質問<六>
あなたはその後、外交戦術を駆使して敵と和解します。和解のしるしに敵は、自分の娘をあなたの嫁にくれました。やがてその妻に嫡男も生まれ、当分危機は回避されました。しかしこの婚姻は、事によると、いつかこの敵の勢力に飲みこまれてしまう一因にもなりかねません。
そこであなたは、嫡男が成人するとともに家督を譲り、隠居してしまう事に決めました。これで痛くもない腹を探られる事もなく、大国と縁続きになったあなたの家は絶対に安泰です。あなたの潔い振る舞いに、さすがに大国の相手もあなたの誠意を認め、その後あなたの領土が他の敵に攻めこまれると、必ず援軍を繰り出して助けてくれるようになりました。
さて、実はまだ未熟な嫡男が心配なあなた、隠居度はどの辺が適当ですか。
本城は嫡男に譲って自分は一つ格下の城に移り、また、天守の大広間で当主の着くべき席は息子に譲ったものの、未だ会議には列席し、何かれと意見を言って、国政においては実質上前と変わらない。
嫡男の相談にはもちろん乗るし、呼ばれれば合議の場ぐらいには顔を出すが、妻の連れてきた者たちを通じて、「隠居とは名ばかり」などと告げ口されるのも困るから、出家して名を変え、日常は庵を結ぶような暮らし振り。
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