質問<六>
勝ちに奢った敵の受け入れ条件は、惨く屈辱的なものであり、あなたは自ら城に火を放ち、城を落ち延びざるを得ませんでした。夜陰に乗じて近習の親戚の家に落ち着くと、翌日、分家筋から遣いがやってきます。
むろん敵方の傘下に入っている者です。しかし使者が言うには、いくら敵に味方しているからといって、血縁者を売り飛ばすようなことはしない。自分が仲介に立って必ず敵を説得してやるから、ここは自分を信じて自分の城まで同行してほしい……との事でした。
ただ昔から分家一族は世渡りに抜け目がなく、城まで行ったが最後、妻や子もろとも殺される可能性が低くもありません。あなたはどうしますか。
すでにここが知れた以上、さらに逃げても恥をかく死に方をするだけだ。
ここは相手を信じ、万に一つの可能性に懸けよう。それで殺されれば潔く死んでやる。
信用できない。騙されて死ぬのは真っ平である。使者にはウマイ返事をしておいて油断させ、夜陰にまぎれて脱走する。
今は恥がどうのと言っていられない。
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