルノの武器に乗り移って追跡する」と約束し、"時間待ちの天界"へと旅立った。
カルノの武器スンジョト・クントは、その鞘がガトゥコチョの体内にある。

やがて大戦が勃発し、その中盤を越えた頃、戦闘指揮者にガトゥコチョが志願。彼は夜目が利き、夜空を人に気付かれず飛翔する超能力を持っていた上、母アリムビにラクササ軍団を託されていた。
次々に有能な戦闘指揮者を失ったコラワも、ついにカルノを戦闘指揮者に任命。ガトゥコチョのラクササ軍団に対してカルノは、瞑想して体内から巨大なラクササ達を出現させた。
そのとき天界のグルは浮遊するコロブンドノの霊に気付き、出番を指図した。
コロブンドノは松明を持って夜空でガトゥコチョに会い、「今こそ借りにしておいた命を捨てて貰う」と迫り、ガトゥコチョは「かわりにカルノ軍のラクササをやっつけて欲しい」と頼んだので、コロブンドノはラクササの群れに突進したが、どれも恐ろしい形相のラクササ達、咄嗟に敵味方の区別もつかず、当たり構わず蹴散らした。夜の闇で起こるこの様子は、ラクササが現われては消えるだけに人々の目に映った。

カルノはスンジョト・クント(剣)をガトゥコチョに向けて放ち、ガトゥコチョはこれをかわして逃げたが、クントはしつこく追って来た。そのガトゥコチョにコロブンドノは「自分も約束を守ったのだから、お前も守れ」と後を追ったが、姿が見えない。クントもついに力尽き、落下を開始しかけたが、コロブンドノはこれを手に握ると、妹アリムビの声音をまねてガトゥコチョを呼び回った。
母アリムビが危険な戦場に来たと勘違いしたガトゥコチョは、声を発して答え、コロブンドノに握られたクントは、ガトゥコチョの臍に突き刺さり、彼の体内にあるクントの鞘へ収まった。
コロブンドノは喜んでガトゥコチョの魂を連れ去ろうとしたが、ガトゥコチョが最後に「カルノの戦車を粉砕して欲しい」と頼んだので、コロブンドノはガトゥコチョの死体を空から落とした。カルノは危機一髪で身をかわしたが、その馬車と軍隊は木っ端微塵に撃破した。

アリムビ14話15話26話45話46話47話
プリンゴダニ国王トルンボコの娘。兄弟にアリムボ、プロジョドゥント、プロジョムスティ、コロブンドノ。
人食いラクササの兄アリムボに餌食を探せと命じられ、出掛けた先でビモに出会い、一目で恋に落ちる。
アリムビはビモに「自分を嫁にしてほしい」と願ったが、無残なラクササ女なので、ビモは怒り狂ってアリムビを殺そうと騒ぐが、聞きつけ駆け付けたビモの母クンティが「美しい娘よ」と呼びかけると、アリムビは途端に美女に姿を変えた。

ビモと結ばれたアリムビは、ビモの兄弟や親パンダワ派となった兄弟、クレスノ、ボロデウォなどに見守られて、息子ガトゥコチョを生む。

ガトゥコチョがアルジュノの娘プルギウォに一目ぼれした時、プルギウォを妻に迎えるべく、プリンゴダニの母アリムビに打ち明けに来る。

大戦が勃発し半ばを超えた頃、戦闘指揮者に志願したガトゥコチョは、役目を拝命すると母アリムビに別れを言いに行き、アリムビは息子のためにラクササ軍団を託した。

対するコラワ軍のカルノはガトゥコチョに向けてスンジョト・クント(剣)を放ち、ガトゥコチョはかわして逃げ、クントはしつこく追って来るうちに、ついに力尽き、落下を開始しかけた。この時、ガトゥコチョに死の約束を取り付けていたコロブンドノは、空中でクントを手に握り、妹アリムビの声音をまねてガトゥコチョを呼び回った。
母アリムビが危険な戦場に来たと勘違いしたガトゥコチョは、声を発して答え、コロブンドノに握られたクントは、ガトゥコチョの臍に突き刺さり、彼の体内にあるクントの鞘へ収まった。

ガトゥコチョの死に、母アリムビは息子の火葬に身を投じて後を追った。

ウシアジ15話60話
アリムボの息子。
祖父トルンボコはパンドゥに、父アリムボはビモにと、二代に渡って殺されたウシアジは、パンダワ一族を祖父や父の仇としてつけ狙った。

その登場は、最後の因縁劇の時で、ウシアジには姉としてスリタンジュンという女戦士がついていた。
ウシアジはスリタンジュンとともにアスティノ国に押し入り、アスティノ国を崩壊に向かわせた。
これにボロデウォが立ち塞がったが、スリタンジュンと、サデウォの子シドプクソの間で戦いあうのを、ナロド神が、二人は従姉弟同士(実はスリタンジュンはナクロの娘)と諭したので、二人は和解し、スリタンジュンはアスティノ国に入った。
スリタンジュンを失ったウシアジは、諦めずにまたアスティノ国に攻めて来た。ボロデウォがまたこれに立ち塞がり、そしてついにウシアジはボロデウォに倒された。

ガトゥコチョ15話16話26話27話28話34話35話45話46話47話
父はビモ、母はアリムビで、母方プリンゴダニ国王トルンボコ(ラクササ)の孫で、母方の叔父にコロブンドノなど。
母方のラクササ王家の血筋で夜の闇を見通せ、父ビモ(ビモの父は風神バユ)の血筋で大空を飛翔する能力を持つ。
生まれた時に臍の緒が切れず、親類縁者が集まり、叔父アルジュノも駆けつける途中、代行神ナロドからスンジョト・クントという武器を受け取った。
ところがクントはカルノの手に渡り、アルジュノが持って帰ったクントの鞘で、ガトゥコチョの臍の緒は断ち切られたが、切れた途端、臍の緒が鞘と傍にいた叔父プロジョムスティをも、ガトゥコチョの体内に巻き込んでしまう。

ガトゥコチョは当初クントをもたらされた命題の天界ラクササ退治を請け負い、ラクササ軍を投げ飛ばしたが、ラクササの息で吹き返されると、神々がガトゥコチョを天界の火山に投入れ、鉄の筋肉と骨の持ち主に補強。グル神も三種の武器=空飛ぶサンダルと翼、冠を与えて応援したので、ガトゥコチョは、ラクササ王コロプルチョノを倒し、生まれながらに英雄誕生譚をもって多くの人に愛された。インドネシアでは人気の英雄。

従兄弟(アルジュノ嫡男)のアビマニュがアルジュノの二人の娘を山から連れ帰ろうとした時、カルノの軍に攻撃され、アビマニュを始終守備していたガトゥコチョは、この危難から娘を救い、姉プルギウォに一目ぼれ。母アリムビに打ち明けてプルギウォを妻に迎え、男子サシキロノを得た。

アビマニュが第二夫人を娶る時も、ガトゥコチョがおさめるプリンゴダニ国には、アビマニュ第一夫人シティスンダリが預けられていた。
ガトゥコチョの伯父コロブンドノは、シティスンダリにアビマニュがウィロト国にいる事を教え、シティスンダリの使いでウィロト国に行ったが、戻って来ると、アビマニュとウタリが結婚し、シティスンダリの存在をウタリに隠そうとしたアビマニュに追い返された。この事を話そうとしたので、秘密を守るべく、ガトゥコチョは叔父(母アリムビの兄弟)コロブンドノの首を捻じ切った。
殺してから慌てたガトゥコチョは、霊魂となったコロブンドノに自分を殺して欲しいと頼むが、コロブンドノの魂は「やがて戦になった時、カルノの武器(スンジョト・クント)に乗り移って追跡する」と、"時間待ちの天界"に旅立った。
こうして後の大戦において、クントと合致すべき鞘を体内に保持したガトゥコチョは、剣が鞘に収まる事、つまりクントの持ち主(カルノ)との対決を運命付けられる。

大戦間際、ウィロト国に向かう途中の従兄弟(アルジュノの子)イラワンが、アルジュノを仇と付け狙うコロスレンギと相打ちに果てた様子を、上空から見たガトゥコチョは、急ぎウィロト国の王宮に知らせた。

ガトゥコチョはクレスノにイラワンの蘇生を要請したが、クレスノのウィジョヨクスモの花は既にグル神に渡されていたため、イラワンの蘇生はならなかった。

大戦が半ばを超えた頃、既にパンダワ嫡子アビマニュは戦死しており、嫡子を失った叔父アルジュノに同情し、夜間の戦闘が必至でもあったので、戦闘指揮者にガトゥコチョが志願した。彼は夜目が利き、夜空を人に気付かれず飛翔する超能力を持っていた。
役目を拝命すると、ガトゥコチョは母アリムビに別れを言いに行き、アリムビは息子のためにラクササ軍団を託した。
一方、ビスモ、ボゴデント、ガルドパティ、ブリスロウォ、ドゥルノと次々に戦闘指揮者を失ったコラワは、ついにカルノを戦闘指揮者に任命。ガトゥコチョのラクササ軍団に対しカルノは、瞑想して体内から巨大なラクササ達を出現させた。
そのとき天界のグルの命を受けたコロブンドノの霊が、夜空に松明を持って夜空でガトゥコチョに会い、「今こそ借りにしておいた命を捨てて貰う」と迫った。
ガトゥコチョは承諾し、「かわりにカルノ軍のラクササをやっつけて欲しい」と頼んだので、コロブンドノは早速ラクササの群れに突進して、敵味方の区別もなく蹴散らして約束を果たした。

カルノは夜目が利くガトゥコチョを倒すには、スンジョト・クント(剣)しかないと思い、ガトゥコチョに向けて放った。
ガトゥコチョはこれに気付いてかわし、逃げたが、クントはしつこく追って来た。
コロブンドノは「自分も約束を守ったのだから、お前も守れ」とガトゥコチョを追ったが、姿が見えないので、力尽きて落下しかけたクントを手に握ると、妹アリムビの声音をまねてガトゥコチョを呼び回った。
母アリムビが危険な戦場に来たと勘違いしたガトゥコチョは、声を発して答え、コロブンドノに握られたクントは、ガトゥコチョの臍に突き刺さり、彼の体内にあるクントの鞘へ収まった。
コロブンドノは喜んでガトゥコチョの魂を連れ去ろうとしたが、ガトゥコチョが最後に「カルノの戦車を粉砕して欲しい」と頼んだので、コロブンドノはガトゥコチョの死体を空から落とし、カルノの馬車と軍隊は木っ端微塵に撃破した。

息子ガトゥコチョの死に錯乱したビモは死体に近付くが、クレスノに止められる。死体からは、死んだハズのガトゥコチョの声が怪しくビモを呼ぶ。
声の出所が臍だと突き止めたクレスノは、爪で臍をこじあける事を指示。ビモが言われた通りにすると、ガトゥコチョの臍からは、近寄った者を噛み殺す使命を帯びたプロジョムスティが飛び出し、使命を果さず昇天する。
(一族の仇パンダワの血を引くガトゥコチョをプリンゴダニ王位につける事に反抗したブロジョドゥントが、プリンゴダニに反乱軍を向かわせたので、ブロジョドゥントと一騎討ちをして相果てた、という話もあるようだ)
ガトゥコチョの死に、母アリムビは息子の火葬に身を投じて後を追い、父ビモは猛り狂ってカルノを追ってドゥルソソノと出あい、これを倒した。

コロプルチョノ15話16話
天界を脅かすラクササ王。天界の妖精スプロボを求めて大暴れする。

しかし生まれたばかりのビモの子ガトゥコチョによって倒される。

妖精スプロボ15話23話24話
天界の妖精。ラクササ王コロプルチョノにストーカーされるが、ガトゥコチョがラクササを退をする。

パンダワがサイコロ賭博によって放浪した頃も、スプロボは魔王に言い寄られ、天界まで脅かされため、再びアルジュノの天界における活躍を導き出す。

アルジュノはスプロボを囮として魔王に近付け、魔王は惚れた弱みでスプロボに自分の急所を明かしてしまったため、アルジュノは見事に魔王を退治する。アルジュノは神々より天界の大勢の妖精たちを妻に与えられ、スプロボもアルジュノの男子を生む。

ドルパディ16話17話20話22話23話25話26話35話47話50話53話56話
57話59話
パンチョロ国王ドルポドの長女。妹にスリカンディ。兄にドルストジュムノ。
プライドが高く、前世において優れた武将と結ばれるよう神に祈りを捧げ、そのために5回も生まれ変わった。
これは農耕女神スリが慕わしい男性と添い遂げるまで何度も女性に入魂して生まれ変わるのと似て、スリが入魂したルクミニはクレスノ夫人であるが、そういう関連があるのか、ドルパディは終始クレスノの救済にあやかる。

ドルパディの婿取りの儀では、パンチョロ国の弓を射たドゥルユドノが、残りの1度をカルノにやらせようとした所、ドルパディは猛然と壇上から降りて「どこの馬の骨とも知れぬ者の妻になる意志はない」とカルノを罵り、ドゥルユドノもろとも去らせた。
アルジュノが弓を命中させて、ドルパディはアルジュノを称え、ともにその場を去ったが、インド神話では、留守をしていたクンティが、アルジュノに「獲物(布施)を得た」と聞いて、人間の女性とは知らず、「兄弟で仲良く分けなさい」と言ったため、ドルパディはパンダワ5人兄弟の共通の妻となるが、インドネシアの特にジャワでは、兄弟共通の妻という慣習が無かったためか、長兄ユディスティロの妻として語られる。

アルジュノがスムボドロと結婚した頃、ドルパディの妹スリカンディがアルジュノにまとわりつくのをドルパディはたしなめるが、スリカンディはやがてアルジュノ第二夫人となり、姉妹でパンダワ陣営に縁付いた事になる。

アマルト建国の時スンクニがパンダワ兄弟をアスティノ王宮に招き寄せた。これにドルパディが、ドゥルユドノ妃バヌワティとの語らいを望んで同行した事で悲劇を深刻にした。
詐欺によるサイコロ賭博で、夫ユディスティロはアマルト国の一切の権利と、パンダワ兄弟妻ドルパディの命まで巻き上げられ、ドルパディはコラワの捕虜となってしまうのだ。

ドルパディはコラワ次男ドゥルソソノに衆目で髷を解かれ、引きずり回されて衣服を脱がされかけた。
その悲痛な思いを遠くから読み取ったクレスノが、ドルパディの衣服の下から次々と衣服を出して救い、駆けつけたビスモがドゥルユドノに掛け合い、ドルパディをパンダワに引き渡しため救われたものの、ドルパディはビモを証人に、ビスモに「ドゥルソソノから受けた屈辱を晴らすため、彼の手でほどかれた髪を彼の血によって注ぐ日まで結わない」と呪詛の誓いを立て、以後ザンバラ髪のまま登場しつづける。
以後パンダワ兄弟と放浪生活をともにし、ドルパディの祖国パンチョロ国に引き取られたパンダワ母クンティの代替わり的存在となって、絵物語や影絵芝居で紅一点を示す。

森のパンダワ達は、ドゥルユドノの作為から千人の修行僧の接待に負われるが、ドルパディがクレスノに頼ると、クレスノはウィスヌ神の威光をもって修行僧たちの空腹を満たしたため、パンダワは修行僧の呪いを受けずに済んだ。

刑が13年目に及ぶと、ドルパディは宮廷の侍女に変装してウィロト国に入った。

大戦が開戦された時、大戦の根拠の一因となっているドルパディは、女戦士である妹スリカンディとともに、女性(非戦闘員)として唯一開戦時の行進に加わっている。

やがて約束通り、激烈な戦いの後にドゥルソソノはビモに川から引っ張り上げられ、地に顔を押し付けられた。
クレスノの口添えもあって、ビモがかつての誓い通り、ドゥルソソノの体をバラバラにし、ドルパディも誓い通り、ズタズタの胴体から流れた血で髪を洗い、サイコロ賭博以来はじめて髪を結い上げ、こうして長くパンダワの執念とした一つの復讐が遂げられた。

大戦が終盤に達し、アルジュノとカルノが一騎討ちをした時、カルノの馬車を操っていたサルヨが戦車を揺さぶったり、戦車の車輪がぬかるみに取られたりで、カルノには不利な事ばかりが起きた。
カルノは戦いの公正を訴えたが、クレスノは、「ドルパディに『ユディティロに捨てられた上は他の男に嫁げ』と言った」とカルノに公正さが無いと言い返し、カルノの首は射切られる。

大戦の最後に、ビモとドゥルユドノの一騎討ちが行われるが、クレスノはアルジュノ(ペトルを使う話もある)に「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言い、アルジュノの合図からビモは、ドルパディがドゥルソソノに衣服をはがされ、髪をつかんで引きづられた時、ドゥルユドノが自分の太腿を手で打って喜んだ事を思い出し、跳躍してビモに襲い掛かったドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打って倒し、復讐は遂げられる。

大戦が終わると、ドルパディは病に伏したアルジュノを、スムボドロとともに看病している。

パンダワは死期を迎えるにあたって旅に出たが、これにドルパディも同行している。

元のインド・マハーバーラタでは、パンダワ達はヒマラヤのメール山(仏教の須弥山)に登り、ユディスティロ以外は山頂に辿り着く前に次々と死亡し、その原因をいちいちユディスティロが解説する。
ドルパディについては、五人の妻だったのにアルジュノばかり偏愛した罪に当たるとされている。

ドルストジュムノ17話35話44話55話
パンチョロ国王ドルポドの長子。妹にドルパディとスリカンディ。
ドルパディの婿取りの儀で一等を獲得し、妹ドルパディをともなって去ったアルジュノの後を追い、パンダワ兄弟の生存を確認する。パンダワと近親となれた事を知ったドルポドとドルストジュムノ親子は大喜びする。

父ドルポドは、秘法によって透明人間となったドゥルノが戦車から放った秘矢に倒れた。
この秘法は、クレスノの策でドゥルノの息子アスウォトモが戦死したという流言により、ドゥルノが声を発して破られ、姿を現したドゥルノはアスウォトモの死の流言に錯乱して戦車の中で失神。
パンダワ達はクレスノの策には従って、流言の手助けをしたものの、師として尊敬するドゥルノを殺す気はなかった。が、一人ドルストジュムノは、ドゥルノを「父の仇」と復讐に燃えて戦車に飛び乗り、このドルストジュムノに、かつてドゥルノに絶命させられたパルグナティの魂が入力され、ドゥルノの首を一気に掻き切った。
ドゥルノの首は、ドルストジュムノに遠くに投げつけられドゥルユドノの足元に落ちた。師ドゥルノへのこの仕打ちにパンダワは烈火のごとく怒り、ドルストジュムノは逃走した。
またドゥルノを討たれたアスウォトモは復讐心に燃え、ドルポド一族への報復の機会を待った。

大戦が終結すると、復讐のためにアスティノ王宮に押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男を殺し、闇夜に惑う将兵達を次々と倒し、父の仇ドルストジュムノも殺した。
アスウォトモとドルストジュムノの報復合戦は、その父同志(ドゥルノとドルポド)以来引き継いだ復讐の連鎖を物語る。

スリカンディ20話34話35話37話44話48話56話56話
パンチョロ国王ドルポドの次女。兄にドルストジュムノ。姉にドルパディ。パンダワ三男アルジュノ第二夫人。
大変な美貌の持ち主である一方で、女戦士としても活躍する。
姉ドルパディの嫁ぎ先パンダワの結婚式で、新郎のアルジュノに一目惚れし、弓を教わるためと称してアルジュノの元に転がり込んで、妻帯したばかりのアルジュノに近寄りすぎると姉ドルパディにたしなめられながらも、スリカンディは、ジュンクンマルデオという異国の王に求婚されていて、ジュンクンマルデオはパンチョロ国まで乗っ取る野心を持って大軍で攻めて来たため、アルジュノも力を貸して反撃し、ジュンクンマルデォを倒すと、スリカンディはアルジュノ第二夫人の座におさまった。
インドでのスリカンディは女ながらも男として育てられ、ある国の王女との縁談が来てから女である事がバレ、怒った相手国に攻められる。自殺をはかろうと森に入ったスリカンディは、そこで出会った男と性転換して、弓に秀でた戦士となる。(破談をキッカケとして女ながら戦士となる点が共通している)。

開戦間際、クレスノ義弟スティアキやクレスノ宰相ウドウォから交渉決裂を聞くと、スリカンディは素早く「ウィロト国に行き、正規の戦闘命令を受ける」事を決意した。
そこにコラワの先制攻撃の報が入り、これを蹴散らしたスティアキが深追いしようとして、ウドウォに「作戦の伝達経路については、やはりスリカンディの言う通り、ウィロト国に行って上官の命令を受けて動くべきだ」とスリカンディを支持する。

スリカンディがウィロト国に到着し、コラワ軍による先制攻撃を報告し戦闘命令を要請すると、舞台は戦場に移る。
開戦時の行進では、大戦の根拠の一因である姉ドルパディとともに、スリカンディも女戦士として加わった。

大戦の初段では、パンダワ側の戦闘指揮者セトがコラワ軍から出たビスモに倒され、クレスノが「ジタブソロの書」に従い、次の総指揮者にスリカンディを推薦した。
ビスモは女性を相手に戦う事を避けたから、スリカンディの次々と放つ矢はビスモに当たらず、むしろスリカンディがヘトヘトに疲れて危うかった。見かねたアルジュノは、スリカンディに超能力の矢パソパティをつがえ、ともに弓を引き絞ってやる。
その時「時間待ちの天界」からビスモの死を望むオムボの魂がスリカンディに到来。スリカンディは、ようやくビスモを仕留めた。

大戦も中盤を越えた頃、ヨモウィドロの子スンジョヨが、コラワ側から「パンダワに付きたい」と、第一夫人スムボドロとスリカンディの身を寄せる後方陣営に志願しに来た。
戦士としての責務もあり、スリカンディは怪しみ、兵士の忠義を持ち出してスンジョヨを追い払おうとしたが、スンジョヨはパンダワへの忠誠を試すテストをして欲しいと頼み込んだ。
スリカンディが「カルノの首を取って来い」と答えると、スンジョヨは大喜びで飛び出して行くが、スンジョヨにカルノが倒せるはずがないと思ったスムボドロが、かつてパンダワが焼き討ちされた時、スンジョヨに命を助けられた話をしてスリカンディを諭すと、スリカンディも後悔し、スンジョヨを止めようと、父ドルポドの宰相デストクトゥに後を追わせた。
が、デストクトゥはスンジョヨとは別の道に行ってしまい、スンジョヨはカルノに撃ちかかって一撃で殺される。
スリカンディはスンジョヨの敵討ちに打って出るが、カルノは女と見て相手にしない。スリカンディは弓矢を放って、カルノの髭を射落としたので、カルノは、スリカンディの胸当ての紐を弓矢を放って切った。スリカンディは乳房を隠して退き、夫アルジュノに訴えた、ついにカルノとアルジュノの対決の時が訪れるに到った。

大戦が終結すると、パンダワへの復讐のためにアスティノ王宮に押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男、闇夜に惑う将兵達、父の仇ドルストジュムに続いて、カルトマルモの命令で、弱い女子供を狙って女の館に侵入。熟睡していた女戦士スリカンディを即死させ、その後バヌワティも殺した。

カルトウィヨゴ17話18話
水中の王国に住むラクササ王子。サルヨ長女エロワティに恋焦がれるあまり、エロワティを誘拐してしまう。

甘ったれた傲慢な王子だが、エロワティが自害すると聞くと心底嘆き、乳母に授かった呪文を唱えると、エロワティは「2人の妹を連れて来てくれたら、妻になってもいい」と譲歩する。
カルトウィヨゴはエロワティの母国モンドロコ国に行き、呪文で国じゅうの人間を眠らせたが、一人だけ眠らなかったボロデウォに追跡され、ラクササ軍もろとも倒される。

コロカルノ18話
カルノの恋人であったサルヨ次女スルティカンティを誘拐する。
しかしカルノに同情したアルジュノによって倒される。

レスモノモンドロクモロ18話24話26話27話40話41話
コラワ長兄ドゥルユドノの長子。母はバヌワティ。

クレスノの娘ティティサリを妻に望むが、アルジュノの息子イラワンに取られてしまう。

アルジュノの娘プルギウォにも妻にと望むが、これもガトゥコチョ(ビモの子)に取られ、失恋する。

クレスノの娘シティスンダリも妻に望んだが、これもアルジュノの子アビマニュの妻になり、父ドゥルユドノ譲りの失恋を繰り返す。

大戦中、コラワ軍はビモとアルジュノを戦場から引き離してドゥルノが本陣を攻め、これを迎え撃ったアルジュノ嫡子アビマニュが退路を断たれて孤立。無数の矢に射殺された。
その時、アビマニュの剣が「束になって掛かって来い」と言葉を発したので、アビマニュの死亡に安心したレスモノモンドロクモロは、挑発に乗って死体に近寄り首を刎ねようとして重代の剣(この剣はグル神の物だった)を抜いた。
アビマニュの鞘が飛び回ってレスモノモンドロクモロの首をなぞり、毒が廻ってレスモノモンドロクモロは即死した。レスモノモンドロクモロの抜いた剣は天界を舞って、グル神の元へ帰って行った。

コラワ側の人間の死を聞くたびに喜ぶ母バヌワティは、我が子レスモノモンドロクモロの死を悲しむどころか、むしろ敵のアビマニュの死を悲しむのだった。

ソムボ19話58話
クレスノの息子。母はラーマーヤナにも登場する猿僧の娘で、クレスノ第一夫人。
誤って異母弟ボモノロカスロに惨殺される。

大戦後、パンダワが昇天するための祠堂に辿り着いた時、ソムボの子も祭壇を作る一員に加わっている。

ドルモ神(19話
クレスノ長子ソムボに化身して入り込んでいる神。

ドルミ19話
ドルモ神の妻。夫ドルモ神がソムボに化身したので、ソムボの妻に化身しようとして間違え、ソムボの異母弟ボモノロカスロの妻に化身してしまう。間違った事に気づかず、ソムボの妻のつもりでソムボに近づくと、ボモノロカスロが激怒してソムボを惨殺してしまう。

プルティウィ19話
父は蛇神オントボコ。姉妹にノゴギニ。クレスノ第四夫人。ボモノロカスロの母。
クレスノの息子ボモノロカスロを生むが、ボモノロカスロは第一夫人の子ソムボやアルジュノを惨殺するなど狂暴を極め、クレスノに秘策を尋ねられる。プルティウィは息子が大地の力で蘇生する事をクレスノに知らせる。

ボモノロカスロ19話
クレスノの息子。母はプルティウィ。異母兄にソムボ。
自分の妻が近づいたとして、その相手である異母兄ソムボを惨殺する。その暴走は目に余り、アルジュノまで殺害したので、父クレスノは激怒し、ボモノロカスロを討とうとする。が、何度倒されてもボモノロカスロは大地に触れると蘇生した。
ボモノロカスロには、母プルティウィを通じて、蛇神オントボコの血を受け継いでいたためだった。
プルティウィから秘策を聞き出したクレスノが鳥に乗っているボモノロカスロをチョクロで射抜くと、大地に到着する前に絶命した。

ルクミニ19話
クレスノの父バスデウォの妹。兄にルクモ。クレスノ第二夫人。シティスンダリの母。
日本では「吉祥天女」とされる「ラクスミ」に相当する。農耕女神スリの化身。
兄ルクモは他の男との婚姻を用意していたが、ルクミニはクレスノに手紙で「自分を浚って欲しい」と頼み、クレスノと駆け落ちした。

シティスンダリ19話27話28話40話
クレスノの娘。母はルクミニ。パンダワ三男アルジュノの長男アビマニュの第一夫人。

ドゥルユドノ長男レスモノモンドロクモロに求婚されたが、父クレスノの望み通り、アルジュノの子アビマニュの妻となった。
しかし子が生まれず、アビマニュはマツウォパティ王の娘ウタリと結婚した。
シティスンダリはこの事を知らされず、アビマニュの従兄弟ガトゥコチョやその伯父コロブンドノに守られて、プリンゴダニ国に預けられていたが、正直なコロブンドノは、アビマニュがウィロト国にいると答え、シティスンダリに頼まれて、ウィロト国に旅立ち、戻って来て、ありのまま答えようとしてガトゥコチョに殺害された。

これを嘆いたガトゥコチョはシティスンダリをウィロト国に連れていき、シティスンダリとウタリは互いの存在に驚いた。
ウタリの父マツウォパティとシティスンダリの父クレスノは、二人の娘に、アビマニュとウタリの生む子が、やがて王位を継ぐという天の啓示を受けた、と教えたため、二人の妻は納得し、以後揉め事なくともに暮らした。

アビマニュが戦死した時、駆けつけたウタリがアビマニュの後を追おうとしたが、シティスンダリは、ウタリが腹に宿すアビマニュの子ゆえにこれを止め、代わってアビマニュとの殉死を申し出、一人取り残されるウタリを慰め、宥め透かして、アビマニュの死体を焼く祭壇に身を投じた。

農耕の女神スリ19話24話
稲作の女神とも言われる。クレスノ第二夫人ルクミニに化身している。
元はある国の王女であったが、弟王子を理想として父王の縁談を断り、父の呪詛によって蛇に変身させられる逸話や、逃亡を重ねる先々で稲作や農耕についての助言をした話などを持つ。
生まれ出る女性達に次々と入魂し、ラクササなど気に染まぬ男の求婚を拒絶させる女神。

サイコロ賭博でパンダワをアマルト国から追放したコラワは、姿を消したスリを探せば、稲と豊作の安穏が得られると思うが、探し当てたのはパンダワだったという話もある。

スティヨボモ19話
ウグロセノ王(クレスノの父バスデウォの弟)の娘。弟にスティアキ。クレスノ第三夫人。スティヨコの母。
元はドゥルノが求婚していたが、クレスノが横恋慕し、「兄(ボロデウォ)の妻(エロワティ)の重病を見舞ってほしい」と嘘をついて横取りした。
またスティヨボモに思いをかけてる王が他にもいたが、この王をクレスノが倒し、国を支配した。これがドロワティ国となる。

スティヨコ19話28話
クレスノの息子。母はスティヨボモ。

コラワとパンダワの間に戦雲が漂いはじめると、クレスノを目覚めさせた方が勝つ、という天のお告げを聞いたドゥルユドノは、クレスノを起こそうとドロワティ国に攻め入り、この時スティヨコはスティアキとともに、クレスノの身辺を守っている。

スティアキ19話28話31話32話33話34話35話42話43話46話53話
ウグロセノ王の嫡男。姉にスティヨボモ(クレスノ第三夫人)。
姉スティヨボモの夫でウィスヌ神の化身クレスノに惚れこみ、入れ込んだあげく、レサンプロ国の王位継承も放り投げて、クレスノのドロワティ国 に馳せ参じ、始終クレスノの側に居るようになる。よく「クレスノ義弟」と紹介される。

王子育ちのスティアキは一途な「クレスノ・シンパ」とも言える反面、気ばかり先走って軽率な面もあり、大戦の前、眠るクレスノを目覚めさせて勝利を導こうとしたドゥルユドノらがドロワティ国に攻め入った時、クレスノの身辺を守っていたスティアキ達は、猛将カルノに打ち負かされ、討ち入られている。

その後も、パンダワの国土返還の使者にたったクレスノに供をしてアスティノ国に乗り込んだ。

パンダワとコラワの開戦が決定すると、この事を伝えさせに、クレスノはスティアキをウィロト国に遣わした。

スティアキは、先にクレスノ宰相ウドウォとともに女戦士スリカンディに交渉決裂を伝えた。
スリカンディが「ウィロト国に行き、正規の戦闘命令を受ける」と言った時、コラワの先制攻撃があり、これを蹴散らしたスティアキは深追いしようとして、ウドウォに作戦の伝達経路について、「やはりスリカンディの言う通り、まずはウィロト国に行き、上官の命令を受けて動くべきだ」と諭される。

大戦が勃発し、中盤を迎えた頃、コラワは戦闘指揮者にサルヨ長男ブリスロウォを任命した。これとの一騎打ちにパンダワ側で志願したのがこのスティアキで、「ブリスロウォと自分は好敵手」と自負していたからだった。

ブリスロウォは剛の者として知られたので、難色を示す者もいる中、クレスノはアンチョコ「ジタブソロの書」に二人の対決が記されている事を密かに確認すると、「スティアキの宿願」をこじつけに持ち出して対決を許可した。
心もとなく感じたビモは、棍棒のキャッチボールでスティアキを訓練し、何とか力をつけさせたが、スティアキはブリスロウォとの一騎討ちにやがて疲労困憊。ブリスロウォはスティアキを何度も投げ飛ばし、最後には股の間にスティアキの首を挟んでいたぶった。
クレスノは、アルジュノが戦のルールを持ち出して反対するのを防ぐため、息子アビマニュの死に落ち込んでいるアルジュノを叱り飛ばし、「腕試し」と称して、髪の毛を的に2度、矢を射らせ、その両腕の付け根が矢でねじ切らせた。ブリスロウォはルール違反に怒り狂いながらも、クレスノに反論されてる内に、その股の力は弱まり、スティアキの朦朧していた意識は復活。猛然とブリスロウォに襲い返し、その首を取った。
途中経過を知らないスティアキは、大喜びでブリスロウォを罵倒し、自陣に戻ってからも手柄を言い散らしたが、クレスノは溜息をついて一部始終を語った。
スティアキは恥じ入って戦場からしばらく姿を消すしかなかった。

しかしやがて復帰したようで、ドゥルソソノ襲来の時はこれを戦場に告げ、ビモはこれを迎い撃ち、スティアキは戦場に返してカルトマルモと対戦、これを敗走させる。痛手を負ったのか、カルトマルモは終戦まで身を潜ませ、戦場には現れなかった。

大戦も終了間際、コラワに唯一残るスンクニを相手にスティアキは対戦。武勇など無いスンクニが、意外と余裕で高笑いで挑発するのに対し、スティアキの武器が全く通用しないため、ビモがクレスノの助言によりスンクニを倒すに到った。
パンダワが昇天するための祠堂に辿り着いた時、スティアキの子も祭壇を作る一員に加わっている。パリクシト即位の時の時も同様。

ジュンクンマルデオ20話
ジャワから遠い異国の王で、夜の夢にスリカンディを見て恋をし、やがて求婚。
美貌の王で超能力にも秀でたが、スリカンディは自国パンチョロ国を飛び出し、自分の愛したアルジュノの元に転がり込んで、ジュンクンマルデオを倒そうとアルジュノに弓を教わった。
ジュンクンマルデオは野心を絡めて大軍を率い、パンチョロ国を乗っ取ろうと攻めた。アルジュノもスリカンディに力を貸して、ジュンクンマルデオは倒される。
インドでのスリカンディは、女である事を偽って縁談を受け、それがバレると怒った相手国が攻めて来る。その国の王がこのジュンクンマルデオに当たるのかもしれない。

アビマニュ20話21話23話26話27話28話35話39話40話41話42話
パンダワ系譜の8代目。7代目アルジュノ(パンダワ三男)の嫡男。母はスムボドロ。子にパリクシト。

アビマニュは生まれてすぐビモに触れ、ビモに天啓の託宣が下った。数多くの者がこれを得るべく画策する中、あっけなく赤子のアビマニュがアスティノ国継承者にして、系譜8代目と定まった。

母スムボドロの兄クレスノは、アビマニュをアルジュノ同様に気に入り、サイコロ賭博によってパンダワが放浪させられた時も、アビマニュとその母スムボドロを引き取り、アビマニュはクレスノの庇護の元で成長したようだ。

アビマニュがアルジュノの娘2人を山から連れ帰ろうとし、カルノ率いるコラワ軍に攻撃された時、従兄弟ガトゥコチョに救われる。ガトゥコチョがアビマニュを始終守備していた事がわかる。

パンダワ達の長い放浪生活の間にアビマニュも成長し、第一夫人にクレスノの娘シティスンダリを娶ったが、二人の間には子が生まれず、マツウォパティ王の娘ウタリが第二夫人となった。
アビマニュは二人の妻に、もう一人の妻の存在を告げず、ウタリには「(独身である事が)嘘だったら、後の戦争において、ザルの網目の風穴を体の傷に負う」などと言い、シティスンダリの使いで来訪したコロブンドノに度肝を抜かされ、これに平手打ちを喰らわせて追い返した。

この問題は、結局マツウォパティがウタリに、クレスノがシティスンダリに、「アビマニュとウタリの生む子が王位を継ぐという天の啓示を受けた」と教え諭して解決を見た。

大戦が勃発すると、敵コラワ側の作戦により、ビモとアルジュノが戦場から離され、パンダワ軍はドゥルノの総攻撃を受けて大混乱に陥った。
ドゥルノの攻撃をかわす方法を知っているのは、ドゥルノの愛弟子アルジュノだけで、アルジュノ不在の今、残るは、アルジュノから伝授を受けているアルジュノ嫡子アビマニュしかなく、クレスノはパンダワ五男サデウォを使者に立てて呼んだ。
アビマニュはパンダワの継承者なので、戦場を離れたウィロト国の王宮に守られていたからだ。

叔父サデウォからの伝令を聞くや出陣したアビマニュを、途中に見付けた敵将カルノは危険を知らせる矢文を放ったが、供の者に命中した矢文を見ても、アビマニュは意志を変えず戦場に直行した。カルノはもう一度矢を放ったが、今度は愛馬に命中。アビマニュは冷静さを欠いて、伯父(カルノはアルジュノの兄)からの忠告とも気付かず、むしろ敵意を剥き出しに猪突するのみだった。
戦場ではドゥルノが兵を旋回させて敵の目を晦ませ、機を見て敵陣に突っ込める「車輪の陣形」を取り、対するアビマニュは、自在に動ける「エビガニの陣形」で、自身がエビガニの先頭に立って車輪に揉みこみ突破した。
車輪の陣形は崩され、中心にいたドゥルノを敗走させたが、アビマニュは退き方をアルジュノに教わってなかった。味方のエビカニ本隊は後退をはじめ、一度崩された敵の車輪は元に戻り入口を閉じ、アビマニュは敵陣の中に孤立し、妻ウタリに誓った通り無数の矢を射掛けられ、絶命したまま仁王立ちを続けた。

戦場から遠いセトロプル山でカルノからアビマニュの死を聞き、仇を取ろうと急行してきたアルジュノの前に、アビマニュそっくりのウィソクスモが通った。
アルジュノは「息子の死は嘘だった」と思い込んで後を追い、敵コラワ陣営に深入りしかけたが、アビマニュは霊となって父アルジュノに「あれは自分ではない、自分を殺したジョヨジョトロの息子だ」と告げたため、アルジュノはやっと息子の死を受け入れ、ウィソクスモと同行していたその母ドゥルシロワティともに射抜いた。

一騎討ちでなく殺されたアビマニュの死によって、「この戦にはルールが無くなった」と皆が恐怖と疑心暗鬼に突き落とされ、さらにタブーであった夜間の戦闘を開始。同士討ちによる殺戮にさえ至り、安息をもたらすべき夜は、無差別大量殺戮が横行する闇と化した。

ジョトギンバル21話47話
ある国のラクササ王。スムボドロに恋をし、その夫アルジュノに「奥方を下さい」と頼む。その願いが容れられなかったら、アルジュノを殺そうとまで思っていた。
しかしアルジュノは承諾し「ラクササ姿ではスムボドロに嫌われる」と、ジョトギンバルをアルジュノそっくりの姿に変える呪文までかけてくれた。
ジョトギンバルはスムボドロと愛し合い、自分の正体を明かして元の姿に戻ると、スムボドロも仰天して、実は自分もジョトギニだと言って元の姿に戻った。
つまり兄妹で契った結果、妹ジョトギニはやがて兄の子を生んだ。これがコロスレンギである。
禁断の子を儲けた二人は絶望し、ジョトギンバルはアルジュノに復讐しに行くが返り討ちに合って死亡。

ジョトギンバルの子コロスレンギは、イラワンと相打ちにして果てるが、ジョトギンバルの家臣アルドワリコが、父子の国を担って王となり、ジョトギンバルの息子と称して立ち上がった。

ジョトギニ21話
ラクササ王ジョトギンバルの妹。ラクササ女だったが、アルジュノに恋をし、アルジュノの妻スムボドロになりすまして、アルジュノと愛し合ったが、それはアルジュノに扮装した兄王ジョトギンバルだったと判る。
つまり兄と妹で契った結果、妹ジョトギニはやがて兄の子を生んだ。これがコロスレンギである。
二人は絶望し、兄王ジョトギンバルはアルジュノに復讐して返り討ちに合って死亡。妹ジョトギニも兄の復讐に出掛けるが、遭えない最期を遂げた。

コロスレンギ21話34話36話47話
ラクササ王ジョトギンバルと、その妹ジョトギニの間に生まれた不義の子。
父ジョトギンバルはアルジュノ夫人スムボドロに、母ジョトギニはアルジュノに恋をし、2人ともアルジュノに騙されて睦み合い、コロスレンギが生まれる。父母は真相を知って、アルジュノに復讐しに行って返り討ちに合って死亡。やがて、この真相を知ったコロスレンギは、父母の仇とアルジュノを付け狙った。

これを語って聞かせたのは乳母ラヤル・メゴで、それを聞いた時ちょうどコラワとパンダワの開戦まぎわだったので、やはり復讐に出たコロスレンギは、ちょうどウィロト国に向かうイラワンを空から発見した。
イラワンは父アルジュノによく似ていたため、乳母にアルジュノの容姿を聞いて来たのみのコロスレンギは、アルジュノと見間違い、空から急降下してイラワンを倒した。
重症を負ったイラワンも剣を抜き、コロスレンギを突き刺し、二人は相打ちに刺し違えて命を絶った。

大戦が始まってから、山中で苦行するセト王子をアルジュノが迎えに行く途中、イラワンを殺し損ねたコロスレンギがまだ生きていて、アルジュノを襲い、返り討ちに討ち果たされる、という話もある。

その後、ジョトギンバルの家臣アルドワリコが、今は亡き父子の国を担って王となり、ジョトギンバルの息子と称して立ち上がった。

火神ブロモ24話29話
インドのブラフマー(梵天)と火神アグニが混在した神。
娘ドゥルソノロはアルジュノと結ばれるが、グル神の命令により、ブロモはこの娘をアルジュノから離縁させる役を引き受けるハメになる。

大戦前は、グル神の居城において、対戦表「ジタブソロの書」を作る会議に参加ししている。

ドゥルソノロ24話
火神ブロモの娘。魔王を退治して天界の美女達と暮らしていたアルジュノは、ドゥルソノロとの間に男子ウィサングニを得るが、ドゥルソノロに横恋慕したデウォスラニと、その母神で息子を溺愛するドゥルゴの要求に屈して、ドゥルゴの元夫グル神も、アルジュノとドゥルソノロを離縁させるよう父ブロモに命じたため、夫婦生活は幕を閉じる。

ウィサングニ24話30話
アルジュノの息子。母はドゥルソノロ。デウォスラニと、その母でラクササ女神ドゥルゴ、ドゥルゴの元夫グル神の命令で父母が離縁させられたため、赤ん坊のウィサングニは火山に投げ込まれ捨てられた。
しかし聖なる光でアルジュノ以上の超能力を得たウィサングニは、いきなり青年になり、ドゥルゴ親子とグル神を懲らしめ、父アルジュノの危機のたびに登場して、悪漢を懲らしめた。

クレスノは策謀によって、ウィサングニをけし粒、ごま粒よりさらに小さな粒子に変え、風に飛ばして去らせた。強すぎる威力の持ち主は、すぐ敵を倒し、戦自体を成り立たなくするからだ。

デウォスラニ24話
火神ブロモの娘ドゥルソノロに横恋慕し、母ドゥルゴ女神とその元夫のグル神をして、アルジュノとドゥルソノロの仲を引き裂く原因となる。
デウォスラニはグル神とドゥルゴ女神の息子とも言われ、またグルが垂らした精液から生まれたラクササと母ドゥルゴとの息子とも言われる。名には「カトリック教徒の神」の意味がある。

女神ドゥルゴ24話44話
元は美しく力のある女神だったが、グル神に負けてその妃となり、グルのよこしまな欲情を軽蔑して、怒ったグルに醜い姿に変えさせられた。その髪の毛には、人の姿を隠す魔力が潜む。
グルか、グルが欲情して垂らした精液から生まれたラクササとの間に、息子デウォスラニを産み、溺愛している。

大戦が始まり、コラワ弟妹や親族を多く失ったドゥルユドノに責任を問われたドゥルノは、屍臭の国に出向き、女神ドゥルゴに「姿を眩ませる髪の毛」を一筋貰った。
声さえ出さなければ透明人間になっていられるこの武器を持ったドゥルノは、無人の戦車から秘矢を放って、ドルポド王やマツウォパティの命を奪うに到ったが、クレスノの策謀によってこの秘法は解かれ、ドゥルノは戦場で声を発し、戦死した。

イラワン24話34話35話36話
アルジュノの星の数ほどいる息子の一人。母はある苦行僧の娘。
アルジュノの子は多いため、アルジュノに勝る才能が無いと認知されず、イラワンは超能力の女部下を持ち、アルジュノと勝負してアルジュノを死なせた。イラワンの母が蘇生の術でアルジュノを生き返らせ、アルジュノの子と認められた。
妻はクレスノの娘ティティサリ。

開戦の時、イラワンは山の苦行所で、曾祖父アビヨソ、アルジュノの従者スマル、ペトル親子達といたが、各国の諸将がウィロト国に馳せ参じているだろうに、自分だけ乗り遅れると焦り、制止する曾祖父アビヨソを振り切って飛び出した所を、やはり戦を前に復讐に燃えてやって来たコロスレンギに、空から発見された。
イラワンは父アルジュノによく似ていたため、アルジュノの容姿を乳母から伝え聞いたのみのコロスレンギは、空から急降下してイラワンを倒した。
イラワンは重症を負いながらもコロスレンギを剣で突き刺し、二人は刺し違えて命を絶った。

やはり空からこれを見たガトゥコチョはウィロト国に急行して、クレスノに蘇生を要請したが、クレスノの「ウィジョヨクスモの花」は既に「ジタブソロの書」と引き換えにグル神に渡されていたため、イラワンは蘇生されなかった。
戦争と引き換えに蘇生術を手放した人類に、最初に起きた悲劇の犠牲者と言える。

ティティサリ24話
クレスノの娘。ドゥルユドノの息子レスモノモンドロクモロが妻に望んでいたが、アルジュノの息子イラワンの妻となる。

イルワシ25話
サイコロ賭博事件の後、妖精達と天界で暮らしていたアルジュノが下界に戻ると、アルジュノを慕った妖精の一人イルワシは、嘆きのあまり気が触れ、これを哀れんだインドロ神が、イルワシが下界に下りる事を許可した。
しかしイルワシは下界では暮らせず、アルジュノはイルワシを諭した上で拒んだため、イルワシは呪いをかけ、アルジュノを両性具有の体にしてしまう。

死神ヨモディパティ25話
サイコロ賭博事件の後、12年間を生き延びたパンダワの前にバラモン僧が現れ、「祈祷中に鹿が香炉を角にひっかけて去った」と告げた。
僧侶のために鹿を探索する内、パンダワ達は喉が渇いて湖に行き、死神ヨモディパティの問いに答える前に水を飲もうとしたため、その場で死んだ。
最後にユディスティロがはじめて死神の声に答えて問答に応じ、その答が正しかったため、死神は弟のうち一人だけ蘇生させようと持ちかけた。
ユディスティロはナクロを選び、その理由を問われて、ビモとアルジュノは同母であり、ナクロとサデウォは異母である、違う母から生まれた子孫をともに絶やさぬためである、と答える。
ヨモディパティはこの答に感じ入り、4人全てを蘇生させ、13年目の刑を無事に終えられるよう彼らを守護した。

プルギウォ26話
アルジュノの大勢要る子のうち、ある姉妹の姉。一目父アルジュノに会いたいと旅する途中、養育係だった男に横恋慕され、身の危険から口先だけ結婚の約束をするが、そこをカルノ率いるコラワ軍に攻撃される。
アビマニュがこの姉妹を山から連れ帰ろうとし、アビマニュを始終守備していたガトゥコチョがアビマニュを助けて敵を退け、姉プルギウォに一目ぼれする。
プルギウォは、ドゥルユドノの子レスモノモンドロクモロに妻に望まれるが、ガトゥコチョが母アリムビに打ち明け、プルギウォはガトゥコチョと結ばれて、サシキロノという男子を得た。

サシキロノ26話58話
ガトゥコチョとプルギウォ(アルジュノの娘)の間に生まれた男子。

パンダワが昇天するための祠堂に辿り着いた時、サシキロノも従兄弟ダヌルウェンド(オントセノの子)とともに祭壇を作る一員に加わっている。

パリクシト54話55話56話60話
パンダワ系譜9代目。アルジュノ嫡子アビマニュの嫡子で、母はマツウォパティの長女ウタリ。
アビマニュの第一夫人は、クレスノの娘シティスンダリだったが、クレスノはシティスンダリに、「アビマニュとウタリの生む子が、やがて王位を継ぐという天の啓示を受けた」と、アビマニュが第二夫人にウタリを娶る事を説得した。

大戦が終結した日にウタリの生んだ亡きアビマニュの男子は、祖父アルジュノにパリクシトと命名され、その名は「戦争の終結」を意味した。パリクシトは系譜の九代目を継承する。
パリクシトが成長するまではユディスティロが政務を代行し、やがて成長したパリクシトが王位に着く事となり、同時に「正式な王位継承者はパリクシト」と認める儀式の場となった。

大戦は終わったものの、不安の予感にかられたクレスノの指示で、パリクシトの寝床にアルジュノの秘矢パソパティが置かれ、そこに復讐のため押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男、ドルストジュムノを殺した。

さらにアスウォトモは、カルトマルモの命令で弱い女子供を狙って女の館に侵入。女戦士スリカンディと、アルジュノとの再会を果たし、パリクシトの乳母に志願してそばにいたバヌワティも殺した。
カルトマルモは自らを王と自称、アスウォトモを宰相に任命、「パンダワ後継者のパリクシトを殺害すれば、パンダワは絶望して後追い自殺する」と思い、アスウォトモは自分が手を下そうとしたが、あやされてると勘違いし無邪気に笑う赤ん坊パリクシトは、はしゃいで足を蹴り上げ、その足から発せられた矢が命中し、アスウォトモは落命。逃げたカルトマルモも捕まった。
(ワヤン以外の物語ではパリクシトはこの時に死亡し、クレスノに蘇生させられる)

母のウタリが戴冠式を命じ、ようやくパリクシト即位の時を迎えた。クレスノやビモの孫、スティアキの息子、高位高官も民衆も歓呼して祝った。
ウシアジが攻めて来た時はボロデウォがこれを倒し、ついにアスティノ国は最後の苦難を終え(全ての因縁を断ち切り)、雨後は晴天、パリクシトの治世の下で、長く平和な世が訪れた。

スマル29話34話36話38話60話
アルジュノの従者。3人の息子と「気のいい家族漫才」ぶりを発揮する「オモロいオジサン」だが、目立たぬ愚鈍な者を装いつつ、実はグル神の兄で、本気で怒ればグル神でさえ頭が上がらない。神の子孫を守護するため地上に降り、息子の中でも特にペトルが活躍する。
大戦前、スマルの答によって、クレスノの魂が天界にある事を知ったアルジュノは、クレスノの眠りを覚ます(側が大戦の勝利者となる)事に成功する。

開戦の時スマルは息子ペトルとともに、アルジュノの息子イラワンに付き従い、アビヨソの山の苦行所にいた。

やがて戦闘が始まると、クレスノはセトを戦闘指揮者に指名したが、セトは山中で眠りの苦行して、アルジュノが起こしても起きないので、随行したスマルが、セトの足の指と指の間の毛を抜いて、セトの二人の弟(ウトロとウラトソンコ)の戦死を告げて起こした。

アルジュノとボゴデントの戦いでは、アルジュノの矢がボゴデントの象に当たると、ボゴデントが象にひざまづいて泣き、象が復活。ボゴデントに矢が当たると、調教師ムルダニンシが泣き悲しみ、ボゴデントが復活。ムルダニンシに矢が当たると、象が泣き悲しんでムルダニンシが復活と、尽きる事の無い復活劇にアルジュノは弱り果てた。そこでスマルは「ボゴデントと象と調教師を同時に倒せばいい」と献策。矢が同時に三本出る武器によって、ようやく三者ともに死に、アルジュノは勝利した。

大戦後は最後の因縁劇で、アスティノ国に押し入ったウシアジの味方であり、実はナクロの娘のスリタンジュンと、サデウォの子シドプクソは、互いに変身してボロデウォの武器を奪い合い、武器は敵味方の間を巡った。
武器はスマルが奪った。彼には変身が通用しなかったのだ。

ペトル29話34話36話38話40話42話44話53話
アルジュノ従者スマルの3人息子の一人。息子の中でも特にペトルが活躍する。
ヒョロリと痩せ型で手足が長く、人を煙に巻くのが上手く、歌が上手で声がよく通る。斧を持ち武器にもしている。

開戦の時ペトルは父スマルとともに、アルジュノの息子イラワンに付き従い、アビヨソの山の苦行所にいた。

戦闘が始まると、戦闘指揮者に任命されたセトをアルジュノが山中に呼びに行くのに父スマルとともに随行。
眠りの修行をしているセトに、スマルがセトの弟(ウトロとウラトソンコ)の戦死を告げると、セトは起き上がろうとしたが、苦行中で髪がボウボウに伸び、岩に絡みついて苔が生え、起き上がれなかったので、ペトルが斧で切った。すると髪に挿していた櫛もともに落ちた(後にセトはこの櫛をビスモに投げ付けられて戦死する)。

敵の戦闘指揮がガルドパティに決まった時は、マツウォパティ王の幕舎にペトルがこの事を報告した。

アルジュノ嫡子アビマニュが集団に矢を射掛けられて孤立死した時、ペトルがその遺体を戦場から抱き抱えてパンダワ陣営に運んだ。

アルジュノはアビマニュの仇を取ると誓ったが、果たされず期限の日没を迎えかけたので、クレスノは太陽光線を遮って人々の目を欺き、アルジュノの従者達に演技をさせた。ペトルはクレスノに命じられた通り「(祭壇にともされた火で)アルジュノが焼かれる」と叫んで廻った。
するとクレスノの意図した通り、祭壇の大火の灯りに照らし出され、闇の中からジョヨジョトロの顔が浮かび上がった。アルジュノはその顔めがけて矢を射て、首を刎ねた。

コラワ軍の戦闘指揮者にドゥルノが就任した時も、ドゥルノは声を出さぬ秘法によって透明人間となり、その無人の戦車から放たれる秘矢で、ドルポド王やマツウォパティ王が相次いで死亡した。
クレスノはビモに乗用象エスティトモを撃たせると、又ペトルに「アスウォトモが死んだ」と触れ回させた。
アスウォトモはドゥルノの息子で、この噂に釣られてドゥルノは周囲に声を発して姿を現し、討ち果たされた。

大戦の最後に、ビモとドゥルユドノが一騎討ちをした時、ジョクジャでは、クレスノがペトルに(ジャワ語で)「思い出せ(こめかみの意)」「残酷な(太腿の意)」と言わせる。ビモは最初の一言だけ聞いてコメカミを撃って倒す(ルール違反はしない)。

ペトルは父スマルや兄弟のバゴンやガレンとともに「プノカワン」(「気のいい仲間達」という意味)と言い、人形劇の合間のお笑いタイムで、陽気に眠気を吹っ飛ばす役割。 彼らの登場する時間と場面を「ゴロゴロ」と言い、中でもペトルの喋りが座を占めるので「ムトゥ・ペトル」(ペトル登場)とも言われる。

ダヌルウェンド30話58話60話
オントセノの息子。父オントセノはクレスノの策謀によって他界する。

パンダワが昇天するための祠堂に辿り着いた時、ダヌルウェンドも祭壇を作る一員に加わっているが、ダヌルウェンドは父オントセノを早くに亡くし、母ノゴギニも地底の国にいて会えず、唯一の肉親である祖父ビモが居なくなる寂しさに耐え切れず、ビモの足に取りすがった。
彼は日頃から、いかにも愚鈍な男に見られ、ビモは重代の武器を与えつつ、「武器や軍隊に頼るのではなく、強気をくじき弱きを助けるのが本当の武将だ」と説いた。すると、ダヌルウェンドは「自分には祖父の七光り以外に取り得がない。武器を貰っても、いつかは死ぬ。その時どうすべきかを教えて欲しい」と言った。
この言葉にビモは、勇猛な息子ガトゥコチョやオントセノが持たなかった奥深さを知って驚き、これまでに得た訓を与えるべく、腕を取り耳に口寄せて伝授する。その眩い夢によってダヌルウェンドは失神。目を覚ましたダヌルウェンドに、ビモはさらに、
「今、奇跡に通じる道(夢)を見たからと言って、それが単なる知識としてしか残らないなら、所詮は影か幻に過ぎない。固執すれば一歩も先には進めない。善悪は幻のように揺れ動く。理論の繰り返しには限界が来る。正しい判断が出来るには実践しかない。それも苦行や祈祷ではなく、また安っぽく人に言っても嘘になる。
先に進むには、目的を見つけ報酬を求めずひたすら決めた義務を遂行することだ。人生は市場に出掛けるようなもので、いつかは帰って来る。家を間違いなく探さ(自分自身を見つけ)ず途中で惑わされれば、獣や虫とか人を邪魔する者になるだけだ」といったような事を教訓し、祭壇に炊かれた火に身を没した。

パリクシト即位の時を迎えると、ダヌルウェンドは他の三代の親族とともに、高位高官も民衆も歓呼して祝った。

ドゥルシロワティ32話41話
父はダストロストロ。母はグンダリ。コラワ兄弟の末妹。他兄弟99人。
コラワとパンダワの開戦が決まった時、ジョヨジョトロがビモに仕えるために出た旅で、コラワ宰相スンクニは、アスティノ国の上位任官と、このドゥルシロワティとの婚姻を持ち込んで、ジョヨジョトロをコラワの身内に組み込んだ。

パンダワ側のアルジュノ嫡男アビマニュは、コラワ軍団に無数の矢で射殺されたが、最後にその首を掻き切ったのがジョヨジョトロだったので、アルジュノは息子の仇を討とうと乗り込んで来た。
コラワの身内となったジョヨジョトロは、ドゥルノが三層の陣で守って無事だったが、アルジュノの前を横切ったウィソクスモ(ジョヨジョトロとドゥルシロワティの子)は、アビマニュの霊がアルジュノに「ジョヨジョトロの息子だ」と教えたため、アルジュノはウィソクスモを射抜き、息子と同行していたドゥルシロワティをともに射抜かれて絶命した。

ウィソクスモ32話41話
ジョヨジョトロの子。母はコラワ末妹ドゥルシロワティ。
アルジュノの子アビマニュにそっくりだった。

アビマニュが戦死し、その仇ジョヨジョトロを討とうと、アルジュノが乗り込んで来た時、ジョヨジョトロ自身はドゥルノが三層の守備で守っていたが、急行してきたアルジュノの前を、このウィソクスモが通った。
アルジュノはこれをアビマニュと見間違い、「息子の死は嘘だった」と、戦意も殺意も無いただの深追いに転じてしまう。
しかしアビマニュの霊がそこに現われ、父アルジュノに「あれは自分ではない、自分を殺したジョヨジョトロの息子だ」と告げたため、アルジュノはやっと息子の死を受け入れ、ウィソクスモと、同行していたその母ドゥルシロワティともに射抜いた。

タルコサルコ33話47話
開戦前、勝利の祈りを神に捧げる人身御供を探すため、コラワ次男ドゥルソソノはスラユ川で渡し守をする若者、タルコとサルコを拉致するが、二人は逃亡をはかってドゥルソソノに殺される。
本人の同意なく無理やり殺された人身御供として神に受け取らず、その証拠に、屍がいつまでも死臭とともに消える事なく放置された。

開戦後、中盤を越えた頃、ドゥルソソノはビモと激烈な戦いを繰り広げた後、圧倒されて逃げ、スラユ川を行きつ戻りつしながら反転するつもりだったが、スラユ川の川底からタルコとサルコの怨霊が、ドゥルソソノの脚を捕らえ、川底に引きずり込んだ。怨霊との格闘で力をそがれたドゥルソソノはビモに捕まり、川から引っ張り上げられ地に顔を押し付けられたあげく、惨たらしく殺されるに到った。

ラヤル・メゴ34話35話
ラクササ女。コロスレンギの乳母。
大戦が始まる直前、コロスレンギの父母がアルジュノに騙されて、兄妹でありながら契り、その復讐に出て殺された事をコロスレンギに話して聞かせた。コロスレンギは復讐に出掛け、アルジュノの息子イラワンをアルジュノと見間違えて、決闘し刺し違えて死んだ。
これはラヤル・メゴの話して聞かせたアルジュノの容姿に、イラワンがよく似ていたためだった。

コロスレンギの後を追って来たラヤル・メゴは、コロスレンギの死を知って、敵討ちに乗り込んだが、騒動を聞きつけたビモによって討ち果たされた。

ムルダニンシ38話
ボゴデントの象の調教師。ムルダニンシが美女だったので、アルジュノは戦場でナンパを試みたが、巨象に乗って大暴れするボゴデントに吹っ飛ばされた。
アルジュノの矢がボゴデントの象に当たると、ボゴデントが象にひざまづいて泣き悲んで象は復活。ボゴデントに矢が当たると、調教師ムルダニンシが泣き悲しんでボゴデントが復活。ムルダニンシに矢が当たると、象が泣き悲しんでムルダニンシが、と尽きる事の無い復活劇となった。
これにアルジュノ従者スマルが「ボゴデントと象と調教師を同時に倒せばいい」と献策して、矢が同時に三本出る武器によって、ようやく三者ともに死んだ。

ガルドコ39話59話
セトロプルの戦いで、ビモやアルジュノに敗れ沼で溺死したガルドパティの息子。パンダワを父の仇と付け狙う。

大戦後パンダワが昇天すると、それを見据えて、ビモとアルジュノを父の仇と付け狙っていたガルドコは攻撃をかけたが、これをクレスノの兄ボロデウォが迎え撃った。

アンギロ39話58話
セトロプルの戦いで、ビモやアルジュノに敗れ沼で溺死したガルドパティの馬丁で、この戦いでアルジュノに矢を射られ両足を失った。

両足を無くしながらも馬を追い掛け、ひどい傷みに苦しんで、ガドゥンムラティ村の小屋に辿り着き、食べ物だけは馬の姿をした僧侶の弟子に差し入れられているが、坐して動けぬまま日を過ごしていた所、大戦後のパンダワが死期を迎えるために出た旅の途中に、この村に来て会った。
クレスノに問われてアンギロは死を望む。ビモは瞑想して空から小さな火を降らせ、アンギロは焼かれて魂は天に昇った。
するといきなり馬の群れが駆け込んで来て、パンダワを襲った。そのリーダーの馬に宿った霊魂が、アルジュノに撃たれて死ぬため、「時間待ちの天界」に留まって、この日を迎えたドゥルノだった。

エスティトモ44話
コラワ側のドゥルノ軍の軍用象。ドゥルノが透明人間となって戦車から秘矢を放ち、ドルポド王やマツウォパティ王を死に至らしめたので、クレスノはビモに、副官プルメヨとこの乗用象エスティトモを撃たせ、従者ペトルに「アスウォトモ(ドゥルノの息子)が死んだ、と触れ回れ」と命じた。
ドゥルノはこの流言に惑わされ、声を発したために透明人間の秘法は破れ、姿をあらわした。
ビモ、スリカンディ、ナクロ、サデウォ、アルジュノはクレスノの指示に従い「アスウォトモが死んだ」と答える中、一人ユディスティロは「エスティ・トモが死んだ」と正直に言ったが、その表情が困惑で曇っていたため、ドゥルノはうろたえて正確に聞き取れず、戦車の中で失神した。そこをドルポドの息子ドルストジュムノに首を討たれた。
ちなみに、この「マハーバーラタ・あらすじ」で、唯一名の出る動物(笑)。

カルトマルモ45話46話50話55話56話
父はダストロストロ。母はグンダリ。コラワ兄弟の63番目の弟。他兄弟99人。
コラワ出陣の際、兄弟の勢揃いを数えるため登場し、その数の多さに謁見所から一度姿を消して入って来ながら数え、ドゥルユドノに揃った事を報告した。
スンクニがサルヨの停戦の勧めを跳ね付けたため、サルヨの娘で自分の妻バヌワティに頭の上がらぬドゥルユドノは、怒らせたのでは、と動揺し、カルトマルモにドゥルソソノを呼びに行かせる。

戦場を離れて女の警護をする事に不満だったドゥルソソノと、心はパンダワ側にあるバヌワティは、互いに傷付く言葉を激しくぶつけあった果て、ドゥルソソノはスンクニ、カルトマルモらに止められるのも聞かず、バヌワティ警護を放棄し、戦場に戻った。
ドゥルソソノにはビモが迎い撃ち、カルトマルモにはスティアキが応戦。カルトマルモは敗走し、痛手を負ったのか終戦まで身を潜ませたが、ドゥルソソノは惨死した。
バヌワティが炊きつけて死に追いやったドゥルソソノの周囲にいた経緯もあってか、カルトマルモは、やがてアスティノ王宮のバヌワティの前に報復にあらわれる。

一方、カルノの死について責任を追及するあまり、サルヨを起こらせたアスウォトモは、逃げてバヌワティ王妃の宮殿に身を寄せ、カルトマルモと合流した。
アスウォトモとカルトマルモは「ドゥルユドノに安全な場所に移せと命じられた」と、バヌワティをそそのかして連れ出した。しかしこれは罠であった。

バヌワティは、森に連れ去られてから二人の悪計に気づき、逃亡してアスティノ王宮に引き取られた。
森の中に残されたカルトマルモは、これまでコラワ王子として厚く遇されていただけに、野心を捨て切る事ができず、これを、父ドゥルノの復讐を果たすべく鬼と化したアスウォトモが担いだ。
押し入ったアスウォトモは、ユディスティロの長男を殺し、闇夜に惑う将兵達を次々と倒し、父の仇ドルストジュムノも殺した。

さらにカルトマルモの命令で、弱い女子供を狙って女の館に侵入し、熟睡していた女戦士スリカンディを即死させ、パリクシトのそばにいたバヌワティを犯して殺した。
カルトマルモは、「パンダワ後継者のパリクシトを殺害すれば、パンダワは絶望して後追い自殺する」と思い、アスウォトモを宰相に任命、そして自らを王とこの時に自称した。
しかしアスウォトモは、赤ん坊のパリクシトが蹴り上げた矢で落命。クレスノやアルジュノがようやく駆けつけ、慌てて逃亡したカルトマルモはビモに捕まり、クレスノの呪いで羽虫になった。

アルドワリコ47話49話
蛇王。かつてアルジュノに騙されて、兄妹で契りあい生まれたジョトギンバルの子コロスレンギは、イラワンと相打ちにして果てたが、ジョトギンバルの家臣アルドワリコが、大戦も終盤になって、今は亡き父子の国を担って王となり、ジョトギンバルの息子と称して立ち上がった。

大戦も終盤、コラワは「エビカニの陣形」を形勢。カルノが様々な矢や石、妖怪やラクササまで飛ばして天空を満たし、「三日月の陣形」で迎撃したパンダワでは、アルジュノが超能力の弓や有毒の火矢で迎え、天界の聖者達は世の壊滅を恐れた。
その中、アルドワリコは、ジョトギニ、ジョトギンバル、コロスレンギ、その乳母ラヤル・メゴと次々と倒された敵討ちを、今度こそ確実に果たすため、カルノにアルジュノを倒す加勢を申し出る。
が、カルノは一騎討ちのルールを持ち出して冷たく却下したので、仕方なく一人で大蛇となって毒気を吐いたが、アルジュノの矢に喉を射られ、のちうちまわって倒れ、これをもってジョトギンバル一族の復讐の根は絶えた。

スウェゴ48話
大戦も中盤の頃、戦を前に、戦闘指揮者となったカルノが愛妻スルティカンティに別れを告げに行くと、妻は不吉な夢におびえていた。不安に駆られたカルノは、召使女スウェゴにアルジュノ暗殺を命じた。
一方スリカンディは、カルノ退治に出掛けたスンジョヨを止めようと、父ドルポドの宰相デストクトゥに後を追わせた。が、デストクトゥはスンジョヨとは別の道に行ってしまい、アルジュノ暗殺に来たスウェゴと遭遇。両者は相打ちに果てた。

デストクトゥ48話
パンチョロ国王ドルポドの宰相。大戦も中盤の頃、ドルポドは既に亡くなっていたが、ドルポドの娘でアルジュノ第二夫人のスリカンディは、パンダワ陣営で女戦士として活躍していた。
スンジョヨがカルノ討伐に向かったので、これを止めようと、スリカンディは、父の宰相だったデストクトゥに後を追わせた。
が、デストクトゥはスンジョヨとは別の道に行ってしまい、アルジュノ暗殺に来たスウェゴと遭遇。
スウェゴは、コラワ軍の戦闘指揮者となったカルノが、愛妻スルティカンティ見た夢で、不安に駆られ、アルジュノ暗殺を命じた召使女だった。出会った両者は相打ちに果てた。

ジョヨボヨ王(52話60話
12世紀のインドネシア、クディリ王朝の国王。実在した唯一、史実の人物。
『バラタユダの書』という題名で詩人に「マハーバーラタ」を書かせたが、その中で、大戦の終盤サルヨ夫妻が死ぬ場面までは詩人スダが書き、サルヨ夫人スティヨワティの後追いを描く時、ジョヨボヨ王の許可を得て、その王女をモデルにした所、描写に無礼があったのでスダは殺された。
どの描写が咎められたかは不明。そのシーンは以下である。

サルヨの死を知った妻スティヨワティは戦場に向かったが、戦場は、戦車、人や馬や象の屍骸が積み上げられて地上に満ち、無数の槍や矢の刃が上向き、旗、法螺貝、戦士の腰紐、武器が散乱する。スティヨワティは車を降りて徒歩となる。
死体にぶつかり転び、あるいは踏み付けて滑り、血の川にふくらはぎまで浸かって進み、グチャグチャになった死者の頭を一つ一つ持ち上げて確認し、象の屍骸に腰掛けては又進むうちに気力も果て、このまま自害しようと諦めかけた時、激しい雨が降り稲妻が光を与えてサルヨを見つけた。
思わず抱きついて体を叩いたり、膝に乗せたり薬を与えようとしたが、サルヨは動かない。スティヨワティはサルヨの短剣を抜き、胸から背中まで深く自分を刺し貫いた。

この続きを書くためにスダの命令で起用されたのが、同じく詩人のパヌルである。

『バラタユダの書』は、マハーバーラタの大戦後、平和の内に多くの時が流れ、ジャワ島に強力な守護者がおらぬため、悪者が土地を焼き尽くして崩壊させたので、ウィスヌ神がクレスノ以来、再び地上に神王ジョヨボヨを遣わし、ウィスヌに守られたこの島に超能力が宿り、誰も刃向う者は出なくなった(つまりジョヨボヨ王は、クレスノのようにパンダワ五王子を動かして同族のコラワを滅し、サルヨを死に導いた)、と語られて閉じる。

チトロホイ56話57話
大戦終了後、初恋の人バヌワティを失ったアルジュノの失意を察したクレスノが、戦争話にかこつけてバヌワティの事を仄めかし、「その美女に生き写しの女が、スリウェダリ国王の妃である」と告げた。
このスリウェダリ国王がアルジュノパティであり、王妃がチトロホイだった。
聞いた途端、飛び起きて旅に出たアルジュノをクレスノは車に乗せ、スリウェダリ国に着くと、アルジュノを車の中に置いて、かつてクレスノが「自分の言う事は何でも聞け」と言っておいた国王アルジュノパティに会い、お前の妃を差し出せと要求した。

アルジュノパティはかつての約束を守って妻を手渡したが、家臣達はおさまらなかったので、軍隊を整え、アルジュノに挑戦し、敗れて死ぬ。
こうしてチトロホイはアルジュノのものとなったが、初夜の床でアルジュノに「二つの罪を贖え」と要求した。一つはスリウェダリの王宮の美しい生垣を破壊した事、もう一つは罪もない夫アルジュノパティを殺したことだった。
アルジュノが素直に罪を恥じると、「ならば祭壇に火をかけ、そこに飛び入る事を許して貰いたい」と要求し、殉死を選んだ。

スリタンジュン60話
ナクロの娘であったが、自分の素性を知らず、最後の因縁劇の時、祖父や父の仇としてアスティノ国を敵視しているウシアジに、姉として、また女戦士としてついていた。
スリタンジュンは死者を蘇らせる宝を持っていて、ウシアジとともにアスティノ国に押し入り、宝のお陰でアスティノ国を崩壊に向かわせた。
これにボロデウォが立ち塞がった。スリタンジュンは変身してボロデウォの武器を奪い、その武器を奪い返そうと、サデウォの子シドプクソも変身し、武器は敵味方の間を巡ったが、変身が通用しないスマルが武器を奪ったので、スリタンジュンとシドプクソは一騎討ちで勝負を決しようとした。が、ナロド神が降りて来て、二人は従姉弟同士だと諭す。二人はそれを聞いて和解し、スリタンジュンはアスティノ国の王宮に入った。

シドプクソ60話
サデウォの子で、最後の因縁劇に登場。祖父や父アリムボの仇としてアスティノ国を敵視していたウシアジに、姉としてスリタンジュンという女戦士がついていたが、実はナクロの娘で、自分の素性を知らず、ウシアジとともにアスティノ国に押し入り、アスティノ国を崩壊に向かわせた。
これに立ち塞がったボロデウォの武器を、スリタンジュンが変身して奪い、その武器を奪い返そうと、シドプクソも変身し、武器は敵味方の間を巡った。
武器は変身が通用しないスマルが奪ったため、スリタンジュンとシドプクソは一騎討ちで勝負を決しようとしたが、ナロド神が、二人は従姉弟同士だと諭したので、二人は和解し、スリタンジュンはアスティノ国に入った。




<地名編>
アスティノ国(01話02話06話08話09話10話11話12話13話17話21話
22話23話25話26話28話31話32話33話46話54話55話60話
パンダワ曾祖父にして系譜4代目のポロソロが開拓、国の基礎を造った。
ポロソロの妻サティヨワティがスンタヌと再婚したため、ポロソロはアスティノ国をスンタヌに譲り渡した。

スンタヌの死後、スンタヌとサティヨワティとの間に生まれた二王子は後継者を得ぬまま亡くなったので、サティヨワティは二王子の2人の妃を、前夫ポロソロとの間の息子アビヨソ(系譜5代目)に嫁がせ、3人の王子ダストロストロ、パンドゥ、ヨモウィドロを得た。
この内次男パンドゥ(系譜6代目)が後継者と定められ、アビヨソが王に、スンタヌの連れ子ビスモが後見となった。

プリンゴダニ国のラクササ王トルンボコを退治したパンドゥが、クンティとマドリムを娶った時、アビヨソは王位を譲り、パンドゥが王位に就いたが、無理やりダストロストロの妻にされたグンダリは、クンティとマドリムを恨んで、「あなた達の産む子(パンダワ)と自分の産む子(コラワ)は将来戦争を起こす」と呪詛して、コラワ100兄弟を生んだ。

その後パンドゥは鹿の呪いによって子を得られなくなり、第一夫人のクンティが、ユディスティロ、ビモ、アルジュノ(系譜7代目)を、第二夫人マドリムもナクロ、サデウォといった、神の子達(パンダワ5人兄弟)を生んで、何とか系譜を保った。

パンドゥは禁忌を破って命を落とし、アスティノ国はまた危うい状態を迎えたが、この時もパンドゥの長男ユディスティロの成長まで、パンドゥの兄ダストロストロが代行として王位に就き、ビスモも後見として残るなど、国難を乗り越えた。

その後、グンダリの弟スンクニが宰相に、外国から来たドゥルノが軍師に加わり、中でもドゥルノが力をつけて台頭た。

所持万端に優れたパンダワ兄弟に、ダストロストロの100王子コラワは嫉妬を強め、成長したユディスティロに王位を譲ろうとしたダストロストロに焦り、ユディスティロ就任の祝いにダストロストロが新築を命じた館を焼討ちした。

以後パンダワ兄弟は森に逃げ延び、コラワ長兄ドゥルユドノは、アスティノ国長老達も認めぬのに、勝手にアスティノ国王を名乗ってしまう。

プリンゴダニ国のトルンボコの子アリムボをビモが倒し、マルトの森を開拓したパンダワ達は、アマルト国として独立。この首都がインドロプラストだが、インドでは、パンダワの健在を知ったダストロストロが、息子達の反対を押し切って、アスティノ国の一郭にある砂漠の地を与え、それがインドロプラストという事になっている。

男系第一子継承によらず、異例の多かったアスティノ国は、コラワ長兄ドゥルユドノに王位を剥奪される事態に及び、「神意による継承権」という「天啓」が下される。
それはビモの苦行によって得られ、正統なアスティノ国の継承権は、アルジュノ長男アビマニュ(系譜8代目)にある事が知らしめられる。

アマルト建国が成ると、ドゥルユドノはパンダワ兄弟をアスティノ国におびき寄せ、詐欺によるサイコロ賭博で、ユディスティロからアマルト国の一切を剥奪し、パンダワ兄弟には13年の刑を科した。
パンダワ達は森の奥に追放され、以降、戦後までアスティノ国にもアマルト国にも戻る事が出来ない。

ビスモはコラワ側に残されたユディスティロ妻ドルパディの身柄を救いはしたが、元々アスティノ国の長老である彼は、この頃からコラワ陣営に身を置いたと見られる。

パンダワ13年目の刑の時、コラワ達はウィロト国を割譲するため、南のトリガルト国と打ち合わせて南北から武力で挟み撃ちにした。
この時、ウィロト国に身を置いたパンダワは、ウィロト国王マツウォパティを助けるため、アルジュノがアスティノ軍を蹴散らし、実質これをもってパンダワは祖国アスティノ国と戦った事になる。

パンダワの刑期が終わるや、パンダワ母クンティはパンチョロ国王ドルポドと夫の弟ヨモウィドロと共に、ドゥルユドノに国土返還を求めたが、宰相スンクニは逆に、パンダワ不在の間の国土にかかった費用の賠償を釣り上げて持ち出しため、パンダワとコラワの間には、関係他国まで巻き込んだ一触即発の空気がみなぎった。

パンダワ側ではユディスティロが、5人兄弟が住める土地のみ求め、アスティノ国は愚かアマルト国の返還すら求めず、一方のアスティノ国側でも、ビスモやドゥルノが、コラワとパンダワの間でアスティノ国を二分する折衷案を出し、サルヨも自国モンドロコ国を差し出すかわりに、アスティノ国の返還をドゥルユドノに迫って、おのおの戦争回避を願ったが、コラワ側ではスンクニが主戦派となり、パンダワ側でもクレスノが強圧的な態度でアスティノ国に乗り込み、全領土返還を要求、さらに一気に宣戦布告までしてのけた。
これほどの危機の中、クレスノが到着したアスティノ国では、一目見て、その祝福を受けようと大勢が上へ下への大騒ぎになった。

しかしコラワの態度に腹を立てたクレスノは、たちまちラクササに変身。その巨大さと破壊力にアスティノ国は大パニックとなる。
ジョクジャのワヤンでは、クレスノが計算づくで、ダストロストロ王とグンダリ王妃を、破壊された城壁の下敷きとさせる(死亡させる)、と描かれる。

大戦が勃発すると舞台は戦場に移り、殆どアスティノ国は出て来ないが、戦も中盤を越えた頃、ドゥルソソノの急な帰国の時に再び出て来る。
コラワの戦闘指揮者に任じられたビスモ、ドゥルノは、その死を迎える前、ドゥルユドノに戦を終わらせるよう進言したが、聞き遂げられず、残ったサルヨも停戦を唱えたが、スンクニに跳ね付けられた。
この時、スンクニがサルヨに無礼を言ったため、サルヨの娘バヌワティを妻にするドゥルユドノは、妻の機嫌が気になり、弟ドゥルソソノにバヌワティの警護を命じた。バヌワティはこの時までにドゥルユドノの王妃となって、アスティノ国にいたのである。
王妃でありながら、パンダワに強烈に心寄せるバヌワティに、ドゥルソソノは不平を言い、バヌワティもなじり返して、ドゥルソソノはカルトマルモらに止められるのも聞かず、バヌワティ警護を放棄し戦場に戻って戦死した。

コラワはカルトマルモ以外は全員が死に絶え、戦争は終結。ようやくパンダワはアスティノ国に凱旋した。
ウタリが既に戦死したアビマニュ(アルジュノ嫡男)の子パリクシトを生み、パリクシトは生まれ王位継承が定まり、その成長までユディスティロが政務を代行した。

夜、復讐で襲撃したアスウォトモとカルトマルモによって、ユディスティロの長男、ドルストジュムノ、スリカンディ、バヌワティが殺された。アスウォトモはパリクシトを手にかけようとしたが、パリクシトが蹴ったパソパティ(アルジュノの秘矢)に落命。逃げ出そうとしてカルトマルモも、駆け付けたクレスノに羽虫に変えさせられた。

パンダワ兄弟は昇天したが、プリンゴダニ国の祖父トルンボコ王、父アリムボを殺されたウシアジは、女戦士のスリタンジュンともにアスティノ国に押し入り、崩壊に向かわせた。
立ち塞がったクレスノの兄ボロデウォの武器を、スリタンジュンとシドプクソ(パンダワ五男サデウォの子)が奪いあうなど、二人は戦いあったが、ナロド神が「二人は従姉弟同士(スリタンジュンは実はパンダワ四男ナクロの娘)」と諭すと、二人は和解。スリタンジュンはアスティノ国に入った。
ようやくパリクシトが即位の時を迎え、クレスノやビモの孫、スティアキの息子、高位高官も民衆も歓呼して祝ったが、ウシアジは執拗にアスティノ国に攻めて来た。ボロデウォがまたこれに立ち塞がり、ウシアジを倒した。
ついにアスティノ国は最後の苦難を終え(全ての因縁を断ち切り)、雨後は晴天、パリクシトの治世の下で、長く平和な世が訪れた。

プリンゴダニ国(03話14話15話16話26話27話47話
マルトの森に近いラクササ一族の王国。
王はトルンボコであったが、パンダワ父パンドゥによって倒された。

トルンボコの息子アリムボは、マルトの森を開拓するパンダワ兄弟達の前に立ち塞がった。彼らはラクササながら超能力を持ち、敵を惑わせる侮れない者達だった。

が、アリムボはビモと戦って倒れ、その次弟プロジョドゥントと息子ウシアジはパンダワを敵視するが、アリムボの妹アリムビはビモと結ばれ、このプリンゴダニ国でガトゥコチョを生んで、同じ弟でも、プロジョムスティやコロブンドノはパンダワの味方となる。

アルジュノ嫡子アビマニュを守護していたガトゥコチョは、襲われたアルジュノの娘プルギウォを助け、母アリムビに打ち明けにプリンゴダニへ赴き、プルギウォを妻とし、子をなした。

また、アビマニュとウタリが結婚した時、アビマニュの妻シティスンダリはガトゥコチョに預けられたが、この時シティスンダリが身を置いたのは、このプリンゴダニ国で、ガトゥコチョが治める王国となって、以前の敵対関係は嘘のように、アビマニュなどパンダワ一族の別荘か隠れ里のように使われている。

親パンダワ派のコロブンドノは甥のガトゥコチョに誤って殺され、プロジョムスティはガトゥコチョを守って、その臍に潜み、役目を終えると昇天するが、このプロジョムスティついては、一族の仇パンダワの血を引くガトゥコチョをプリンゴダニ王位につける事に反抗したブロジョドゥントが、プリンゴダニに反乱軍を向かわせたので、ブロジョドゥントと一騎討ちをして相果てた、という話もある。

残るアリムボの子ウシアジは、アスティノ国に攻め入って倒される。一方ガトゥコチョには、サシキロノという男子(母はアルジュノの娘)がいる。

パンチョロ国(03話10話16話17話20話23話28話
パンチョロ国王子ゴンドモノは、姉の婿選びの儀で、パンドゥの加勢を借りたドルポドに倒されたため、それ以来パンチョロ国は、婿として国王に迎えられたドルポドの支配する国となる。

従兄弟のドルポドを頼りに、外国から訪ねて来たドゥルノは、ドルポドへの無礼を咎められ、宰相となったゴンドモノに捉えられて折檻されたため、ドルポドを恨み、やがてアスティノ国で力をつけると、パンチョロ国の半分の領土を奪った。ためにこの国はドルポドとドゥルノの両方に支配された。

やがてドルポドの王女ドルパディの婿取りの儀で、競技に勝利したアルジュノによって、ドルパディはアルジュノ兄ユディスティロの妻となったので、ドルポド王とパンダワ兄弟は親族関係となった一方、そもそもパンチョロ国王子であったゴンドモノは、ドルパディを伴って去ろうとしたアルジュノに勝負を挑み、相手をしたビモによって倒され息を引き取った。

やがてジュンクンマルデオが、ドルポド次女スリカンディに求婚したが、スリカンディがこれを嫌がってアルジュノの元に転がり込むと、ジュンクンマルデオは野心を露に大軍を率い、パンチョロ国に攻め入って来る。
アルジュノがスリカンディに力を貸し、ジュンクンマルデオを倒した暁、スリカンディはアルジュノ第二夫人の座におさまり、パンダワにとっては二重に縁を持つ国となった。

サイコロ賭博事件後は、アマルト国に居られなくなったパンダワ母クンティが、パンダワの13年の刑の間、ドルポドを頼って身を寄せた。

パンダワの刑期が終わるや、パンダワ母クンティは、ここからドルポドと共にウィロト国を経由してアスティノ国に赴き、ドゥルユドノに国土返還を求めた。

ドルポドは大戦で戦死、その長男ドルストジュムノも大戦後の報復に命を落とした。

マンドゥロ国(03話04話07話21話
クンティの兄バスデウォと、その長子ボロデウォを王にもった国。パンダワ母クンティと、クレスノ、スムボドロ兄妹の母国。
バスデウォの妻がラクササ王の子コンソを生み、このコンソがバスデウォの子達を次々と殺すなど、バスデウォへの意趣返しに出たため、長子ボロデウォが成長するまでは、長く国難に見舞われる。

スムボドロはこの国からアルジュノに嫁ぐが、パンダワが放浪中ゆえか、その後もマンドゥロ国にあり、スムボドロに恋をしたラクササ王ジョトギンバルは、スムボドロがマンドゥロ国にあるものと思って忍び入り、スムボドロと睦み合ったと誤解する。

クムビノ国(03話19話
バスデウォの次弟ルクモの国。
ルクモの妹ルクミニがクレスノと駆け落ちしてからは、クレスノと親戚関係にはなる。

レサンプロ国(03話19話
バスデゥオとルクモの弟、ウグロセノの国。クレスノ第三夫人スティヨボモとその弟スティアキの母国。
ウグロセノの娘スティヨボモに恋していたある国王をクレスノが倒して、ドロワティ国王として即位すると、義兄クレスノに惚れ込んだウグロセノの息子スティアキは、レサンプロ国王位の継承も放り投げてドロワティ国に馳せ参じ、始終クレスノの側にいるようになる(このレサンプロ国はどうなったんだろう。。)
ちなみにスティアキは大戦で生き残った。その子もいる。

モンドロコ国(04話05話17話31話56話
サルヨを王にもつ国。サルヨの妹マドリムや、サルヨの三人娘エロワティ、スルティカンティ、バヌワティの母国。

登場するのは、サルヨ王の長女エロワティがラクササに誘拐された時、このラクササの呪文によって、モンドロコ国は国じゅうの人間が眠りに落とされる。
が、エロワティはボロデウォによって救われ、ボロデウォの妻となった。

パンダワ兄弟が13年の刑期を終えた時、サルヨはアスティノ国をパンダワに返すべきだと主張し、「そのかわり領地の無くなったドゥルユドノには、自分の国モンドロコ国を全部提供する」と言った。

大戦によって、サルヨも、サルヨの長男ブリスロウォ、次男ルクモロトも戦死した。
大戦が終了すると、モンドロコ国はサルヨの甥でパンダワ四男ナクロと五男サデウォの双子(母はマドリム)に与えられた。

スリウェダリ国(10話56話57話
パルグナティを王に持つ国。パルグナティがドゥルノに害されて亡き後は、その息子アルジュノパティが王位に就いた。

大戦終了後、初恋の人バヌワティを失ったアルジュノに、クレスノは「生き写しの女がスリウェダリ国王の妃である」と告げ、アルジュノを車に乗せてスリウェダリ国に着くと、かつてクレスノが「自分の言う事は何でも聞け」と言っておいた、国王アルジュノパティに会い、お前の妃を差し出せと要求した。

アルジュノパティはかつての約束を守って妻を手渡したが、家臣達はおさまらなかったので、アルジュノに挑戦し、敗れて死ぬ。
アルジュノパティの妻チトロホイは、初夜の床でアルジュノに「二つの罪を贖え」と要求した上で、夫に殉死した。
その罪の一つはスリウェダリの王宮の美しい生垣を破壊した事、もう一つは罪もない夫アルジュノパティを殺したことだった。

ウィロト国(13話14話26話27話28話32話33話34話35話39話
マツウォパティを王にもつ国。
アスティノ国と国境を接する隣国のようで、国境付近の森にラクササが徘徊し、コラワに焼討ちされたパンダワ兄弟は、この界隈でボコ王などラクササを退治している。
ウィロト国自体は大きな山々と大海、港と田園に恵まれた大国で、大臣も将兵も王国の守護によく務め、植物もよく育ち物価も安く、家も多く商人も活躍する大都市として描かれる。焼討ちされた後のパンダワも侵入して、ビモが家畜の屠殺業につくなど、兄弟それぞれが名を伏せて職についた。

ウィロト国に跋扈していた盗賊達は、実はマツウォパティの王妃レコトワティの兄弟ロジョモロらが操っており、三兄弟は外戚の立場を利用し、蘇生の池を強味に、王国を乗っ取るべく、マツウォパティ王とその息子セト王子に闘技大会の開催を迫ったが、蘇生の秘密を知ったビモとアルジュノが闘技大会に出て打ち破った。パンダワは功績としてマルトの森を与えられて開拓し、アマルト国を作った。

サイコロ賭博事件による13年目の刑で、パンダワ兄弟は身分を隠すためウィロト国に潜伏し、コラワとトリガルト国がウィロト国を南北から挟み撃ちする事件に遭遇。トリガルト軍に囚われたマツウォパティ王をビモが奪還し、マツウォパティ王が南のトリガルト軍を、マツウォパティ王の第二王子ウトロは北のアスティノ軍をそれぞれ迎え撃った(ウトロがトリガルトに、セトがアスティノ軍に当たるという話もある)。
アルジュノはウトロを手伝って前面に出て活躍。祖国アスティノ国の軍を撃退した。

自国の災難を何度も助けられたマツウォパティ王は、娘のウタリをアルジュノ嫡子アビマニュに嫁がせたが、その結婚式の日、アビマニュ第一夫人シティスンダリ(クレスノの娘)の使いで、コロブンドノがウィロト国に訪れ、騒動となった。

この時にコロブンドノの甥ガトゥコチョによって、シティスンダリがウィロト国に連れて来られている。
パンダワの刑期が終わるや、パンダワ母クンティは、身を寄せていたパンチョロ国からウィロト国に来て、5人の息子達と再会し、アスティノ国にドゥルユドノに国土返還を求めに出掛けた。

パンダワとコラワの開戦が決定すると、アスティノ国にいたクレスノの使いで、その義弟スティアキが伝達の使者となるが、その途中、女戦士スリカンディに報告した時、コラワの先制攻撃が来たので、スティアキが蹴散らして深追いしかけた。が、スリカンディやクレスノ宰相ウドウォが指揮系統を重んじ、ウィロト国で正規の戦闘命令を受ける方針を打ち出している事から、本陣がウィロト国にある事がわかる。

また曾祖父アビヨソの苦行所にいたイラワンが、各国の諸将がウィロト国に馳せ参じるのに乗り遅れると焦る下りも同様で、この時、イラワンはコロスレンギと相打ちに死に、空からこれを見たガトゥコチョも、急ぎウィロト国の王宮にこの事件を知らせた。

スリカンディがウィロト国のマツウォパティ王やパンダワに交渉決裂を伝え、クンティとクレスノが帰還。コラワ軍による先制攻撃も報告され、戦闘命令を要請、舞台はようやくウィロト国から戦場に移った。

開戦した後は、ビモとアルジュノがガルドパティにおびき出されて戦場を離れ、ドゥルノが攻め込んでパンダワ軍は大混乱を呈した時、クレスノがパンダワ五男サデウォを使者に立ててアビマニュを呼び出したが、これはアビマニュがパンダワの継承者なので、戦場を離れたウィロト国の王宮に守られていたためである。

マルトの森→アマルト国(13話14話17話22話23話25話28話31話33話
原産のインドでは、コラワに焼討ちされたパンダワ達の生存を知ったダストロストロ王が、アスティノ国の一隅にある砂漠の土地を与えた事になっているが、インドネシアのワヤンでは、その土地を「マルトの森」としており、ロジョモロ兄弟を打ち破って、ウィロト国の危機を救ったビモとアルジュノに、ウィロト国王マツウォパティ王から与えられた森。ここを開拓中、パンダワ兄弟はプリンゴダニ国のラクササ達と対峙し、ビモはアリムビと結婚、息子ガトゥコチョを得る。

マルトの森は、ユディスティロとドルパディの結婚の頃に開拓が終わり、正式にアマルト国となり、その頃コラワ長兄ドゥルユドノがアスティノ国王を自称していて、当分はこのアマルト国がパンダワ達の国となった。

アマルト国は盛大な王国として繁栄し、ユディスティロは人民によく慕われた。ドゥルユドノはこれを嫉妬して、ユディスティロにサイコロ賭博詐欺を仕掛け、アマルト国の宮殿と財、領土と軍隊を巻き上げ、13年の刑と称してパンダワを森の奥に追放した。
その時のアマルト国の宮殿は、水を張った浴場と勘違いされる程に床が清く磨かれ、逆に浴場の水があまりにも透明で、そこに水があることも気付かぬ程だった、と描写され、つまりドゥルユドノは、自身が横取りしたアスティノ国より、パンダワが苦労して新たに作ったアマルト国を欲しがる心境になったわけだ。

パンダワ母クンティはこのアマルト国にいたが、そこにスンクニが接収のため入城してきた。
スンクニに言い寄られたクンティはドルパディの祖国パンチョロ国のドルポドを頼って身を寄せ、こうしてアスティノ国に引き続き、アマルト国までコラワの掌中に入るのである。

ダストロストロ王をはじめ、アスティノ国の者からさえ「パンダワにアマルト国を返還すべき」という同情意見も出たが、ドゥルユドノは返ってパンダワへの敵対心と強欲を示すのみで13年が過ぎた。

刑期が終わると、パンダワ母クンティ、舅ドルポド、叔父ヨモウィドロは国土返還を求めたが、ドゥルユドノの宰相スンクニは「パンダワの居なかった13年、王国を維持した費用と労力として、アマルト国に換算される費用の二倍を支払わなければ、国土を返さない」と要求を突っぱねた。

謙虚なユディスティロは「アマルト国全土でなくても、5人兄弟が住める5つの村だけあればよい」と言ったが、コラワ側では強気のスンクニの、そしてパンダワ側ではさらに強気で性急なクレスノの「アマルト国とアスティノ国の全領土返還が今すぐならねば、戦争によって解決」という強硬論のみが通る。

首都インドロプラスト17話23話
ウィロト国王マツウォパティから、功績としてパンダワに与えられたマルトの森が開拓され、アマルト国が建国。その首都名。
原産インドでは、焼討ちされたパンダワの生存を知って喜んだダストロストロ王が、息子達コラワの反対を押し切って、アスティノ国の一隅の砂漠の地を与え、これを「インドロプラスト」としている。
いずれにせよ、名前の由来は「インドロ神の都」という意味から来ている。

サイコロ賭博事件により、アマルト国での権利一切を失ったパンダワに代わり、スンクニが入城。
この事によって、パンダワ母クンティはインドロプラストを去り、嫁ドルパディやスリカンディの縁を頼りに、ドルポドのパンチョロ国に身を寄せた。

ドロワティ国(19話28話
クレスノ第三夫人スティヨボモは、この国の王に愛されていたが、クレスノはこの王を倒し、国を奪ってドロワティ国王として即位した。
全般の筋として多く語る必要はない国名だが、実際のワヤンでは、この国名はクレスノ登場のたびに、その冠名詞として連呼されるため、他のどの国名より先に覚える感もあり、つまりそれだけ長男ボロデウォより、次男クレスノの活躍や登場頻度が目覚しいとも言える。

各国がコラワに着くかパンダワに着くかで騒然とした時、ドゥルユドノは眠りの苦行をしているクレスノを目覚めさせた方が勝つ、という天のお告げを聞き、これを起こすため、義兄ボロデウォやカルノを、ドロワティ国に攻め入らせた。

トリガルト国(26話
ウィロト国の南に位置する国。サイコロ賭博事件により、パンダワ兄弟が身分を知られてはならない13年目の刑に服すため、ウィロト国に入っていた時、このトリガルト国が南からウィロト国に侵攻した。
トリガルト軍は戦闘によってマツウォパティ王を捕えたが、ビモがマツウォパティ王を奪還し、今度はマツウォパティ王(第二王子ウトロという話もある)がトリガルト軍を迎え撃った。
この時アルジュノがウトロを支援して、実質はアルジュノ一人の活躍によって、ウィロト国の危難を乗り切った。

スラユ川(33話47話
ジョクジャの話では、開戦前に神に捧げる人身御供を探すため、コラワ次男ドゥルソソノがこのスラユ川で渡し守をする若者、タルコとサルコを拉致するが、二人は逃亡をはかってドゥルソソノに殺される。
本人の同意なく無理やり殺された人身御供として神に受け取らず、その証拠に、屍がいつまでも死臭とともに消える事なく放置された。

間もなく開戦し、戦も中盤を越えた頃、ドゥルソソノとパンダワ次男ビモは激烈な戦いを繰り広げた後、圧倒されたドゥルソソノは逃げ、スラユ川を行きつ戻りつしてビモを翻弄し、隙を見て反転するつもりだったが、スラユ川の川底では、無理やり人身御供にされたタルコとサルコの怨霊が、ドゥルソソノの脚を捕らえ、川底に引きずり込んだ。怨霊との格闘で力をそがれたドゥルソソノはビモに捕まり、川から引っ張り上げられ地に顔を押し付けられたあげく、惨たらしく殺された。

セトロプル山(38話39話41話
ガルドパティがコラワ総指揮者になった時、ドゥルノとの合体作戦で「挑戦的な言葉を呼びかけ、二人のまだ行った事のない土地に誘い出し、ビモとアルジュノを軍から引き離した隙に、本隊をついて総帥ユディスティロを生け捕りにする」と決まり、引き込む場所をセトロプルに設定した。
セトロプルは寂しい山麓で、深い沼地があった。ガルドパティがビモを、ウレソヨがアルジュノを呼び出し、残ったパンダワ本陣をドゥルノが攻撃する事に決まった。

ビモとアルジュノは敵に挑戦を受けては引き返せず、ズルズルとセトロプルに着いて日が暮れてしまった。
ガルドパティは呪文を唱え、剣を大地に突き刺した。大地は一瞬で泥沼となり、ビモとアルジュノはこれに埋もれ、互いを助けようとあがいてますます深みにはまった。泥を飲み苦しみの余り、敵に早く殺してくれと叫んだ。
ガルドパティがドゥルユドノに二人の殺害許可を得て、ウレソヨとともに哄笑し悪口雑言しながら近付くと、ビモは最後の力を振り絞り、ガルドパティの武器を握る手を掴んで、逆にガルドパティを泥に引き入れ、ガルドパティとウレソヨの体を足場に、地上に脱出。ガルドパティとウレソヨは土中に窒息死する。
様子を見守っていたコラワ軍の兵はいっせいに矢を射掛けたが、ビモとアルジュノは疲労困憊の身でこれを避けて山の上に駆け上がった。

一方、アルジュノ達がこのセトロプル山にいる間、ドゥルノに総攻撃を受けたパンダワ軍では、アルジュノ嫡子アビマニュが戦死した。
アビマニュを止められなかったカルノは、未だアルジュノのいるセトロプル山に急行し、アルジュノにアビマニュの死を知らせ、アルジュノに問い詰められて、強いて言うなら最後に首を落としたのはジョヨジョトロだと答えた。
カルノからコラワの抵抗を受けずに山を降りられる方法を教わり、山を降りるアルジュノは、ようやくセトロプル山に来たクレスノに「ジョヨジョトロを殺せなかったら、天に誓って自分は火に飛び込んで死ぬ」と宣言。
やがて森羅万象を伝って、アルジュノの誓いは、ここから戦場にまで響き渡っていった。

ワヒト村(57話
パンダワが死期を迎えるにあたって、母や妻子・孫らと旅に出て、途中で多くの魑魅魍魎を退治しながら到着した村。
元は平和な村だったが、悪事に長けた男が村の男達を「もっと楽な仕事がある」とそそのかして連れ去った結果、彼らはある苦行者の娘をかどわかし、怒った苦行者に虎に変えさせられる。虎達は自分の村の女達を食おうと相談していた。
女達だけになった村では、男達は悪い楽しみに溺れて戻って来ないのだと思っていた。皆がヒソヒソと陰口を立てあい、いさかいが絶えず、この状況を通りかかったクンティに一人の村娘が告げた。
ビモとアルジュノが虎を迎え撃って殺すと、虎達は人間に戻り、クレスノに「村の女達を幸せにするように」と諭されて村に戻った。

ガドゥンムラティ村(58話
パンダワが死期を迎えるにあたって、母や妻子・孫らと旅に出て、途中で多くの魑魅魍魎を退治しながら到着した村。
この村には、かつてビモとアルジュノを沼地で苦しめ、返り討ちにあって死んだガルドパティの馬丁アンギロがいた。彼は両足を無くしながらも馬を追い掛け、この村の小屋に辿り着き、食べ物だけは馬の姿をした僧侶の弟子に差し入れられているが、坐して動けぬまま日を過ごしていた。
死を望むアンギロの魂が、ビモの瞑想によって天に昇ると、いきなり馬の群れが駆け込んで来た。
そのリーダーの馬をがアルジュノが矢で射ると、倒れた馬には、大戦で死んだドゥルノの魂が宿っていた。




<武器編>

チョクロ07話19話29話37話42話
ウィスヌ神の持つ車輪型の武器。太陽すら覆い隠すと言われ、核の存在をも想像させる決定的な威力を持つ。ウィスヌ神の化身クレスノが所持する。

即致死威力の高い武器と見られ、クレスノの息子ボモノロカスロがアルジュノを殺した時、ボモノロカスロは大地に触れると蘇生する体質を持っていたが、空を飛んでいる時、父クレスノにこのチョクロで射抜かれ、大地に着く前に死に到った。

大戦を前に眠りの苦行に入ったクレスノは、クレスノを起こそうとしてボロデウォが撃ったヌンゴロという武器に、チョクロを口から発射して、眠りを妨げる者の首を刎ねようとした。

マツウォパティ王の三人の王子の死と、ビスモと戦いあう悲痛に躊躇うパンダワ軍に苛立ったクレスノが自らチョクロを超能力のビスモに向け、自分が望まぬ限り死なない神授の力を得ているビスモが「ウィスヌの化身クレスノに撃たれるなら本望」と答える下りもある。

アルジュノがジョヨジョトロを、日暮れまでに討つ誓いを立て戦場に乗り込んだ時、誓いを果たせぬまま日が暮れようとした。クレスノはチョクロを天にかざし、チョクロはまさに核のごとく、天を覆って太陽光線を遮った。濃くなった闇に、周囲は「日が暮れた」と錯角した。
これはジョヨジョトロをおびき寄せるための苦肉の偽装で、誓いが果たせなかったとして、アルジュノは祭壇で焼かれる事となり、それを見に来たジョヨジョトロの顔が炎の灯りに浮かび上がった所を、アルジュノが矢を射て首を刎ね、おもむろにクレスノはチョクロをどかした。
夕陽は今まさに暮れようと最後の光を放って輝き、アルジュノはギリギリ誓いを守った事になったが、ジョヨジョトロの首はそのまま戦場を疾駆し続け、危うくチョクロを使った偽装も破れそうになった。

ウィジョヨクスモの花(07話19話29話35話
死者を蘇生させる花。これを得るためにウィスヌ神が苦行僧の娘と婚姻したり、この花と一体であるべき花のガクを黒い牡牛の咽喉から抜き取る逸話もある。やはりクレスノの武器の一つ。

クレスノの子ボモノロカスロがアルジュノを死に至らしめた時、クレスノがアルジュノを蘇生させるために使われた。

しかし大戦前、神々の作成する対戦表「ジタブソロの書」を得るかわりに、クレスノはグル神にウィジョヨクスモの花を渡した。
この事は、クレスノが大戦の実行者となり、これまで持っていた蘇生の術を放棄して、戦争によって死んだ者を蘇らさない事を意味する。

大戦を間際に、アルジュノの子イラワンが本陣のウィロト国に向かう途中、アルジュノを父母の仇と付け狙うコロスレンギに命を奪われた。
これを見たガトゥコチョがクレスノに蘇生を要請したが、ウィジョヨクスモが既にクレスノの手元に無かったため、イラワンの蘇生はならず、開戦に先立って早くも最初の犠牲者が出た。

スンジョト・クント15話16話27話46話50話
天界の保持する剣。ラクササ、コロプルチョノが天界の妖精スプロボを追って大暴れした時、これを退治するため、天界からアルジュノに手渡されようとした。
しかし太陽神スルヨが、これを我が子カルノに横取りさせたため、カルノの武器となる。
アルジュノはカルノを追跡したが、取り戻せたのはクントの鞘だけだったので、この鞘で兄ビモの子ガトゥコチョの臍の緒を切ると、鞘はガトゥコチョの体内に巻き込まれ、やがてカルノの持つクントと合致する日を待った。

アビマニュの秘密を守ろうとしたガトゥコチョが、正直者の叔父コロブンドノを殺害するに到った時、コロブンドノの霊魂は「やがて戦になった時、カルノの武器に乗り移って追跡する」と約束し、"時間待ちの天界"へと旅立った。この「カルノの武器」が、このスンジョト・クントを指す。

一度使えば持ち主グル神の元に返ってしまう武器で、アルジュノとの一騎討ちに用いるべきだったが、大戦になると、カルノは夜目が利くガトゥコチョを倒すには、スンジョト・クント(剣)しかないと思い、今はやむなしと放った。
ガトゥコチョは気付いてかわし、逃げたが、クントはしつこく追って来た。
逃げたガトゥコチョを、霊魂となったコロブンドノは追ったが、姿が見えない。クントもついに力尽き、落下を開始しかけたが、コロブンドノはこれを手に握ると、妹アリムビの声音をまねてガトゥコチョを呼び回った。
母アリムビが危険な戦場に来たと勘違いしたガトゥコチョは、声を発して答え、コロブンドノに握られたクントは、ガトゥコチョの臍に突き刺さり、彼の体内にあるクントの鞘へ収まった。

恐らくその後、クントは天界に戻ったのだろう。アルジュノとの一騎打ちに立った時、カルノには既にスンジョト・クントはなく、もう一つの魔矢を射ったが、それも打ち漏らしてカルノは戦死に到る。

超能力の秘矢パソパティ23話37話42話50話55話56話
サイコロ賭博事件の後、山中で修行していたアルジュノが、天界の魔王退治のために神々への推薦を受けた。この時アルジュノを見込んだグル神は、この矢をアルジュノに授けた。

その後、大戦が勃発し、ビスモとスリカンディの戦いで、アルジュノが妻スリカンディとともに、このパソパティをつがえると、「時間待ちの天界」から来たオムボの魂がスリカンディに到来して、ビスモを仕留めた。

またアルジュノが戦死した息子アビマニュの仇を討とうとして、クレスノの日暮れ偽装の超能力を借り、闇から炎の灯りに照らし出されたジョヨジョトロの首を刎ねたのも、このパソパティだった。しかし首は、修行者の祈祷によって、その後しばし生きたまま戦場を疾駆した。

アルジュノがカルノの首を射たのもこのパソパティだったが、この時、カルノには既に武器スンジョト・クントも無く、カルノの馬車を操るサルヨが戦車を揺さぶったため矢を外し、さらにアルジュノがパソパティをつがえた時も、カルノの戦車はぬかるみに車輪を取られ、アルジュノに首を射切られ、必ずしもパソパティの威力とは言えない。

大戦後、ダストロストロ夫妻の死に不吉を感じていた城内では、クレスノの指示でパリクシト(アビマニュの子)の寝床にこのパソパティが置かれた。
復讐のため押し入ったアスウォトモは、次々と名のある戦士を殺害した後、パリクシトにも手を下そうとしたが、赤ん坊のパリクシトは、はしゃいで足を蹴り上げ、その足から発せられた矢が命中、アスウォトモは落命した。

ヌンゴロ29話30話
剣。ボロデウォの得意な武器。
大戦を前にクレスノが眠り、これを起こして勝利を導こうとしたドゥルユドノを応援し、ボロデウォはヌンゴロを打つが、クレスノの口からはチョクロが飛んで来て応戦し、その魂を起こすには到らなかった。

ボロデウォはその長引く遣り取りに業を煮やし、ヌンゴロを地に刺し、「お前はやがて大地に挟まれる」と地を怒らせ呪われた。

ジタブソロの書」(29話30話35話36話39話43話51話
神々による対戦表。錚錚たる戦士同志の一騎討ちと、その結果が次々と書かれている。
大戦前、クレスノの魂は天界に上り、宇宙支配神グルの居城で、代行神ナロド、天界守護神インドロ、火神ブロモ等がいる会議場にあらわれ、グル神にウィジョヨクスモ(蘇生)の花を渡して、この対戦表を手に入れた。
この時からクレスノは「ジタブソロの書」の実行者となった。

唯一運命を免れたのが、クレスノの兄ボロデウォで、「ボロデウォ×オントセノ=」と書かれた時、クレスノは白蝿に化けて書き込む羽ペンの邪魔をした。

開戦と同時に、マツウォパティ王の次男ウトロと三男ウラトソンコが戦死し、マツウォパティ王は悲痛の底に突き落とされたが、クレスノは非情にも、懐に隠した「ジタブソロの書」に沿って、さらにマツウォパティ王長男セトを戦闘指揮者に推薦した。

コラワ軍のガルドパティとドゥルノの作戦でパンダワ軍が大混乱した時は、クレスノがパンダワ五男サデウォをウィロト国へ使いに立て、道行くサデウォはナロド神に戦況を聞かれた。
クレスノがアビマニュを戦場に連れ出す命令を出したと聞くと、ナロドは大いに喜んで引き上げた。これは「ジタブソロの書」を、クレスノが忠実に実行しているかグル神がチェックしていたからだ。

大戦中盤、剛の者として知られるコラワ軍のブリスロウォに一騎打ちを挑んだのは、非力なクレスノ義弟スティアキで、難色を示す者もいる中、クレスノは「ジタブソロの書」に二人の対決が記されている事を密かに確認すると、「スティアキの宿願」をこじつけに持ち出して対決を許可した。

パンダワの復讐の根拠ドゥルソソノが死に、大戦の終盤コラワ軍のカルノも倒れ、この書に書かれたシナリオは次々と消化されたが、コラワから不死身のサルヨが戦闘指揮者に立つと、「ジタブソロの書」を遂行するクレスノは厄介に思い、パンダワ末弟の双子ナクロとサデウォをサルヨの元に遣わすなど策を弄し続けた。

戦いのルール34話38話40話42話43話49話53話54話
1、太陽が沈むと停止し、夜は敵味方とも自由に交際していい事。
2、戦い方は一騎討ちに限られ、象に乗る者同士、馬に乗る者同士である事。
3、退却や降伏した者に追い討ちや攻撃してはならず、また虐待を加えぬ事。
4、武器を持たぬ者を武器で攻撃せぬ事。非戦闘員(太鼓やラッパの奏者、傷の介抱をする者)を攻撃してはならぬ事。

ボゴデントとアルジュノの戦いでは、ボゴデントの鎖矢から咄嗟にアルジュノを救った(鎖矢をジャスミンの花輪と化した)クレスノに、アルジュノは「一騎討ちの邪魔をした」と批難したが、クレスノは「鎖矢は元々ウィスヌ神が与えた物で、グル神から奪い返すように言われていた」と天界の掟を持ち出して却下した。(以後、何かと言うとクレスノは、「ルール違反」に対して「口で言い負かす」)

ドゥルノがパンダワ本陣を攻めた時、アビマニュが敵陣の中に孤立し、無数の矢を射掛けられ死亡した。
このように高名な武士を、一騎討ちによらず集団で射殺す事も戦のタブーであったが、かつてアビマニュが妻ウタリに嘘をつき、「嘘だったらザルの網目の風穴を体の傷に負う」と誓った(予言した)事が優先された。

しかしアビマニュのこの死に方よって、「この戦にはルールが無くなった」と、誰もが恐怖と疑心暗鬼に突き落とされ、一度破られたタブーは、さらにタブーであった夜間の戦闘を開始させた。
互いに声で味方を確認するのはまだいい方で、ただ殺される事を防ぐためだけに、やみくもに武器を振り回し、確かめる暇もなく同士討ちによる殺戮に至る。安息をもたらすべき夜は、無差別大量殺戮が横行する闇と化した。

パンダワ側のスティアキ(クレスノ義弟)が、コラワの剛者ブリスロウォに投げ飛ばされ、股の間に首を挟まれた時、弓の使い手アルジュノが「一騎討ちに助太刀は武将の道に反する」と切り返す事を予想したクレスノは、アビマニュの死に落ち込むアルジュノに、武将として覇気が無いとなじり、「腕試し」と騙して、髪の毛を的に矢を2度射らせ、髪の毛の先のブリスロウォの両腕の付け根をねじ切らせ、スティアキを勝ちに導いた。
ブリスロウォは怒り狂って、アルジュノのルール違反を罵倒したが、クレスノはすかさず「これがアビマニュを一騎討ちでなく集団で殺したコラワへの報いだ」と口で言い返した。

しかしカルノとアルジュノだけは、相変わらず戦のルールを重視し続けた。大戦も終盤、二人は超能力でラクササや火を放って戦ったが、ジョトギンバルの家来、蛇王アルドワリコが登場し、主君夫婦やその子らの敵討ちを確実に果たすため、カルノにアルジュノを倒す加勢を申し出るが、カルノは一騎討ちのルールを持ち出して冷たく却下し、夕闇が迫ると、二人は延期を約して撤退した。

大戦の最終戦はビモ×ドゥルユドノだったが、ビモがドゥルユドノに圧倒され追い詰められたので、クレスノはアルジュノに「ドゥルユドノの太腿を打つように合図しろ」と言う。下半身を打つのはタブーであるから、アルジュノは驚いたが、兄ビモが危ないのは確かなので、ビモに見せるように自分の太腿を叩いた。
ジョクジャではここで、クレスノは従者ペトルに(ジャワ語で)「思い出せ(こめかみの意)」「残酷な(太腿の意)」と言わせる。ビモは最初の一言だけ聞いてコメカミを撃って倒す(ルール違反はしない)。
一方ルール違反をする話(こっちが原産)では、アルジュノの動作を見たビモは、ドルパディが辱めを受けるのをドゥルユドノがとめず、むしろ自分の太腿を手で打って喜んだ事を思い出し、跳躍してビモに襲い掛かったドゥルユドノの左太腿を思い切り棍棒で打った。

ルール違反の相次いだこの戦争を見てなかったボロデウォは驚き、二人の弟子の間に入って停止させようとしたが、クレスノは「過去の報いだから違反でもいい」と説明し、「天罰が下る」と兄を脅して退けた。
また死の間際のドゥルユドノは、ビモの粗暴さより、違反行為をさせたクレスノへの呪詛を口にしかけて、言い終えられず絶命する。

カリモソドの書」(01話08話51話52話
イスラム聖典コーランの一句「カリマ・シャハダド」のジャワ訛りで、「アラー以外の神は存在しない。モハマドが神の使者たるを信じる」と記される。イスラム教以後の聖典で、元のマハーバーラタには存在しない。
パンダワに到る系譜は、二代目が倒した魔王の屍から、この「カリモソドの書」を得た。この系譜の7代目がパンダワ兄弟である。

正法神ダルモがクンティに、7代目パンダワ長男ユディスティロを生ませ、ユディスティロは「カリモソド」を護符として受け継いだ。

やがて大戦となり、その終盤、サルヨは舅パガスパティから敵に倍する威力を持つ呪文を授かっていたが、これが「悪意のない公正な相手」を敵とした場合は効力を失う事を知っており、甥であるパンダワ4男ナクロと5男サデウォに「自分を倒せるのはユディスティロだけ。それも武器ではなく、護符カリモソドを手にして出て来るように」とクレスノへの伝言を託した。

サルヨが戦場で呪文を唱えると、ラクササが出て倍数・無数に増加したが、対するユディスティロにパガスパティが乗り移ると、ラクササ達は全てユディスティロの体内に入って無心の思念に焼け消え、バガスパティはユディスティロに「カリモソドの書」の矢をつがえさせ、弓を引かせてサルヨを射た。矢はサルヨに命中したが、元よりラクササ達の消滅でサルヨの力は費え死に到った。

陣形
「鋭い雷光の陣形」(パンダワ36話
「大海の高波の陣形」(コラワ36話
「ガルダ鳥の陣形」(両軍37話
「怒れる象の陣形」(両軍37話38話
「車輪の陣形」(コラワ40話41話
「エビガニの陣形」(パンダワ40話・コラワ49話
「蓮の花の陣形」(コラワ41話
「鋭利な針の陣形」(コラワ41話
「三日月の陣形」(パンダワ49話
「森の陣形」(コラワ52話