「山岡荘八『徳川家康』雑記」(「ご挨拶」から、3)

「今週のご挨拶とお知らせ」(2017年8月で述べた事から〜

     
 
〜前略〜

さて、山岡荘八の『徳川家康』ですが、今9巻を読んでます。
……どうも、8巻から読むスピードがド〜ンと遅くなりました。
9巻に入ってからはさらに鈍化し、読まない日も続いたりして、ピタッと勢いが止まった感じがします。。

原因は……忙しさもありますが、気持ちも前ほど前のめりになれません。。
う〜ん、家康が全く出て来ないんです(^_^;)。。
あと、本能寺の後は、中央の政局(戦況含め)に沿った場面展開ばかりで、知る楽しみみたいな新鮮さが激減してるのも原因してると思います。

本能寺の変が何しろ物凄く長々と描かれましたが、それでも8巻の最初の方で、信長は居なくなります。

そこで家康の伊賀越えです。ここはかなり面白かったです!!
でも、服部半蔵なんて、殆ど出番なかったです(笑)。
名前は書かれるけど、その他大勢って感じですね(^_^;)。

その後は秀吉の大返しや光秀ばかり長々と書かれ、細川ガラシャ話も長く交えながら、ようやく小栗栖の竹林で光秀が死ぬのが、8巻の最後の方です。

9巻は秀吉と柴田勝家の攻防なんですが……。
面白くないです(^_^;)。
お市の方と三人娘の話がダラダラと続き、正直かなり退屈です(^_^;)。。
数ページ読むと溜め息が出てしまう。有名な話すぎて気分が乗らないのかもしれません。

『徳川家康』が書かれてた頃、濃姫(信長正室)、お市の方(信長妹)、細川ガラシャ、淀殿といった女性の話を書いた小説って、どれぐらいあったんでしょうか。
私はこのあたりは、司馬遼太郎井上靖で読んで気に入ってるので、どうしても今読んでる物が、少し野暮ったく感じてしまいます。

お市の方や茶々姫などは、井上靖の『淀どの日記』の方が早いでしょうが、濃姫になると、司馬遼太郎の『国盗り物語』より、山岡『家康』の方が先でしょうね。

だから、同じ話を何度も読むのが面倒というのも相当あります。
中国大返しなんて、司馬の『播磨灘物語』で読んだので、どうしてもちょっと飽きて、目が先に飛びがちというか……。(思わずパラパラ先をめくってしまう)

一方、7巻までの内容に戻って恐縮ですが、高天神城の攻防の前後あたりなどは、かなり面白く読みました。
女性の話も、やっぱ家康の小説でないと出て来ない築山殿の出て来るあたりは、そんなに気に入ったキャラでもないのに、ドンドン読み進んでしまいました(笑)。

そうそう、築山殿と言えば、今年の『直虎』でも時々出てきますね、瀬名姫!
子供の頃から、長々と氏真の嫁になる努力をしてきたのに、その氏真に北条から正室を迎える段にアッサリなって、怒り心頭で般若顔でドンドン舞足を踏みしめるシーン。
私あのシーン、大好きですっっっ(≧▽≦)!!

あ、直虎の話をする前に……去年の『真田丸』事を話してなかったですね。。
(そのうち、そのうち、と言いながら、1年以上経っちゃいました。。)

〜中略〜

……話が途中でした。スイマセン、『徳川家康』に戻っていいですか(^_^;)?

竹ノ内波太郎ですけど、やっと納屋焦庵になりました。8巻です。
大河『黄金の日日』で、主人公「助左」が「呂宋助左衛門」を名乗る前に名乗っていたのが“納屋”です。それと同じ姓なので注目してものです(`・ω・)。

ところが、大河『徳川家康』に謎解きは描かれず、神職あがりの謎の人物・竹ノ内波太郎が、ある時突然、堺商人の納屋焦庵として出て来るんです(・・;)。。

それが何とも不自然なんです(^_^;)。
だから、原作にはもうちょっとその繋がりが書かれているのだろうと期待したのですが……。

全然無いです( ̄∇ ̄;)。
中間部分に相当する逸話は全く無いまま、やはり「ある時突然、堺の納屋衆の一員として登場」←そのまんまです(汗)。。。

強いて言えば、「木の実」という養女が出てきまして、大河ドラマでは紺野美沙子が演じてましたが、原作では1巻にかなりの頁を割いて、その祖母の話が書かれてます。

祖母も孫娘も、たぶん原作による創作(架空)で、史実の人物ではありません。
原作では、祖母が、家康の生母・於大の兄・水野信元に弄ばれて発狂し、出雲へ身を隠して女子(木の実の母)を生む話があります。
が、そこで途切れており、木の実が生まれ育つ段は全く書かれてません。

さらに……ちょっと不満でもある点なんですが、祖父(という事に原作ではなる)水野信元、史実では信長に殺されてしまうのですが、そこは全く描かれず、「いつの間にか死んでいる」という感じなんです(^_^;)。。
その辺り知りたい、という気持ちもあって長々と読んでいたので、ちょっと残念です。。

話は納屋焦庵に戻りますが……。

ネットで検索すると、「家康を助けた中に納谷衆がいたのは確か」という発言を見かけますし、私が家康を調べた時も、家康と金銀経営者や豪商との繋がりは濃厚に思えました。

そういや『黄金の日日』では、父の今井宗久(丹波哲郎)は信長贔屓でしたが、父に逆らう子の宗薫(林隆三)は家康に近づいて、最後は一家で幕府が開かれた江戸に旅立つ……という話に仕立てられてました(原作=城山三郎/脚本=市川森一)

今井家が江戸に行った、というのは、史実かわかりません。
が、家康の伊賀越えには、小説『徳川家康』でも、伊賀の服部半蔵や、商人の茶屋四郎次郎などの支援が絡んで話されてましたので、今井宗薫も今後は出て来るのかもしれません。

「堺(大阪)」と「伊賀越え」と「江戸行き」のセットで思い出すのが、江戸の佃島です。

伊賀越えの時、家康一行が大阪の神崎川まで来て、船が無くて困っていると、佃村の漁民たちが舟を出し、携帯食にと、備蓄していた小魚の煮物を提供した。これが佃煮の発祥!……という伝承です。
家康は、この佃村の漁民達を、ほぼ村ごと江戸に召し連れた、という話をあちこちで聞きます。

といっても小説には、船を出す話はもうやりましたが、佃煮やら佃島やらは、勿論まだ出て来ません(笑)。

何しろ、光秀やお市の方や秀吉の話ばかりエンエンと連なって、家康は全く出て来ない内に、「家康が甲州(旧武田領)を併呑した」というが秀吉の元に届く……という具合に、天正壬午の乱が片づけられてる気配です(^_^;)。。

あ、ただ、河尻秀隆は出てきます。
家康の使者・本多信俊をぶっ殺して、武田遺臣一揆三井弥一郎に攻め殺される段だけは、やはり小説で読んだことのない話だったので、楽しく読みました。

ふぅ。『徳川家康』については、今回はこのへんにしときます。


〜後略〜

(2017年08月03日・記/2018年07月22日・掲載)

城主

 
     


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